2019年11月11日

「マルセル・デュシャンと日本美術」展 感想

 2018年10月2日〜12月9日まで、東京国立博物館で開催していた展覧会。
 去年の今頃見に行ったものの、感想を書き損ねていた。

 デュシャンの作品は国立新美術館での展示が印象に残っている。
 日用品をそのまま芸術にしてしまう「レディメイド」
 国立新美術館は作品の見せ方がやたらとスタイリッシュだった。

 単なる日用品(車輪など)にくっきりと美しい影が付き、
「確かにこれは芸術だ」
 と思わせる。しかしこれは「展示の力」であって、デュシャン作品の力とは言えないのではないか。
 私は国立新美術館学芸員の「展示技術」を見ただけで、デュシャン作品の本質を見つめることは出来なかったのではないか……

 東京国立博物館の展示は程よくざっくりしており、影も薄めで、作品そのものを見られた気がした。
 しかしそれでもやはり影が格好良い。

 画家だった頃の作品も見ることが出来た。
 妹を描いた肖像画「ピアノを弾くマグドレーヌ」など、どれも洒落た雰囲気だ。

 ピカソが何をやっても洗練された作品を作ってしまった(もう少し野暮ったいものを作りたかったのでは、と想像するのだが)のと同じように、デュシャンも「センスの良さ」から逃れられなかったのだろう。
 自分で描く時も、既製品を選ぶ時も、良し悪しを判断する基準はデュシャンの中にある。

 私は物語を見るのも読むのも書くのも好きで、子供の頃から物語のことばかり考えてきた。
 それゆえ物語には懐疑的で、物語を単純に「善いもの」と看なせない。
 デュシャンも様々な表現方法を試し、美術について深く長く考え尽くしたからこそ「美術を否定する美術」に辿り着いたのだと思う。

 決して美術を軽んじていたのではない。
 価値があるとされている行為をそのまま繰り返せず、
「そこにどんな意味があるのか」
 と立ち止まってしまう感覚はよく分かる。

 絵を描くのをやめたデュシャンはチェスや女装をしていたそう。
 今月書いた6つのブログ記事のうち3つで女装の話をしてますね?
 何故私が行く先々に女装男性が用意されているのか。
 狙っているわけではないのに。

 デュシャン作品と日本美術を混ぜて展示していたら嫌だな、と思っていたらそうではなく、デュシャンの生涯を追った後に、その視線で日本美術を見てみよう、という会場構成でホッとした。

 現代美術から学んだ「分からない物事を恐れず、ゆっくり考える」姿勢は、人生の難しい局面(家族の介護など)でも十分に役立っている。
 デュシャンさん、変な実験を始めてくれてありがとう。
 デュシャンさんのセンスが悪かったら、誰も顧みなかったかもしれないね。

 結局のところ「何をするか」ではなく「どんな基準を持つか」が「美術」なのだろうな。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:59| 美術 | 更新情報をチェックする

2019年11月09日

アニメ「はたらく細胞」感想

 赤血球や白血球など、体内ではたらく細胞たちを擬人化した物語。子供の頃に読んだ学習まんがを思い出す。
 体内で起きることを「事件」にしていくのが上手くて面白い。

 声優さんたちの配役も良かった。

 ヘルパーT細胞と制御性T細胞が、櫻井孝宏と早見沙織(「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」のゆきあつとつるこ。良いコンビ!)
 キラーT細胞が、小野大輔(「ジョジョの奇妙な冒険」の承太郎、「進撃の巨人」のエルヴィン。勇ましい!)
 赤血球の後輩が、石川由依(「進撃の巨人」のミカサ。絶対後輩にしたくないタイプ)
 がん細胞が、石田彰(「エヴァンゲリオン」のカヲル。味方と見せかけて敵)

 声優さんを覚えると、ストーリー展開だけでなく、
「誰がどんな役を演じるか」
 を楽しめるようになるのが良いですね。

 細胞たちはこんなに頑張っているのに、私は自分の体を大事に出来てないなぁ、と反省した。
 彼らがベストを尽くせるよう、バランス良く栄養を摂り、運動をし、規則正しい生活を心がけたいです。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 22:57| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

アニメ「進撃の巨人」感想

 dアニメストアで「進撃の巨人」Season1〜3を見ました。

私「次、『進撃の巨人』を見てみようと思うのだけど、あれ戦う話かな?」
D「めちゃくちゃ戦うよ!!」

 という会話をするくらい、全く内容を知らない状態での視聴でした。

 まずオープニング(Season1前半)が格好良い!
 私の中の中二がうずく……!!

