2012年11月30日

同人誌の感想を言う難しさについて

 同人誌即売会で買った本の感想を言うのは難しい。
 活動を始めた頃はメールや掲示板でこまめに書き手に伝えたものだけど、最近はあまりやっていない。
 ちょっと否定的なことを書くだけで、みんなものすごく落ち込んじゃうんだもの。
 私の意見なんて多数の中の小さな一つでしかないのに。

 たとえば同じ文章を読んでも、
「緻密な描写が素晴らしい」
 と思う人もいれば、
「描写が長くてかったるい」
 と感じる人もいるわけだ。

 小説は手紙ではない。
 ただ一人に届けば良いわけじゃない(と私は思っている)
 多くの意見を聞いて初めて、自分の小説がどのように読まれるのかが分かる。

 私はなるべく多くの感想が欲しいと思っていた。
 だから自分でも感想を書いた。
 他の人も感想を欲しがっていると思って。

 活動を続けるうち、どうもそうではないらしい、と気づいた。
 たとえばTwitterで、
「お腹空いたー」
 とつぶやいた人に、
「今どこにいて、何を食べたいのかを書かないと、誰も食べ物を恵んでくれませんよ」
 と返すのはおかしい。

「お腹空いたー」
 とつぶやいた人は、単にお腹が空いたからそう言っただけなのだ。
 特に反応は期待していない(のだと思う)
 これと同じように、
「書きたかったから書いただけ」
 という小説も十分ありえるし、それに対して何か言われても書き手は困るだろう。
 私はずいぶんトンチンカンなことをやっていたのだ。

 では「感想募集中」等と書かれている本にだけ感想を書けば問題が無いかというと、そうでもない。
「感想=褒め言葉」
 と考えている人もいるので要注意だ。
 褒めるだけにすれば良いのかもしれないけど、そういう関係って私は虚しいんだ。

 私は相手の本音が聞きたかったし、私も本音が言いたかった。
 そういうのが無理なんだなー と気づいた時、同人誌即売会に出るのをやめようかと思った。
 でも、在庫があったからさー
 その後は細々と、やや閉じこもり気味に続けている。
 
 プロが書いた小説や漫画の感想を書くのはラクで良い。
 相手が落ち込んだりキレたりしないんだもの。
(もしかしたらエゴサーチして見てるかもしれないが、直接会ったりしない。
 昔の作家なんて死んでたりするしな)

 多くの読者を相手にするプロは、本当にタフだ。
 アマチュアとの一番大きな違いかもしれないね。
posted by 柳屋文芸堂 at 23:36| 同人活動 | 更新情報をチェックする

プランタン銀座のねこ展

 友人(琴坂映理さん)が出展しているプランタン銀座のねこ展へ行って来ました。
 ただ猫グッズを売っているだけかと思いきや、作家さんたちが各々スペースを持っていてびっくりした。
 ちょっと同人誌即売会みたいな雰囲気があって面白かった。
 一人が受け持つ面積が大きいし、売っているのは雑貨中心なんだけどね。
 (公式サイトはこちら

 私は彼女の店(持ち場?)で絵本を三冊購入。
 やっぱり買ってしまうのは本だ。
 彼女の猫のイラストは完全写実じゃないんだけど、リアル。
 特に手足の動きや体の伸ばし方が。
 年がら年中猫を見つめているんだなー と愛を感じます。
 もちろん可愛い。

 猫好きの人、同人誌即売会のグッズスペース好きの人はぜひどうぞ。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:15| 友達 | 更新情報をチェックする

