2015年11月16日

映画「ハーモニー」感想

 10代の自分が今の(30代の)私を見たら、きっとガッカリするだろうなと思う。
 若い頃の自分をガッカリさせない大人になれる人って、どれくらいいるのだろう。

 「ハーモニー」のトァンとミァハは、少女の頃の思いをそのままの形で持ち続けている大人として描かれている。
 そんな女の人、現実にはいない。
 それこそ彼女たちが企んだように、大人になる前に時を止めて(つまり死んで)しまわない限り、残酷な時の流れによって、人は必ず別の何かに変化してしまう。
 けれども現実にいないからこそ、スクリーンにだけ現れる幻影として美しかった。

 「百合っぽい」じゃなく「完全に百合」です。
 トァンの寂しさがミァハを引き寄せるようで、そうなるのは自然に感じた。

 「ハーモニー」の原作はかなり観念的な小説で、これどうやって映像化するんだろう、と思っていたら、かなり観念的な映画になっていた。
 私はすごく満足したけど、他の人はどう思うかな、あれ。
 好みが分かれるかもしれない。

 色彩が原作から受けるイメージ通りだったのが嬉しかった。
 都市全体が病院になってしまったような世界。

 主題歌の「Ghost of a smile」も好き。
 女の人の声で歌われる「僕」という歌詞が、少女の時間を思わせる。

 ミァハと同じように紙の本を愛する私は、
「映画で興味を持って原作を読む人が増えますように」
 と祈っています。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:39| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2015年11月15日

小説の中の女のセリフから考える

「小説に女性の登場人物を出すと、セリフがオカマみたいになる」
 という嘆きを、男性の書き手・女性の書き手、両方から聞いたことがある。
 つまり書き手の性別に関係なく、女性のセリフを書くのは難しいんですな。

 この登場人物は女性なんですよ、ということをセリフで表現しようとすると、どうしても女性の特徴が過剰になり、女性の範囲から外れてしまう。
 現代女性はあまり女性的な話し方をしないのだ。

 現実の世界で女が女だと分かるのは、女の声を出しているから。
 しかし小説の中で、

「この料理、美味しくないな」
 と女の声で言った。

 なんて説明する訳にいかない。
(書いてみて気付いたけど、いよいよ男なんだか女なんだか分からなくなるな)

 私は女性を小説に出す時、セリフを全力で中性的にする。
 男性的な特徴・女性的な特徴の両方を消す。
 上手くいっているかは分からないけれど、現代女性の話し方としてはそれが一番リアルだと思うので。

 メチャクチャ神経使って疲れる。
「どうして女なのに女のセリフ書くのが大変なの?」
 と不思議になる。

 女性のセリフには型があって(「〜だわ」「〜なのよ」)
 もうそれはすっかり古くなっているのに、ラクだからつい使いたくなってしまう。
 それを振り切るのにエネルギーを使っているのだと思う。

 女性的なセリフを書きたくなったら、オカマを出しちゃえば良いんですよ……!
 女っぽさを好きなだけ詰め込められて、本当に楽しい。
 現代において、心置きなく女になれるのはオカマだけだ。

 もともと男女にはそれほど差がなくて、繁殖のために必死に違いを強調していたのに、男女平等の流れであったはずの型が無効になり、さあこれからどうしよう、というのが今の状況なのだと思う。
 昔の男と女のようには振る舞えず、かと言って男と女であることを完全に捨てることも出来ない。

 そんな中で「男・女・男と女の間あたりの人々」を書き分けようとすると、すごく興奮するのです。
 既存の思想に乗っかるのとは別の方法で、男女というものを考えている実感があるから。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 01:56| 執筆 | 更新情報をチェックする

2015年11月13日

女性がポルノを見ないのは

 ネット上で春画展についての記事を読み、
「女性客が多い」
 という記述の多さにあきれている。

 私は20年近く頻繁に美術展通いをしているけれど、常に客の8割くらいは女性なのだ。
 それに比べると今回の春画展は、女性の割合が少ない。
「ふだん美術館にあまり来ない、おじさん・おじいさんの姿が目立つ」
 ということの方を特筆すべきだと思う。

