2012年09月22日

徐 坤「郷土中国」感想

 陳家の老ニ(次男)が正月に帰ってくる!
 親戚たちは大騒ぎになった。
 一家が最も苦しい時に家族を捨てて出ていった老ニ。
 母や老大(長男)の葬式にも帰って来なかった男を、許せるはずがあろうか。
 しかし実際に年老いた老ニと、老ニの息子たちを見ると、涙、涙で迎えることになる。
 やはり我々は同じ「一族」なのだ。
 酒宴が進むうち、酔っ払ってだんだん横柄になってゆく老ニの長男。
 ついに老大の長女がブチ切れた!

 中国の大家族のホームドラマです。
 貧しい中で苦労した老大・老ニの世代と、経済成長で豊かになった次の世代。
 学を身につけ、上の世代に反抗ばかりする孫の世代。
 それらが全員集まって、酒を酌み交わすお正月。
 何だか妙に懐かしく、他人と思えない。

 そしてこの作品の舞台になっているのが、中国東北部の遼寧省。
 「中国嫁日記」の月ちゃんの出身地ですよ!
「(中国の)東北女は一瞬で怒り、一瞬で怒りが消える」
 という話が出て来ますが、「郷土中国」の老大の長女もそうだったので笑ってしまった。
 これが「鋼の東北人(ドンベイレン)」か。
 そのカラッとした気質が、読後感をさわやかにしています。
 
 この作品も「中国現代文学 第2号」に載っていました(これ
 当たりが多いなぁ。
 別の巻も少しずつそろえたいです。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:48| 読書 | 更新情報をチェックする

2012年09月21日

報道

 反日デモに関する報道をあれこれ見ていますが、新聞やラジオのニュースより、中国で暮らしている(もしくは暮らしたことのある)一般の人の文章の方が読み応えがあって面白い。
 マスコミがまとめた途端に、大切な何かがこぼれていってしまう。
posted by 柳屋文芸堂 at 02:43| 社会 | 更新情報をチェックする

2012年09月20日

ほんのまくらの答え合わせ

 紀伊國屋書店 新宿本店の「ほんのまくら」フェア、9月23日(日)まで答え合わせやってるそうですよ〜
 ネットでは発表してくれないみたい。
 売り場に来いと!(そりゃあね……)
posted by 柳屋文芸堂 at 00:05| 読書 | 更新情報をチェックする

2012年09月19日

畢 飛宇「コオロギ コオロギ」感想

 コオロギは死者の化身だと信じられている。
 ニ呆(アルタイ)は無能だが、コオロギに関しては名人だ。

 誰かが「おまえはなぜいつも獰猛なコオロギを捕まえることができるんだ」とニ呆に聞いたことがある。ニ呆はそれに答えて言った。「生きている人間を一人一人じっと見ているんだ」

 強姦中、九回やって腹上死した男。
 人民戦争の記念行事中に水死した若い娘。
 五枚の舌で五ヶ国語を操ると噂され、孤独に死んだ老人。

 夜になるとニ呆は無縁墓地へ行き、じっと耳を澄ます……

※色を変えた部分が引用、他は私がまとめたあらすじ。

 中国には、コオロギを闘わせる「闘蟋」という習慣があるそうです。
 勝つために強いコオロギを探すわけですね。
「死んだらコオロギになる」
 という考え方の方は、どれくらい一般的なのか分かりません。
 映画「ラストエンペラー」にそれを思わせるシーンがあったような。

 現実を現実としてリアルに描いていながら、幻想的な物語。
 そして切ない。
 コオロギの声を聞いた時の、ふわっと魂をもっていかれるような感覚がよく出ている。
 今の季節にぴったりですね。

 「中国現代文学 第2号」という学術同人誌(?)みたいなのに載っていました。
 おお、Amazonでも買える!(これ
posted by 柳屋文芸堂 at 01:01| 読書 | 更新情報をチェックする

2012年09月18日

レイ・ブラッドベリ「華氏451度」感想

 焚書というテーマに惹かれて読んだのだけど、どうしても、
「一九八四年」
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」
 と比べてしまって、物足りなく感じた。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:58| 読書 | 更新情報をチェックする

2012年09月16日

戦争なんてもう古い

 中国の反日デモがすごいことになっていますね。
 日系企業の工場が再起不能になるまで破壊されたり。
 中国人だって沢山働いているのに……

 企業は国籍関係なく世界中に網を広げている。
 一つの国家の中だけで経済が完結している国など、もはや無いのではないか。
 特に中国・韓国・日本の「人と物」は複雑に入り組んでいる。
 かつてのように、単純な戦争は出来ないのだ。