2012年11月28日

赤い生き物の冒険

私「赤い生き物がいました」
D「彼は何をしているの?」
私「踊ってる」
D「どこで踊っているの?」
私「iPhoneの中。赤い生き物はiPhoneの画面から飛び出してきました」
D「ほうほう」
私「赤い生き物は、台所へ行って遊んでいるうち、流しの横にある謎穴に入ってしまいました。あたりはカビだらけで変な臭いがします。出たくても出口に柵があって出られません。大変だ!」
D「イヤだなぁ……」
(うちの流しには「第二排水口」みたいな穴があるのです。よく洗面台についているようなやつ。掃除しにくいので放置してあるけど、湿気の多い場所だし、中が悲惨な状態になっているのは容易に想像出来る)
私「命からがら脱出し、赤い生き物は食器用洗剤で自分の体を洗いました。すっかり綺麗になってマットの上に飛び降りると、まな板からこぼれた刻みネギを踏んでしまいました。足がヌルヌルしてネギ臭い」
D「あ〜」
私「そのままマットの上を歩いていくと、今度は茹でる前に落っこちた硬いスパゲティが足に刺さりました」
D「痛い痛い」
私「赤い生き物は壁をよじ登り、ガス台の裏っ側を覗きました。『……見なかったことにしよう』」
D「いやいや赤い生き物は別にガス台の裏の掃除をする必要ないんだから、見て見ぬ振りしなくても良いんじゃない?」
私「さらに壁を登って、赤い生き物は換気扇フィルタにぶら下がりました。溜まっていた油が体じゅうについてベタベタします。流しに戻って洗剤で洗っても、ちっとも落ちません。三回洗ってようやくベタベタは取れましたが、洗い過ぎであちこちヒリヒリします」
D「可哀想だなぁ」
私「赤い生き物は乾物入れにもぐり込み、片栗粉の袋に飛び込みました。キュッキュッ! 全身真っ白です」
D「その後、溶き卵つけられて揚げられそうになるの?」
私「そうそう。巨大生物のり子は黄色くなった赤い生き物を菜箸でつまみ上げ、ニターッと笑うのです。赤い生き物は必死で逃げきり、夜の川越をとぼとぼ歩いていました」
D「何故急に川越! 遠いよ! とぼとぼし過ぎ!」

 いい歳して寝物語をせがまないで欲しい。しかも、
「ツッコミで盛り上がっちゃって眠れない」
 とか文句言わないでよねー
posted by 柳屋文芸堂 at 23:31| 与太話 | 更新情報をチェックする

みかんおばけ?

 円城塔が日本に帰ってきたみたいですね。
 別に会える訳じゃないのに、距離が近くなって少し嬉しい(恋だ!)

 彼がTwitterで上げていた動画(パラパラ写真?)が面白かった(これ
 柑橘類の一種で「仏手柑」というらしい。
 円城塔は可愛い物の収集を常に怠らないんだなぁ。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:39| ネット | 更新情報をチェックする

2012年11月26日

雲田はるこ「昭和元禄落語心中」感想

 落語家を目指す若者を、二世代に渡って描いた物語。
 舞台は昭和。落語を聴く時も「レコード」ですよ!
 絵柄も昭和の少女漫画っぽくしてある。
 池野恋の「舞ちゃんノン・ストップ」みたいな(ヤクザ出てくるし)……と言って通じる人は果たしているのか? 

 最初、落語風のセリフに戸惑ったけど、すぐ慣れた。
 落語が題材になっているだけじゃなく、この漫画自体が落語のように語られる。
 笑い、人情、色気。

 特に菊比古の性格が複雑で良いなぁ。
 女性的で、神経質で、プライドが高く、でも脆くて臆病なところもあり、意外と純情で、急に子どもっぽく甘えたりする。
 どう考えてもモテるよな。
 
 作中で取り上げられた落語をまとめてみた。

【1巻】
「死神」「応挙の幽霊」「宿屋の仇討ち」「出来心」
【2巻】
「初天神」「鰍沢」「野ざらし」「黄金餅」「あくび指南」「夢金」
【3巻】
「お染さん」「夏泥」「居残り」あと「弁天娘女男白浪(芝居)」

 同じ噺でも落語家によって演じ方が変わる所までしっかり描いているのがすごい。
 この漫画を先に読んだDちゃんと、
「落語を聴きに行きたーい!!」
 と騒いでおります。
 これを読んだらみんなそうなると思うよ。
posted by 柳屋文芸堂 at 22:45| 読書 | 更新情報をチェックする

2012年11月25日

交響楽団の苦しい財政

 先日の「イーハトーヴ」交響曲を演奏していた日本フィルハーモニー交響楽団、財政が苦しいようで、寄付をお願いするチラシがパンフレットに挟んでありました。(ネットにある情報はこちら
 今はどこの交響楽団も同じような状況なんじゃないかなー と想像するのだけど、どうなんだろう。

 残念ながら、私はそう大きな寄付は出来ない(ごめんよ)
 でも、たまに生のオーケストラを聴きに行く事が、支援になるんじゃないかと思った。
 クラシックが好き、と言いつつ滅多に演奏会へは行かないもんな。

 ラジオやCDで流れる録音と、実際に会場で味わう本物の楽器の音は、全然違う。
 録音は鼓膜を震わせるが、生の音は全身を震わせる。
 「セロ弾きのゴーシュ」みたいに、病気が治ってしまうような。

 こまめにチケットぴあのクラシックページをチェックするようにしようっと。
posted by 柳屋文芸堂 at 19:52| 音楽 | 更新情報をチェックする

2012年11月24日

ブルージュのほうけ者(brugse Zot)

