2015年09月20日

タブー うなぎと梅干し

 その村で、うなぎと梅干しを一緒に食べた者は、死罪となる。
 何故そんな重い罰を、と訝しみつつも、蒲焼にわざわざ梅を合わせる必要もない。
 誰も文句は言わなかった。

 ある夏、一人の若者がこの罪を犯した。

 明日が刑の執行という夜、若者は見張り番につぶやいた。

「うなぎと梅干しを一緒に食べると死罪になるのは何故だと思う?」

 見張り番は顔を上げた。

「うなぎと梅干しの組み合わせがあまりにも美味しくて、うなぎが絶滅しかかったからだ」

 夜の虫が狂ったように鳴いている。

「白焼きにしたうなぎに、たたき梅を添えるんだ。
 さっぱりした梅の風味が加わることで、うなぎの濃厚なうまみが引き立つ」

 若者の歯が、白くギラギラと暗闇に浮かんでいた。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 17:23| ショートストーリー | 更新情報をチェックする

憧れの松茸

 松茸というキノコは、すごく高くて、すごく香りが良いらしい。
「食べてみたい!」
 小学生の私がそう言うと、伯母はその日のうちに買ってきてくれた。

 電熱器に焼き網をのせ、手で縦に裂いた松茸を置く。
「もう良いだろう」
 伯母の合図で小皿に移し、鼻を近付けて匂いをかいでみた。

「ロッキーの臭いだーっ!」

 ロッキーというのは当時飼っていたマルチーズの名前である。
 マルチーズと言ったって、チーズではなく犬だ。
 毛まみれで獣臭い。

 これが良い香りなの……?
 いや、ロッキーのことは大好きなんだけど。

 あの時の松茸がイマイチなものだったのか。
 それとも元々松茸というのは犬臭いものなのか。

 それを確認するためだけに買うには、松茸は高過ぎる。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:11| ショートストーリー | 更新情報をチェックする

2015年09月19日

森本美由紀展(弥生美術館・竹久夢二美術館)

 弥生美術館で開催中の森本美由紀展に行ってきました。

 墨汁と面相筆で描かれたイラストが素晴らしかった。
 墨と筆の線は、インクとペンの線よりずっとダイナミック。
 勢いがあって、太さの変化が自由自在。
 これで山水画ではなく、ファッション雑誌の表紙に使われるような、おしゃれな女の子を描くからすごい。

 弥生美術館の隣は竹久夢二美術館で(ほぼ同じ建物)こちらで展示中の夢二の楽譜の表紙も素敵だった。
 歌詞や音楽に合ったイラストを付けて、一曲ずつ販売していたらしい。
 これは集めたくなるよね。

 弥生美術館・竹久夢二美術館は私にとって、本当に心なごむ場所です。
 高畠華宵の美しさ、竹久夢二の愛らしさにどっぷり浸れるんだもの。
 疲れたあなたに大正ロマン。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 03:43| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年09月17日

憧れのバナナ

 浅草のおばさんがうちに来る時、手土産はいつもバナナだった。
 バナナは遠い南の香りがして、味は甘くとろけるようで、あたしの大好物だった。

 だけど七人の兄姉弟で分け合うから、いつもちょっとしか食べられない。
 母ちゃんに「買って」なんて絶対言えないし。
 高価なバナナを簡単に買えるほど、うちは金持ちじゃないのだ。

 会社に勤め始めてお給料をもらい、あたしはバナナを自分で買うことにした。
「一房全部自分で食べるから!」
 と家族に宣言して。

 一本目はすごく美味しかった。
 だけど二本目の途中で飽きてしまって、あんなに憧れていた黄色い皮が、何だかうんざりするものに見える。

 残りを兄の位牌の前に置く。

 日本は高度成長期に向かっていた。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 13:17| ショートストーリー | 更新情報をチェックする

2015年09月16日

あいつにくらべればマシ

 高級食材を扱う地中海商事では、毎年自社製品の試食もかねたパーティーが行われる。

 ポワローと豚肉のテリーヌ
 リグーリア風カポナータ

 どれも文句なしの味だ。

 しかし一つだけ問題がある。
 毎回必ず行われる社長の余興。
 ギターをかき鳴らしてビートルズを歌うのである。

 いえすたでぇぇぇ!
 さどんりぃぃぃ!