「戦争なんてもう古い」
 はずなんですよ。
 私はそう信じてる。

 このデモが、天安門事件のようなことにならないよう祈っています。
 日本人も、中国人も、痛い思いや苦しい思いをなるべくしませんように。
posted by 柳屋文芸堂 at 23:29| 社会 | 更新情報をチェックする

松田恵美「きもの番長」感想

 という訳で着物本の感想〜
 題名で分かると思いますが、読み物風の方です。
 普段着用の着物が中心で、コーディネートは非常に現代的。
 色鮮やかなイラストをパラパラ眺めているだけで楽しい。

 本のあちこちに、着物を着るためのハードルを下げる工夫が出て来ます。
 作者の松田恵美さんは、体を壊して着物を着られなかった時期があり、
「楽に着るにはどうすれば良いのだろう」
 と考えるようになったそうです。

 いつか彼女のように、気負わずに着物を楽しめるようになれたら素敵だな〜 と思いました。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:03| 服・雑貨など | 更新情報をチェックする

2012年09月15日

今日あった良いこと

 今日はPIPPO(レンタル暗室)でプリント作業をしてきました。
 一緒に暗室に入った人が、同じ写真学校に通っていると分かって、びっくり。
 ついつい沢山話しかけてしまったわ。
 私のクドさにおびえることもなく(珍しい!)楽しそうに聞いてくれて嬉しかった。

 帰り、本屋に寄って、着物の本を購入。
 基本をしっかり学べそうな事典風のものと、ほぼ全ページにイラストが入っている読み物風のものを。
 好みの本が見つかって良かった。

 帰宅すると、高校時代の友人から、出産報告のメールが。おお。

 世界は完璧ではないけれど、時には美しい日もあります。
posted by 柳屋文芸堂 at 02:29| ラッキー | 更新情報をチェックする

2012年09月14日

着物ルール

 着物は種類によって格が決まっていて、出かけられる場所・出かけられない場所があったりする。

先生「浴衣で歌舞伎に行ったらおかしいし、紬は高価なものでも結婚式では着られない」
 私「私はどんな場所にもブラジャー無しのワンピースで行っちゃいますからねー
   一枚脱いだらパンツ一丁ですよ」
先生「小学生か!!」
(↑三味線の先生)

 着物の格も分からないけど、場所の格もよく分からない。
 私にとってはDちゃんの前にいる時(つまり家庭)が一番格が高くて、他の場所はどうでもいい。
 そうか、私にとっては裸が一番格が高いんだな!
 パンツ一丁は礼装、一枚だけのワンピースは準礼装にあたります。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:28| 服・雑貨など | 更新情報をチェックする

2012年09月13日

エルンスト・H・ゴンブリッチ「若い読者のための世界史」感想

 イルゼに
「きみはいつも耳をかたむけてくれたね
 そのとおり書くよ」


 という文章でこの本は始まっている。
 作者が25歳の時に、恋人に語り聞かせながら完成させたものだから。
 成り立ちからしてロマンチック。

 戦いは悲しみに震える文章で、美しいものは喜びに輝く文章で描かれる。
 影絵みたいな挿絵の雰囲気と相まって、まるでファンタジー小説のよう。
 歴史解説書としては、色んな意味で型破りだ。

 第一次世界大戦まで語った後、
「五〇年後のあとがき」
 というのが入る。
 この本が最初に書かれたのは1935年。
 75歳になった作者は、自らも巻き込まれた第二次世界大戦について話し始める。

 ユダヤ人家庭に生まれ、大学で歴史(ただし専門は美術史)を学んだにもかかわらず、1935年の時点ではユダヤ人の虐殺が起こるなんて、全く想像出来なかったそうです。
 一寸先が闇なのは、現代だって同じだよね。
 世界史に出てくるどんな恐ろしい事件より、印象に残ったな。

 「若い読者」はもちろん「若くない読者」も十分楽しめる本だと思います。
 歴史好きより「物語好き」に読ませたい。
 ほんと、素敵な本だった!
 ラジオで薦めてくれた荒川洋治さんに感謝。

 世界史といっても、ヨーロッパ史が中心なのでご注意を。
 中公文庫で上下巻に分かれて出ています。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:25| 読書 | 更新情報をチェックする