 もやしもんに出て来たビールを飲んでみよう、第二十弾!
 とうとう、とうとう見つけたんですよ……!
 亜矢さんのおすすめ「ブルージュのほうけ者」を!!

zot1.jpg
↑Zot=ほうけ者

 場所は新宿南口、高島屋と東急ハンズが入っている建物の14階、
「ベルジアンビア・カフェ ブルージュ」
 ベルギービールをメインにしたレストランで、最近出来たみたいです。

 漫画の中でもたいそう美味しそ〜うに描かれているんですが、本当にこれは素晴らしい。
 まず香りが華やか。果物のような香りがいくつも重なっている感じ。
 ずっとかいでいたい。
 味は苦過ぎず重過ぎず、それでいて単純じゃない。

 はなちゃんが、
「副原料アリですか?」
 と尋ねた気持ちがよく分かる。
 原材料名は日本の普通のビールとそれほど変わらないんです。
 質の良い原料を使い、味を第一に考えた製法を選び、美意識の強い作り手と飲み手が磨きあげた。
 きっとそういう歴史を持つビール。

 レストランの方は、ドイツビールの店みたいな雰囲気。
 シュークルット(ザワークラウト)の酸味が弱いとか、店員の叫ぶ「メルシー!」の「ル」の発音が日本語そのままで気持ち悪いとか(中途半端にフランス語なんて使わないで「ありがとうございます」にすれば良いのに)色々文句はありますが、ビールが最高なのでちゃらにします。
 ポテトのサラダとソーセージは美味しかったです。

zot3.jpg
↑コースターも専用のものが出て来る。可愛い。

 便利な場所にあるので、もやしもんが好きな人はぜひ行ってみてください。
 私も絶対また行く!
posted by 柳屋文芸堂 at 10:58| 飲み物 | 更新情報をチェックする

2012年11月23日

冨田勲「イーハトーヴ」交響曲世界初演(出演・初音ミク)感想

 ミクが出る、というだけでそそくさとS席を取ってしまったD&私。
 冨田勲さんのことなんて全く知りませんでした。すみません。
 現代音楽の作曲家ということで、
「ドンガラガッシャーン!」
 みたいな曲だったら嫌だなぁ、と思っていたのですが、映画音楽なども手がけてきた方のようで、ドラマティックで聴きやすい曲ばかりでホッとしました。

 「イーハトーヴ」交響曲は宮沢賢治の作品を元にして作られた、七つの楽章からなる大曲です。
 編成もすごくて、オーケストラに児童合唱・男声合唱・女声合唱が付き、上のスクリーンでミクが歌って踊る!
 児童合唱にかなり泣いた。やっぱり賢治の世界って感じがするからね。
 ミクの声は最初オーケストラの音色に合わないような気がしてヒヤヒヤしたけど、第5楽章「銀河鉄道の夜」あたりになると彼女の幻想的な存在感が、音楽の中に自然に溶けていったように思います。

 ミク(というかボーカロイド)の面白さの一つに、
「作曲家が歌い手のキャラを作れる」
 というのがある。
 同じように初音ミクを使っていても、声質の設定や歌わせ方の違いで、
「わがままなアイドル」
「内気な女の子」
「父親に首を締められている娘」
 などなど、色んな「何か」になれるのだ。

 冨田さんの話で興味深かったのが、
「初音ミクに、トシのイメージを重ねた」
 というもの。「永訣の朝」などに出てくる、若くして亡くなった賢治の妹ですね。

「人間の声から作られた電子音」
 である初音ミクの声が、
「片足を死の世界に置いている者」
 のささやきになるのだ。

 初音ミクそのものは、何者でもない。
 作曲家は初音ミクという井戸を覗き込み、何かを見つける。
 その「何か」をみんなに伝えたくなる。
 オーケストラを使って。
 ニコニコ動画を使って。
 大御所も無名の学生もその気持ちは同じだと思うと、微笑ましいですね。

 しかしまあ、80歳を越えてミクの魅力を理解し、あんな大曲を仕上げてしまうエネルギー!
 ご本人も会場にいらしていて、席も近かった(さすがのS席)
「おじいちゃん、超良かったよ〜!!」
 と言って抱きしめたかったなぁ(無礼者)
posted by 柳屋文芸堂 at 23:35| 音楽 | 更新情報をチェックする

今日の夕飯メニュー

 鍋その1(豚肉・白菜・春菊・しいたけ・ネギなど)
 鍋その2(鶏肉・ごぼう・セリ・ネギなど)
 シチュー

 冬ですな。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:33| 料理・食べ物 | 更新情報をチェックする

2012年11月21日

柳屋文芸堂の文学フリマレポート(長くてすみません)

