2015年09月30日

物理学科の大学院生の思い出

 私が通っていた物理学科には実験の授業があって、その指導をしてくれた大学院生の話が今でも心に残っている。

 何を研究するか決めるのが一番大変。
 それさえ決まれば半分出来たようなもの。
 物理学に関する本は大量にあって、全てを読むわけにはいかない。
 研究するものが決まれば、読むべき本も決まる。

 というようなこと。

 小説書きも、どの話を書くか決めるのが一番大変かもしれない。
 小説のアイデア(書きたいストーリー、設定、登場人物、舞台、場面、等々)は割と簡単に思い浮かぶ。
 その中で、
「自分の能力の範囲内で書けて、書く価値のあるものはどれか」
 を考え、最善のものを選ぶ。
 望み通りに書くために、参考になりそうな本を読んだり、必要な準備をしたりする。

 本当にどうでも良いけどこの大学院生、いつもカウボーイみたいな服を着ていた。
 同じクラスの女子(かなりの美人)はこのカウボーイに足をもませていた。
 実験室では物理実験だけしましょうね……
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:19| 思い出 | 更新情報をチェックする

2015年09月29日

海原雄山の妻

「サラダに使うオリーブオイルを、シチリア産からギリシャ産に変えただけで、
『あ、いつもと違うね』
 とダンナに言われる」

 という話を友人たちにしたら、
「あり得ない!!」
 と驚かれた。

 世間の多くのダンナさんたちはそんなに食べ物にうるさくないらしい。
 Dちゃんとしか結婚したことがないからよく分からないけど。

 確か、漫画「美味しんぼ」に出てくる海原雄山の奥さんは、
「雄山が味にうるさいあまり、その心労で早死にした」
 という設定だったはず。

 それくらいで死んじゃうの?
 と子供の頃は不思議で、大袈裟な漫画的表現なのかと思っていた。

 自分がなってみて分かった。
 美食家の妻は大変です。

 私が一番「ヒーッ」となるのは、調理の手順をちょこっと抜いた時。
 たとえば梅干しを刻む時間がないから、チューブ入りの梅肉を使うとか。
 じゃがいもを皮付きのまま茹でて、その後皮をむくのは熱くて大変だからと、皮をむいてから茹でたりとか。

 出来上がる料理の見た目はいつも通りだし、食べられない味になったりはしない。
 しかし即座に、
「いつもと違うね」
 である。

 まあ、ちゃぶ台ひっくり返されたりする訳じゃないから良いんだけどさ。
(ちゃぶ台無いし……)

 その分、丁寧に手間かけて作ると、
「今日の料理は美味しいね」
 と言ってくれて、やり甲斐があるとも言えるのだけれども。

 何を食べさせても反応が一緒、という夫の妻の家事と、美食家の妻の家事を同じものとは思わないで欲しい、とは時々思う。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:08| 料理・食べ物 | 更新情報をチェックする

2015年09月28日

障害者の家族であるということ

 子供の頃から全盲の伯母(大)と暮らしてきたのだけど、障害者の家族であることをことさら書くつもりはなかった。
 たとえ一緒にいても、障害者の気持ちを代弁出来るわけではないから。

 でも最近になって、自分の経験がかなり貴重なものなのだと気付いた。
「目の見えない人に、てのひらで体の大きさを測ってもらって、セーターを編んでもらう」
 なんてこと、滅多にないんだよね?

 私はずーっと当たり前のように作ってもらっていた。
 サイズは常にぴったりだった。

 障害というのは不幸なものとして語られることが多い。
 確かに本人は大変なのだと思う。
 しかし私は障害者に育てられたことによって、大きな宝をもらった。

 それは「視点」だ。
 世の中には沢山の視点がある。
 大人の視点 子供の視点 男の視点 女の視点
 文系の視点 理系の視点 日本人の視点 外国人の視点
 等々

 多くの視点を持つほど、世界は立体的に見えてくる。
 また悩み事を解決するのにも役立つ。
 ある視点からは手詰まりに見えた問題も、別の視点から見ると解決法が分かったり。
 問題そのものがバカバカしく感じられたり。

 障害者に対する、世の中の過剰反応。
 そういうものを冷静に見られるのは「障害者の家族だけが持てる、特別な視点」と言えると思う。

 この視点を強調して何か書こうとは思わない。
 お道具箱のハサミのように必要な時だけ取り出して、世界を切り取りたい。
 ちょきちょきと。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 01:50| 家族 | 更新情報をチェックする

2015年09月26日

○○○のスープ

「帰ってくる途中、虫がぶつかってきてさ」
 とDちゃんが言う。
 私は夕飯の準備をしながら、
「そりゃ災難だったね」
 と返した、ら。

 何かが飛んできて、後頭部にとまった気配。

「ちょっと、その虫、連れて来ちゃったんじゃないの?! 私の頭見て!!」
「うわぁぁぁ!」

 Dちゃんはティッシュ箱で後頭部の「何か」を突いている。
「ねえ、これ何なの? 何なのーっ?!」

 Dちゃんが答えるより先に、その何かは後頭部を飛び立ち、台所の扉にとまった。
 見に行くと、
「わっ、すごい立派」

 それは大きなバッタ?だった。
 虫に詳しくないので正確な種類は分からないが、鮮やかな黄緑色で、長い後ろ足がある。

「サヤエンドウにそっくりだねぇ!」
「僕はのりがオクラのイヤリングをしてるのかと思ったよ」
「自分で連れてきておいて……」
 Dちゃんはみその空き箱を使ってその虫を捕まえ、外に逃がしてくれた。

