2015年01月01日

「ハーブ&ドロシー」感想

 あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いします。

 さて私は「ハーブ&ドロシー」という映画を見ながら年越ししました。
 おじいちゃんとおばあちゃんと現代美術、と私の好きなものだけで出来ているドキュメンタリー。

 ハーブとドロシーはニューヨーク在住の老夫婦。
 つましい暮らしをしながら無名芸術家の作品を買い集めている。
 気がつけばコレクションは4000点を超え、芸術家たちも有名になっていた。

 売ってしまえば大金持ちになれるのに、彼らは決して作品を手放さない。
 家の大きさは1LDK。
 部屋はとうとうぎゅむぎゅむになり……

 芸術家たちは彼らに破格の安い値段で作品を売ることもあったそう。
 たとえばクリストとジャンヌ=クロードは、猫を預かってもらうことを条件に無料でドローイングを渡したとか。
 映像を見ていて、彼らが特別扱いされる理由がよく分かった。

 芸術家というのは「今ある言語」「今ある表現」では思いを伝え切れない人々、だと思うのです。
 自分の気持ちに最もしっくりくる伝達手段が欲しくて、新しい表現を作ってしまう。
 しかし新しい表現というのはなかなか理解されない。

 今ある表現を使えば、理解してくれる人は増える。
 それは人々に馴染みがあって、分かりやすいから。
 でもそうやって伝えたものは、本当に伝えたかったものとは微妙にずれている。

 今ある表現と新しい表現、どちらを使っても正確に気持ちを理解してもらうのは難しい。
 他者との間に壁を感じ、孤独に耐え切れず自ら命を絶つ芸術家も多くいる。

 ハーブとドロシーは、芸術家たちが何かを伝えるために作り出した「新しい表現」をしっかり見つめ、理解しようと努めてくれるのです。
 「新しい表現」というのは「新しい言語」のようなもので、すぐにパパっと意味が分かるものじゃない。
 普通だったら「意味不明のことを言っている」と判断して、無視するのが当然のところ。

 時間をかけて、労力を惜しまずに、本当に伝えたかったものを受け取ろうとしてくれる。
 孤独な壁のこちら側に手を伸ばしてくれる。
 そんな貴重な人たちに対して、お金がどうこうなんて、馬鹿げているよね。

 部屋が狭いために起こった出来事が可笑しかった。
 ベッドの下に作品を詰めていったため、ベッドの位置がだんだん上がっていったとか。
 作品を搬出してみたら引っ越し用のトラックで5台分あったとか。

 ハーブとドロシーの話が中心ですが、現代美術も色々見られて面白い。
 二人のラブストーリーに感動してDちゃんと盛り上がりたい! と思っていたのに、Dちゃんは取り上げられた作品の方に興味がいったようです。
 まあそのままでもラブラブだから良いんだけど。
 私も美術について暑苦しく語っちゃったしね……

 今年も素晴らしい芸術に沢山出会えますように。
 ハーブ&ドロシー、続編もあるそうなのでそっちも見たいな。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:57| 映画・映像 | 更新情報をチェックする