 文学フリマ前日、本の荷造りをしていたら、
「そのカバンには夢がいっぱい詰まってるの?」
 とDちゃんにからかわれた。
 そうさ、売れないと分かっていても、つい、たくさん持って行こうとしちゃうのさ……

 当日は浜松町で売り子のちかさんにばったり会った。
 モノレール内で漫画の特装版の話になり、
「テルマエ・ロマエのおち○ちん持ってるよー」
 と大声で叫んでしまった。

 自宅の鍵に付けているティンティナブラム(あの形の魔除けのお守り)をぶらぶらさせつつハッとする。
 公共の場で言って良い単語じゃなかったな。
 一人の心ないおばさんの行動が文学フリマの品位を下げたかもしれない。
 すみません。
 
 会場で売り場作りを済ませると、事務局代表の望月さんの挨拶が。
 注意事項の、
「ヱヴァのネタバレをしない」
 が良かったですね。

 望月さんの落ち着いた姿を見るたび、
「この人、四つも年下なんだよなー」
 とショックを受けます。
 何故私はアホな小学生の頭のまんま、歳だけ食ってしまったのか。
 
 開場してしばらくすると、上得意のHさんが来てくれました。
 何年も前から、新刊が出るたび必ず買ってくれるのである。
 名前を知る前は本当に神様の使いなんじゃないかと疑っていた。
「鳴かず飛ばずでもめげずに頑張れよ」
 というメッセージを届けてくれているのだと。
 個人的におしゃべりもするようになり、相手が人間だと分かった今も、どうしてこんな風に応援してくれるのか、分からない。

 人間は神様ではない。
 でも体の一部分だけが神様、ということはあり得るのだろう。
 その神様の面を私に向けてくれているのだ。
 うん、どう解釈しても奇跡だわ。

 今回、お隣のサークルさんとはほとんどお話しなかったのですが(ひっきりなしにお客さんが来て忙しそうだった)うちのポスターがはがれた時にガムテープを貸してくれたり、とても親切な方でした。
 オタクおばちゃん二人がうるさくしてすみません。
 スペースでカレーを食べて、あたり一帯の空気をスパイシーにしたりな……

 文学フリマ名物ターリー屋のカレー、ご飯の横に付いている刻んだキムチみたいなのが気に入っている。
 妙にカレーに合う。あれは何なんだろう。
 今回、遅く行ったのがいけなかったのか冷えていたのが残念で、
「温かければ三倍美味しくなるのに…… 誰かレンジでチンして……」
 と(脳内で)泣きながら食べました。

 食べている途中でサークル「温泉卵と黙黙大根」の武田さんが来てくれた。
 本を買ってもらい(うっかりカレーが付いちゃったかも……)色々お話しした。
 サークル名の由来を聞けたのが嬉しかったなぁ。

 武田若千さんと高橋百三さんの二人サークルなのですが、
「温泉卵でーす!」
「黙黙大根でーす!」
「二人合わせて『温泉卵と黙黙大根』!」
 というものでは全くないそうです。

 武田さんの木漏れ日のようなあたたかい文章と、高橋さんの月影のようなひやりとする物語が、組み合わせとして素晴らしい。
 もっと話題になっていいのにー
 といつも思っている。
  
 積読本が減ってきたので、買う気満々で他のスペースを見て回った。
 本を試し読みしている間、その本にかける熱い思いを語る人が多くて参った。
 こっちは結婚相手を選ぶくらいの集中力で文章を読んでいるのだ。
 邪魔しないで。

 電子書籍を売っているサークルも熱心に説明してくれたなぁ。
「見るための機械を持ってないんで……」
 と断りました。iPadが無いときついと思うんだよね。

 全体的に硬派な文章が多い印象。
 パンフレットを見ると、純文学ジャンルで活動しているサークルが60以上ある。
 私が昔「純文学製造・販売」という看板を掲げてコミケやコミティアに出ていた頃、純文学ジャンルは明らかに少数派だった。
 青臭く文学を追求する人たちに場所が出来たのは、ありがたいことですね。

 まあ私は現在ジャンルを変えて、ラブコメなんぞ書いている訳ですが。
 書きたい内容は自分でどうこう出来るものじゃないから。

 詩・短歌を中心に小説少々、という感じに見ていった結果、知らないサークルで買ったのは一冊だけ。
 サークル「スタジオ本脳寺」の「詐欺師はじめました」
 ジャンルは青春短歌(と勝手に命名)

 きみといた思い出ばかりのこの街は夏の間に爆破しないと

 とかとか。甘酸っぱい……!!