「女性客が多い」というのは他の美術展と比較してではなく「ポルノに比べて」なのだろう。
 女性がポルノを見ないのは性的なものを嫌うせいではなく、男性本位だからだ。

 女性は性的なことを嫌う→無理やりするしかない
 みたいな考えを持たれたら困る。
 女性にも性欲はありますので、もしやりたいと思ったら、まずその人に好かれてくださいね……
 
posted by 柳屋文芸堂 at 14:47| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年11月11日

「春画展」感想

 開催前からずーっと楽しみにしていた春画展、行って来ました〜!!
 会場は文京区目白台の永青文庫。
 有楽町線江戸川橋駅から行ったら、胸突坂という急な坂を登ることになって大変でした。

IMG_0530.jpg

 公式サイトでおすすめされているように、目白駅からバスに乗った方がラクだと思います。

 さてさて、この永青文庫は、昔内閣総理大臣だった細川護熙さんち(旧肥後熊本藩主細川家)の文化財を管理保存・公開している施設のようです。
 和風なのかと思ったら洋館で、赤い絨毯の上を移動して春画めぐりをするのが不思議な感じで面白かった。

 平日なのにメチャクチャ混んでた!!
 土日はすごいだろうな、あれ。
 他の美術展より明らかにおじさん・おじいさんが多かったよ。
 みんな好きね……

 春画というのは性を描いた日本画・浮世絵。
 しかし、あれに性的に興奮する現代人は少ないんじゃないかなぁ。
 肉体も行為も、あからさまかつ詳細に描かれていて、どんな人たちが何をしているかはよーく分かるのだけど、分かったからといってドキドキするとは限らないのが恋と性。

 現代のエロ漫画も、数百年後には、
「こんな目のデカい女のどこが良いの??」
 と未来人の首をひねらせるのかもね。

 性的な目的にはもはや使えないように思える春画ですが、春画展を開催するまでに紆余曲折、色んな騒ぎがあったようです。
 まあ確かに、現代日本では表に出すことが禁止されている、男女の性器がばっちりしっかり描かれているからね。
 春画を見る時もついそこに目が行っちゃうのだけど、何枚か見ればそれは飽きる。
 誰にでも付いているあれさ。

 それよりも「うぉぉぉぉ!!」となるのは、毛と着物の柄の表現。
 つまり細部。
「どんな筆を使ったの?! どんな技を使ったのよ!?」
 息を呑むほど繊細で、色鮮やか。
 これはほんと、一見の価値ありだと思います。

 何でこんなに性的に興奮しないのかなー と考えてみたのですが、表情の変化に乏しいんだよね。
 ほとんどの絵で、人物の顔が真顔。
 みなさんそんな乱れずにいたしていたのですか。

 倫理的に、快楽に浸る表情を描くことを避けたのだろうか。
 その方が性器よりよほど卑猥だものな。
 いや、電気がないから、暗くて顔がよく見えなかったとか?

 そんな中にあって、歌川国芳「江戸錦 吾妻文庫」の男の視線は斬新で、ドキッとしたなぁ。
(グッズ売り場でこの柄のトランクス売ってたよ)
 渓斎英泉の描く、眉根を寄せる男の表情もリアルだなー と感じた。

 そうそう、基本的に、双方合意の上での性行為に見える絵ばかりでした。
(二人じゃない時もあるので、全員、かな?)
 一つ、女の人が泣いている絵があったけど、理由は分からない。

 嫌がっているのを無理やり、みたいなのが多い現代の性描写より、ずっと気持ち良く見られたよ。
 ああいうの、ほんと苦手なので。

 嫌々する、というのは、性の禁止と表裏一体なのかもしれない。
「性的なことは悪いこと→本当はやりたくない→無理やりだから仕方ない」
 という理屈を付けないと、心穏やかに見られない、とか?
 よく分からないけれども……

 私は性というものを、幸福であたたかなものだと感じている。
 だから春画に描かれているおおらかな性は、非常に馴染みやすかった。
 多くの人の心にある、性に対する複雑な感情がほぐれると良いな。

 12月23日まで。
 京都にも巡回するらしいよ……!
 
posted by 柳屋文芸堂 at 19:24| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年11月10日

おばさんはおばさんに恋してる!

