2019年12月11日

アニメ「ペンギン・ハイウェイ」感想

 スタニスワフ・レムの小説「ソラリス」の、すごーく可愛らしい翻案として見ました。
 「ソラリス」を読んでない人には意味不明なのでは? と他の人の感想を検索したところ、少年の憧れや夏の日々を楽しむ見方もあるようですね。

 小説「ソラリス」では主人公の「過去」が現れ、不可解な物事を究明する虚しさが描かれる。
 「ペンギン・ハイウェイ」の「お姉さん」は主人公の希望か理想か未来か、とにかく前向きな存在で、謎を解くための行動も、全てワクワクして楽しい。
 小説「ソラリス」が投げかけたものを、こんな風に明るく読み換えられるのか、とハッとさせられました。

 ツバメノートやモレスキンが重要な小道具になっているのも、文房具好きとして嬉しかったです。

ソラリス (ハヤカワ文庫SF)
ソラリス (ハヤカワ文庫SF)
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:50| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2019年12月08日

真綿のはんてん

 木枯らし一号が吹いた次の日、七瀬さんから大きな荷物が届いた。
「何だろう」
「衣類って書いてある」
 包装を解き、司と一緒に箱を開けた。黒くてつやつやした布の上に、和紙の手紙が載せてあった。

 翼へ
 最初、久留米絣にしようと考えていたのだが、それだと目つきの悪い男に似合わないと思い、黒の正絹にした。中も真綿だから、クリーニングに出す時にはそのことを伝えて欲しい。
 耕一

「この『目つきの悪い男』って、俺のことだよね」
 司が手紙をにらみつけて言う。眉毛がぴくぴくしている。僕は笑いながら黒い布を持ち上げた。
「わぁ!」
 綿の入ったはんてんが二枚。
「あったかそう!」
 僕はすぐに着てみた。
「意外と薄いね」
 司は布の表面を撫でたり、重さを確かめたりして、なかなか着ようとしない。
「絹か…… 光沢があって、ナイロンみたいだ」
「こっちが元ネタだと思うよ」
 分厚いわけじゃないのに、着ていると布団の中のようにホカホカしてくる。
「司も着てごらんよ」
 司は僕を無視し、はんてんの裏地に付いているタグをつまんで真剣に読んでいる。そのままスマホをいじり始め、僕は少しふくれた。
「真綿って、絹の綿のことなのか!」
 司はそう叫んでスマホの画面を僕に向けた。「真綿」を検索したらしい。
「綿100%だとばかり思ってた」
「真綿で首を絞める」
「あんまり良い意味じゃないよね」
 僕は司の後ろに回って首に抱きついた。はんてんとほっぺたを司の体に押しつける。
「どう? 真綿で首を絞める、の感触」
「あったかい」
「だよねー」
「いやでもそういう意味じゃなかった気がする」
 司は僕に抱きつかれたまま、まだスマホをいじっている。
「久留米絣(くるめがすり)の方が翼に似合う」
「あ、ほんとだ、可愛いね」
「江戸時代のハナ垂らした子供が着てそう」
「ハナは垂らさなくて良くない?」
「絹の綿のはんてん、しかも二人分なんて絶対高いよ。七瀬さんって何者なの?」
「良い人だよ」
「俺はそう思えない」
「やきもち〜」
 司は否定しない。真綿でぎゅうぎゅうと首を絞める。
「司も着てみなよ」
 司はしぶしぶはんてんを羽織った。淡く光を返す墨色が、司の不機嫌な顔によく似合う。
「わぁ〜!」
 ドキドキして顔が熱くなるのを感じる。七瀬さんは「はんてんを着た司」を僕にプレゼントしてくれたのだと気付いた。
「久留米絣を着ている翼が見たかった」
「それは自分たちで買おうよ。服とかがま口とか、色々あったじゃん」
 おそろいの真綿のはんてんで、僕たちはみかんを食べた。笑っちゃうほど絵のような、冬の食卓の風景だった。

(終わり)

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 綿入れはんてん大好きな柳屋文芸堂です。この文章を書いている今も着ています。あったかくて良いですよね〜
 翼と司はグルメBL「翼交わして濡るる夜は」の登場人物。はんてんを着せられて嬉しい。ありがとう七瀬。
 これは「ペーパーウェル」という、コンビニのネットプリントを利用した企画で配信した作品です。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 20:59| ショートストーリー | 更新情報をチェックする