 知り合いの作品になるが、ぶりおさんの「デュエルカンパニー」も面白かった。
 小さい絵本で、サラリーマンを使ったカードゲームのパロディ。
「土の属性を持つ同期」
 って何だよ。

 ぶりおさんはうちのスペースにも来てくれたので、
「デュエルカンパニー最高でした!」
 と伝えると、
「僕もなかなか良いと思ってるんです」
 とニコニコ。
 変に謙遜しないところがステキだ。

 彼の驚異のデッサン力を文章でマネするのは不可能だけど、あのおっとりしたストーリー展開には学ぶべき点が多くあると思う。
 どの作品も読み終えた後「えー」とつぶやかずにはいられない。
 作風も本人も大好きだ。

 見本誌コーナーは三分の一ほど見て疲れてやめました。
 読めば読むほど、どれが良いのかよく分からなくなってくる。
 どんな文章が、人の心をつかむのだろう。

 アマチュア文芸で活動している人は基本的に「○○賞受賞」「この△△がすごい第1位」というようなブランドを持っていない。
 本の表紙と文章だけで勝負しなければいけない。
 知らない誰かに見初めてもらうには、川端康成の「眠れる美女」並みに強烈な一行目が必要なのではないか。

 逆に言うと、文学フリマで売れなかったとしても、自分を全否定する必要は全くない。
 あの会場にいる全員が、全部の作品を読んで、良い物を選んでいる訳じゃないんだもの。
 たまたま自分に合う作品と(あるいは自分に合う読者と)出会えなかっただけなのかもしれない。
 もちろん買ってもらうために作品の力を伸ばす努力をするのは大切なことだけれども。

「同人誌を選ぶのって難しいよねー」
 と売り子のちかさんに言うと、
「買って良かった、と心底思えるのは100冊のうち1冊。
 でもその喜びが、普通の本とは比べられないくらい物凄いから」
 うーむ、さすが22年間夏冬コミケほぼ皆勤のオタクである。
 オタク文化を支えているのは、彼女のような「ど根性読み専」なんだと思う。

 彼女を讃えるために、会場の隣のコンビニ(便利!)でヱヴァのポテトチップスを買う。
 おまけのカードを開けて、
「何、この負け戦!!」
 と叫ぶちかさん。
 初号機が使徒にやられている場面でした。
「カヲルくんが欲しかったのに……」←腐女子
 目的のカードのために、人命救助のマット代わりになるくらい買えば良いと思うよ。
(虚構新聞ネタより)

 うちの新刊は、
「オカマ先生の恋愛レッスン」
「オカマ板前と春樹カフェ」
 の二冊。
 表紙を拡大したポスターを机の前に貼ったので「オカマ」「板前」「春樹」あたりの単語に「オッ」となって本を見てくれたお客さんが多かったようだ。

 十年以上サークル活動を続けていると、せっかく即売会で仲良くなったのに、その後会えなくなってしまう人がけっこういる。
 文学フリマで最も再会したかったのは、肉十八さん。
 最後に話したのは秋葉原の会場ではないか。

 彼はいつも、即売会には不釣合いなほど洒落たスーツを着ていた。
 それが全くイヤミに感じない。
 すらりとした美男子で、最初に本を買ってもらった時には、正直ポーッとなった。
「こんな色男に私のふざけた文章を読ませて良いものだろうか……?」

 その後、彼が私なんて足元にも及ばない程ふざけた小説を書く人だということが判明する。
 何しろペンネームが肉十八だもんな。

 あの麗しい外見と、毎度バカバカしい「笑いの文学」
 ああ、肉十八を失ったのは文学フリマにとって大きな損失である。
 っていうか私にとって大損害だ。
 肉さんに会いたい。肉さーん!!
 と騒いでいたら。

 閉会三分前になって、スペースの前に肉十八さんが現れたのだ!
「キャーッ 抱きしめたい!!」
 マジで腕広げてたよね(と、のちにちかさんは語った)
 しかし旦那のいる身なので過ちを犯す訳にもいかず、てのひらをパチンと打ち合って再会を喜ぶ。
 いやはや驚いた。
 急に召喚魔法が使えるようになったのかと思った。

 お仕事で忙しいご様子でしたが、いつか時間が出来たら、また作品を発表して欲しいです。
 ああいう文章を書ける人ってなかなかいないもの。

 そんなこんなで楽しい時間を過ごした文学フリマ。
 売上げは、
「万歳三唱するほどではないが、責任を取って切腹するほどでもない」
 まあボチボチですな。

 読んだ方が満足してくれる作品を作れるように、今後も精進します。
 インパクトのある一行目も考えてみます。

 会場でお会いしたみなさま、ありがとうございましたー!!


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