2015年08月02日

赤みそディストピア

 日本政府を倒して政権を握った名古屋政府は、赤みそ以外のみその製造を禁止した。

「昔のみそを食べられるって本当かぎゃあ」
「ここでは名古屋スピークを使う必要はない」
 隠し扉を開けると、そこは秘密の小料理屋。

「ああっ!」
 信州みそのみそ汁に、西京白みそで漬けて焼いたサワラ、きゅうりの麦みそあえ。
 男は夢中で料理を口に運んだ。

「ん?」
 これは本当にあの、懐かしいみそだろうか。
 そう思った途端、みそ汁が、西京漬けが、きゅうりが、真っ赤に染まった。

「これが名古屋の技術力だみゃあ」

 男は真みそ省に連れ去られた。
 嗜好犯罪である。

※名古屋スピークとは国民の思考を名古屋化するための人工言語。
 文末に「ぎゃあ」「みゃあ」を付ける。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 01:09| ショートストーリー | 更新情報をチェックする