 音程は外れ、英語は全てカタカナ読み。
 しかもダミ声なうえ大声ときている。

「この歌さえなけりゃなぁ」
「のび太たちのことを考えて耐えろ!」
「確かに、ジャイアンは観客に飯を食わせたりしないよな」
「せめてお菓子を配るべきなんだよ、あいつは」

「ドラえもん」を見て育ったおかげで、理不尽なことも我慢出来るようになった社員たちであった。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 14:05| ショートストーリー | 更新情報をチェックする

芝浜駅

 ラジオに出ていた落語好きの人が、田町と品川の間に出来る新駅の名前を「芝浜」にしたら良い、と言っていてオォーッ! と思った。
 漫画「昭和元禄落語心中」に出てくる助六の「芝浜」、ステキですよねぇ。

 業平橋駅もなくなっちゃったしさ〜
 本当に芝浜駅になったら嬉しいなぁ(夢で終わらせずに……)

 東京にもっと風流を!
 
posted by 柳屋文芸堂 at 02:15| ラジオ | 更新情報をチェックする

2015年09月15日

十万石まんじゅう

「うまい うますぎる」
 のCMで(埼玉県民には)おなじみの、十万石まんじゅう。
 映像では毎日のように見ていても、商品を見かけることはめったになかった。

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 今日、実家の帰りに川口そごうに寄ったら売っていたので、初めて購入。
 月曜日だけ特別に入荷するようです。

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 不味くはないけれど、まあ、普通のまんじゅうだよね……
 私の舌にはちょっと「甘い、甘過ぎる」かなぁ。

 話のネタにはなるので土産には良いかもしれない。
 賞味期限がかなり短いのでご注意を。

 川口で買うなら十万石まんじゅうより「太郎焼」をおすすめしたいな。
 ほかほかあったかい出来たてを、立ったまま食べるのが美味いのです。

 そごうの隣のビルで買えます。
 こちらは火曜日定休なのでご注意を。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 02:09| 料理・食べ物 | 更新情報をチェックする

2015年09月14日

自家製ベーコン

【作り方】
 豚ばら肉のかたまりをラーメン用のどんぶりに入れ、塩まみれにし、数時間〜数日冷蔵庫に入れておく。
 使う前に水洗いして塩を落とす(完成)

 いや、燻製にしてないから全然ベーコンじゃないんですけどね……
 パンチェッタの方が近いのかな。

 売っているベーコンは添加物が多くて気になるので、いつもこうやってベーコンもどきを作って使っています。
 添加物がどれもこれも体に悪いのかは分からないけど、必要のない薬品をわざわざ口に入れなくても良いだろうよ、と思うので。

 肉のかたまりが大きければバットを使うとか、穏やかな味にしたければ塩に砂糖を混ぜるとか(塩:砂糖=1:1にしても甘いベーコンにはならない)、好みでスパイスや香草(黒胡椒、ローリエ、ジュニパーベリーなど)を入れてみるとか、色々やり方はあるけれど、基本は肉の塩漬け。

 難しくないし、自分で作ったという満足感があるし、美味しいです。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:22| 料理・食べ物 | 更新情報をチェックする

2015年09月13日

いぶりがっこ

 「いぶりがっこ」という漬物をご存知ですか?
 たくあんみたいなものかな? と買ってしまったのですが、食べてみたらものすごくスモーキーでびっくり。
 秋田の名産品で、原料はたくあんと同じように大根なのだけど、燻製のように燻して作るらしい。

 かなりクセの強い味で、合わせて食べると他の食べ物が負けちゃう感じ。
 正直、
「失敗した……」
 って思った。

 でもDちゃんの発案で、キムチチャーハンと一緒に食べてみたら、すごく合う!!
 キムチチャーハンはそれだけでもちろん美味しい。
 いぶりがっこを時々かじることで、味の深みが増す感じ。
 クセにはクセを。発酵食品には発酵食品を。

 ネットで調べてみたら、日本酒やワイン、チーズにも合うそうです。
 この文章を書いていたら、また食べたくなってきたな。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:19| 料理・食べ物 | 更新情報をチェックする

2015年09月12日

避難する時に、何を持っていくべきなのか

 日本というのは、本当に災害の国なんですね……
 なんて書くと、まるで初めて災害のニュースを見た外国からの留学生のようだな。
 38年間この国で生きてきたのだし、これからも生きていかなきゃいけないのだから、驚いてないで対策を考えておかないと。

 しかし幸いにして本格的に被災した経験はないので、何を準備しておけば良いのかよく分からない。
 東京大空襲を生き延びた伯母(大)は、
「ただムチャクチャに逃げるだけだ!」
 としか教えてくれなかったし。

 たとえば避難する時に、何を持っていくべきなのか。

私「乾パン1缶くらいは持って出た方が良いのかなぁ」
D「のりは賞味期限切れてないかまじまじ確認してるうちに逃げ遅れるから!
  重くても非常袋全部持っていきなよ」

 災害の時だけじゃなく、火事の時にも大事だよね。
 火事→いつも持ち歩いているカバンと貴重品
 災害→いつも持ち歩いているカバンと貴重品と非常袋
 あたりになるのだろうか。

 被災経験のある人が見たら、
「そんなのんきなものじゃない」
 と叱られるかなぁ。

 ちなみにいつも持ち歩いているカバンには、財布・スマートフォン・ミニタオル数枚・ポケットティッシュ・ウェットティッシュ・マスクなどが入ってます。
 たまに本を3冊くらい持ち歩いている時もあるよ……
 
posted by 柳屋文芸堂 at 03:46| 自然 | 更新情報をチェックする