2019年12月07日

アニメ「ユーリ!!! on ICE」感想

 何年か前に流行っていたな〜 とdアニメストアで見てみました。
 想像していたよりコメディ寄りで楽しかったです。

 まだ自宅にテレビがあった頃(20年程前)家族でご飯を食べながら、フィギュアスケートの中継放送を眺めたのを思い出し、懐かしかった。
 今も昔もフィギュアスケートの知識は皆無ですが、
「ミスを全くしないのに、心をつかまないスケート」
 と、
「転んだのに、オオッと思わせるスケート」
 があって、オオッと思わせたスケートの方がちゃんと点数高く出るんですよね。
 ど素人の感覚にも沿う採点システムすごい。

 「ユーリ!!! on ICE」はそういう選手一人一人の滑り方の違いをアニメで表現しており、新鮮でした。オープニング映像もすごくお洒落でわくわくする。

 主人公の勇利、コーチのヴィクトル、ライバルのユーリはもちろん、各国の選手がみんな可愛くて愛おしい。
 タイのピチットくんが特に好き。

 前に、フィギュアスケートの選手が事件に巻き込まれて亡くなったニュースがありましたよね。
「ファンは悲しんでいるだろうな」
 とその時も思ったけれど、このアニメを見た後、彼のファンだけでなく、フィギュアスケート好きな人全員が耐え難い気持ちになっただろうと感じた。どんな人だって亡くなるのは悲しいし、殺されたりしてはいけない。でも特にフィギュアスケートの選手というのは、
「人間には肉体と感情があり、それは美しいものなのだ」
 ということを、体現している存在である気がする。

 架空の「ユーリ!!! on ICE」の登場人物たちでさえ、傷一つ付けないで欲しい、と祈ってしまうのだから……(ケガする展開がなくてホッとしました)

 鮮やかに曲に乗って滑る勇利が、普段は地味な眼鏡男子だったり、氷上では天使にしか見えないユーリが、リンクを出た途端ガラの悪いヤンキーになったり、ギャップも素敵。
 タイのピチットくんやカザフスタンのオタベックの、エキゾチックな動きも良い。
 オタベックとJJ(カナダの選手)の声が、細谷佳正さんと宮野真守さん(「ちはやふる」の新と太一)で、君らここでもライバルか、と可笑しかった。

 故郷で応援している人たちもみんな優しい。
 ユーリのおじいちゃんが言った、
「ユーラチカ(ユーリの愛称)強くなったな」
 というセリフは「試合に勝てるようになった」という意味ではなく「わがままなユーリが自分に克てるようになった」のを喜んだのだと思う。

 勇利の地元、長谷津(モデルは佐賀の唐津らしい)の人たちも、繊細な勇利をほど良い距離感で見守っている。
 博多の南くんも含め、九州の言葉が好きな私にはたまらない設定でした(お母さんの「よかよか」とかとか!)

 ピチットくんが滑る「王様とスケーター」ふーん、そういう映画があるんだ〜 と思ったら、架空の作品で、曲もアニメオリジナルと分かりびっくり。
 ピアノ協奏曲もクラシックかと思ったらオリジナルだった。
 細部まで凝ってますね。

 スケートは思いのままのヴィクトルが、勇利の揺れる感情に手を焼く。
 勇利はヴィクトルに対し「支えて欲しい」「競技者に戻って欲しい」という相反する気持ちを抱き、苦しむ。
 全てを終わらせようとする勇利を、彼にしか出来ないやり方で止めようとするユーリ。
 最終回まで見て、彼らが送った一年の価値が分かり、心に残った(ヴィクトルがユーリを抱きしめる場面にオタベックのセリフが重なるところ、競技後のユーリの涙も良いよね……)

 劇場版も制作中のようで、楽しみです♪
 
posted by 柳屋文芸堂 at 11:17| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2019年11月23日

アニメ「ばらかもん」感想

 東京で問題を起こした書道家が、長崎県五島列島の福江島で生活し、自分を見つめ直すお話。
 確かに書道は、字の形を整えると個性が消えていくから、考えれば考えるほど正解が分からなくなりそう。
 島民と交流したり、美しい自然を見たりして、何かを掴み取ろうとする姿が切実で良かった。

 そして何より、島の方言を話す子供たちが可愛い!!
 真の主人公は彼らなんじゃないかと。
 五島列島行ってみたいな〜

 書道家役は小野大輔さんで、勇ましいキャラのイメージが強かったのですが、今回はかなりのヘタレで新鮮でした。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 20:52| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2019年11月16日

2007年に読んだ漫画

3月31日にサービス終了したジオシティーズにあった記録。

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しりあがり寿&西家ヒバリ いっしょぐらし! 光栄 夫婦本。面白かった!