 ようやく落ち着いて、夕飯。
「今日は、バッタのスープ!」
「思っても言わないようにしたのに……」

 折り悪く、その日のスープには鮮やかな黄緑色のスナップエンドウが入っていたのだった。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 21:35| 自然 | 更新情報をチェックする

2015年09月25日

伯母が多過ぎる

 ちなみにショートストーリーに出てくる伯母はだいたい伯母(小)だと思います(あんまり覚えてないけど)
 伯母(大)はまだ生きてますので。
 今頃はたぶん、ヘルパーさんに手伝ってもらってシャワー浴びてると思う。

 実は他に義理の伯母や叔母もいて、子供の頃にずいぶんお世話になったのだった。
 片親育ちなのに親戚が多過ぎてややこしい。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 14:01| 家族 | 更新情報をチェックする

最後の晩餐

 F先生、看護師の皆様へ

 最期まで伯母を診ていただき、ありがとうございました。

 伯母は**病院が大好きでした。
「ここの人達は本当によく働く。
 何か頼まれてイヤそうな顔をする人なんていない」
 F先生のことも、
「何でも自分でやって偉い人だよ」
 と繰り返し言っていました。

 伯母は働き者だったので、同じように働き者の人達を愛したのだと思います。

 入院中ベッドのそばで歩かせたり、寝たきりにならないよう指導して下さったので、伯母は亡くなる数日前まで台所に立ち、おかゆを煮ることが出来ました。
 自立して生きていることに強い誇りを持っていた伯母にとって、それはとても幸いなことでした。

 本当に感謝しています。
 ありがとうございました。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 13:41| ショートストーリー | 更新情報をチェックする

政治家にも学力テストを

 中学3年生向けの全国学力テストを、同じ日に政治家にも受けてもらったらどうだろう。
 もちろん結果は名前付きで公開。
 地盤、知名度、資金力等でごまかすことなく、政治家の学力を客観的に把握出来て便利じゃないかな。

 政治家を批判したい訳じゃなく、公平に比較したいんだよね。
 どんな能力が弱いのか分析して、改善していくことだって可能かもしれないし。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 03:03| 社会 | 更新情報をチェックする

2015年09月24日

焼き鳥屋 場の理論

 世界を統べる力には、重力、電磁力、強い力、弱い力があるが、
「美味しい匂い」
 という新たな力を加えたい。

 この力により焼き鳥屋の前で人々の軌道が曲がる。
 スーパーから家に真っ直ぐ帰るはずだったおばちゃんが店先に吸い寄せられ、お兄ちゃんの乗ったオートバイもUターンして戻って来る。

 ブラックホールが暗いのは、重力が強過ぎて光さえ落ちてゆくから。
 吸い込まれた光子たちはどうしているのだろうと思っていたけれど、宇宙空間をワープして、ここ焼き鳥屋に集まっているのだ。

 鳥を焼く赤外線。
 虫除けの紫外線。
 人びとを照らす優しい可視光線。

 鳥を焼く香ばしい匂いの中へ、私も素直に落下する。
「皮とぼんじりとつくね。タレじゃなく塩で」
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:28| ショートストーリー | 更新情報をチェックする

2015年09月23日

鉄道博物館

 友人3人&友人の子供たち6人と一緒に、さいたま市大宮区にある鉄道博物館に行ってきました!
 いや〜 埼玉に住んでる鉄道ファンは幸せだね!!
 ここにしょっちゅう通えるんだもの。

 今日行った中では男の子2人がかなりの鉄道マニアで、開館時刻の10:00から閉館時刻の18:00近くまで、ずーっとハイテンションで鉄道知識を披露しながら全力疾走!!
 楽しそうで何より。
 お母さんと女の子たちは、は〜やれやれ、という感じでしたが。

 鉄道の車輪やレールのしくみについて、簡単な実験をしながら学習する部屋が面白かったな。
 ここは女の子たちもけっこう喜んで遊んでいた。

 連休のせいで混雑がすさまじく、特に弁当売り場と食堂が長蛇の列。
 友人によると、
「普通の土日はここまでじゃない」
 とのことですが、食べ物は用意して行った方が安心かなと思います。

 鉄道好きなお子さんのいる方はぜひどうぞ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 01:37| 地元(千葉・埼玉)ネタ | 更新情報をチェックする

2015年09月21日

失われた「…んきゅう」を求めて

「『…んきゅう』を探しに行かないとね」
 とDちゃんが言った。
 ちょうど洗面台で水を使っているところで、最初の部分がよく聞き取れなかった。

「えっ? 連休を探しに行くの?
『僕たちにだって、きっと連休があったはずなんだ!』」

「あちこち探し回っても見つからなくて、結局、家に戻ってきたらそこに連休があった……
 みたいなメルヘンの話じゃなく! もっと現実的な話!
 電球を探しに行こうって言ったの!」

「あー トイレの電球切れたんだっけね……」

 Dちゃんが休日出勤しないといけないので、うちは全然連休じゃないのです。
 きっとどこかに、僕たちの連休が……
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:49| 家族 | 更新情報をチェックする
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