「壁に囲まれた街で育ち、そこから出られない」
 という設定もすごく好み。

 壁の外には巨人がいる。
 これが圧倒的に強くて、このままだと10話いかないうちに人類滅亡しちゃうのでは? と心配になるほど。

「うわー!!」と悲愴な声を上げる人間を、巨人がむっしゃむっしゃ食べる場面を見ながら、焼き魚を食べたりするのはムリですね……

 巨人たちを殺し、壁の外に出れば、自由になれると信じている主人公のエレン。
 しかし話が進むにつれ、世界はそれほど単純ではないと分かってくる。

 壁の中で一般に信じられている歴史と、立場によって異なる複数の歴史。
「どの歴史を事実だと思うか」
 によって人々が対立する様子が、現代日本で起きている問題を想起させる。

 子供の頃の願いが叶っても、本当の願いは叶わない。
 それを実感し、大人になるエレンが悲しい。

 全体的に深刻な展開が多い中、食欲魔神のイモ女(サシャ)にたびたび和んだ。

 体力のないアルミンが、思考と言葉によって事態を打開していくのが気持ち良かった。
 アルミン、賢くて可愛くて大好きです(女装シーンもあった。ありがとうございます)

 ミカサの一途さが愛おしい。リヴァイの意外な優しさも良い。
 ライナーの二面性の描き方も興味深い。
 ユミルのクリスタへの愛も切ない(両方女性です)

 巨人の得体の知れなさ、次々やって来る新しい巨人の恐ろしさ(どんな風に攻撃して来るか予測できない)仲間の中に巨人がいるかもしれないという不安。ダークファンタジーのつもりで見始めたけど、もうこれホラーでは?!

 登場人物たちも、見ている側も、先が読めなくてハラハラして見るのをやめられない〜!! と最後の方は家事も食事もほっぽり出して熱中してしまった。物語の見せ方が上手い。

 最終的に謎が解けるのも好感が持てる(エヴァや春樹など、謎の解けない物語で育ったため、ちゃんと答えが用意されているのか! と感心してしまった)その内容も期待を裏切らない。

 最近のアニメはアニメオリジナルの変なラストにしたりせず、シーズンを分けて原作通り(たぶん)に制作してくれるのがありがたい。
 2020年秋にファイナルシーズンが放送開始するそうで、それまでちゃんと話を覚えていられるだろうか……
 また全部見ちゃいそう……

 この記事を書くためにユミルの情報を調べたら、声優が初音ミクと同じ人でびっくりした!!(藤田咲さん)
 全然違うタイプ!! 声優さんすごい〜!!
 朴璐美さん(ハガレンのエド)が演じる女性マッドサイエンティスト、ハンジも素敵です。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 11:22| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2019年11月07日

「正倉院の世界」展 感想

 ルノワール展へ一緒に行った友人が、
「正倉院展にも見たいものがあって……」
 と言い出した。
「よーし! ハシゴしようぜ!!」
 横浜から、東京国立博物館のある上野へ移動。
 金曜日と土曜日は午後9時までやっているというので、夕食を食べてから入館しました。

 夜だというのにすごい人!!
 昼間は数十分の入場待ちがあったそうだから、並ばずに入れただけ良かったのかも。

 前期・後期でかなり展示替えがある。
 友人が見たかったのは「螺鈿紫檀五絃琵琶」これは前期(11月4日まで)のみの展示。
 私たちが行った時はギリギリセーフで間に合った。

 足利義政、織田信長、明治天皇が切り取った跡の残る黄熟香。
 香木なんて長く置いておいたら香りが飛んじゃうんじゃないの? と思いきや、明治時代にもちゃんと燻煙が立ったという。

 宝物を修理したり、実物と同じ素材を使ってレプリカを作ったり、崩れた宝物の塵も捨てずに分別したり、正倉院に残された史料を守る地道な努力に心打たれた。
 私は今、歴史に不明点の多いポリネシア文化を調べているので、こういう宝物の管理が未来に役立つのがよく分かる。

 美術館なんて何軒でもハシゴ出来るぜ! という気分だったのに、家に帰ったら魔法が解け、疲れやすい42歳のおばさんに戻り、ばったり倒れてグーグー眠りました。
 楽しい一日でした♪
 
posted by 柳屋文芸堂 at 10:52| 美術 | 更新情報をチェックする

2019年11月06日

「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展 感想

 横浜美術館で開催中の「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展に行ってきました。
 音声ガイドを借り、上白石萌音ちゃんの可愛い声と、福間洸太朗さんが演奏するサティやドビュッシーを聴きながら、優しい色彩の絵画を見ていく幸福!
 日々の疲れがふわ〜っと消えた。

 ドビュッシーも音楽の世界で印象派と言われる。
 ルノワールが描いた「ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル」のルロル家では、音楽の夕べにドビュッシーを招いていたそうだ。
 絵画と音楽の印象派のつながりを感じ、興味深かった。

 前は印象派の展示というと大混雑したものですが、今回は割と余裕がありました。
 心をリフレッシュしたい方は良い機会だと思います。
 ぜひどうぞ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 15:21| 美術 | 更新情報をチェックする