浦沢直樹 プルートウ1 小学館 面白い〜 ロボットたちが切ない!

浦沢直樹 プルートウ2 小学館 面白い〜 ロボットたちが切ない!

浦沢直樹 プルートウ3 小学館 面白い〜 ロボットたちが切ない!

浦沢直樹 プルートウ4 小学館 面白い〜 ロボットたちが切ない!

浦沢直樹 プルートウ5 小学館 トビオ(として振る舞うアトム)と、天馬博士の会話がすごく好き〜

鬼頭莫宏 ぼくらの1 小学館 まあまあ。

鬼頭莫宏 ぼくらの2 小学館 まあまあ。

鬼頭莫宏 ぼくらの3 小学館 まあまあ。

鬼頭莫宏 ぼくらの4 小学館 まあまあ。

鬼頭莫宏 ぼくらの5 小学館 まあまあ。

鬼頭莫宏 ぼくらの6 小学館 まあまあ。

鬼頭莫宏 ぼくらの7 小学館 まあまあ。

荒川弘 鋼の錬金術師1 スクウェア・エニックス 病院で途中まで読んだ。けなげだーっ!

荒川弘 鋼の錬金術師2 スクウェア・エニックス  

荒川弘 鋼の錬金術師3 スクウェア・エニックス  

荒川弘 鋼の錬金術師4 スクウェア・エニックス  

荒川弘 鋼の錬金術師5 スクウェア・エニックス  

荒川弘 鋼の錬金術師6 スクウェア・エニックス  

荒川弘 鋼の錬金術師7 スクウェア・エニックス  

荒川弘 鋼の錬金術師8 スクウェア・エニックス ここまで。まだ途中。

坂口尚 石の花1 講談社漫画文庫 面白かった!

坂口尚 石の花2 講談社漫画文庫 面白かった!

坂口尚 石の花3 講談社漫画文庫 面白かった!

坂口尚 石の花4 講談社漫画文庫 面白かった!

坂口尚 石の花5 講談社漫画文庫 面白かった!

手塚治虫 鉄腕アトム7巻 講談社 プルートウの原作が入っている。浦沢版も手塚版もウランちゃんが可愛いなぁ。それにしても原作にくらべて浦沢版長過ぎ!! 面白いから良いけどさ。

手塚治虫 メトロポリス 講談社 次回作の資料……のつもり。

小栗左多里 イタリアで大の字 ヴィレッジブックス チーズ工場の事が載っていた!

水木しげる 猫楠 南方熊楠の生涯 角川ソフィア文庫 研究者の話として読むつもりだったのに、バカ男伝として楽しんでしまった。でも最後のあたりは切ない。

杉浦日向子 ゑひもせす ちくま文庫 初期作品集のようだ。どれも良かった。

杉浦日向子 東のエデン ちくま文庫 再読。らしゃめん可愛いのう。

杉浦日向子 YASUJI東京 ちくま文庫 「絵描きさんかえ」のシーンが最高!

杉浦日向子 ニッポニア・ニッポン ちくま文庫 三味線の話が良かった。

萩尾望都 Marginal1 小学館文庫 再読。すっかり忘れていた。

萩尾望都 Marginal2 小学館文庫 再読。すっかり忘れていた。

萩尾望都 Marginal3 小学館文庫 再読。すっかり忘れていた。

萩尾望都 フラワー・フェスティバル 小学館文庫 ドタバタ系。面白かった。

萩尾望都 ローマへの道 小学館文庫 フラワー・フェスティバルを読んだら他のバレエ漫画も読みたくなって。こっちの方がシリアス。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 09:54| 読書 | 更新情報をチェックする