 女性同士の恋愛を描いた物語を「GL(ガールズラブ)」と呼んだりするけれど、おばさんとおばさんの恋愛は何て呼ぶんでしょうね。
 もうガールじゃないからな……

 30代の女性は仕事・育児・家事・介護等で本当に忙しくて、私は同年代の友人たちとなかなか会うことが出来ない。
 たまに女友達と二人でお出かけ、なんてことになると、若い頃の男の子とのデート並みにドキドキする。
 色んな大変なことがある中で、私のために時間を割いてくれてありがとう! ありがとう! って感謝するし。

 毎日女友達に囲まれて、
「彼氏欲しい〜」
 とか言ってた高校時代が懐かしいよ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:06| 友達 | 更新情報をチェックする

2015年11月09日

心配ってすごくムダ

 相変わらずDちゃんは過労です。
 体を壊すんじゃないかと心配で心配で、でも心配ってすごくムダだよね。
 エネルギー使って疲れて心もすり減るのに、給料が出る訳でもないし、褒められたりもしない。

「1時間心配するごとに500円もらえる」
 とかだったら良いのに(誰がくれるんだ……)

 心配なんてやめて、料理とか掃除とか、自分にやれることを頑張ろう。
 と思うのだけど、やっぱり心配してしまう。

 誰か500円ください。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:10| 家族 | 更新情報をチェックする

2015年11月07日

塩海苔の喜びと悲しみ

 「旨しお海苔 ごま油風味」という商品が好きでよく買っていた。
 日本の海苔を韓国海苔風にした、味付き海苔。

光海 旨しお海苔ごま油風味3袋パック 8切48枚×3袋 -
光海 旨しお海苔ごま油風味3袋パック 8切48枚×3袋 -

 ところが先日、いつも行くスーパーの海苔売り場を見たら、これが無くなっていた。
 困ったなー と思いつつ、そばにあった「うみべのしおのり」が面白そうだったのでこちらを購入。
これ。Amazonでは扱ってないらしい)

 有明海産の海苔を、イタリア・シチリア島産オーガニックオリーブオイルと、フランス・ブルターニュ産ゲランドの天然海水塩で味付け、って何かすごい。
「俺が考えた最強の海苔!!」
 と叫びながら、高級そうな食材をとりあえず全部組み合わせてみたんじゃないか。

 ごま油と海苔の相性は最高だけど、オリーブオイルは海苔に合うのかしら…… と思いつつ食べてみたら、これが美味い!!
 何だかヨーロッパの味がする(当たり前か。でも海苔だよ?)

 新しいお気に入りが出来て嬉しいわ〜 また買おう。
 と、海苔売り場に行ったら、無い! 最強の海苔が無い!!
 旨しお海苔も無い。
 甘く味付けられた、あんまり好みじゃないタイプの味付き海苔だけになってるぅ〜

 その後、毎日海苔売り場に通っているが「旨しお海苔」と「うみべのしおのり」が戻ってくる様子はない。
 またネット通販ですか……
 ひどいよ〜
 
posted by 柳屋文芸堂 at 12:44| 料理・食べ物 | 更新情報をチェックする

2015年11月05日

唐橋史「青墓」感想

 時代物のドラマや漫画を見ていて、登場人物たちが現代人そのままの会話をしていると、
「えーっ」
 ってなりませんか。
 鎧を付けたり、十二単衣を着たり、見た目が思いっきり昔風だから余計気になるのかもしれない。
 当時の人はそんな風に話さなかっただろうよ、って。

 だからと言って古典文学の単語と文法でしゃべったら、見ている人は理解出来ない。
 その時代の雰囲気を残しつつ、ちゃんと伝わる会話の文体を作るのは、本当に大変だと思う。
 一体どうやるんだろう? 私は絶対出来ない。

 唐橋史さんの「青墓」はそういう昔の言葉の処理が絶妙で、気持ち良くタイムトラベルすることが出来た。
 たとえばこんな感じ。

「よろしければ遊君(ゆうくん)ばらの鏡を磨(と)いでやってくださりませ。
 お代はお思いのままに」
※カッコ内はふりがな。

 「遊君」は遊女。「ばら」は複数人いるよということ。
 普段使う言葉ではないけれど、前後の流れでだいたい意味は分かる。
 読み方に迷いそうな漢字には全てふりがなが振ってあるし、本の始めから終わりまで読者の旅を快適にするために心が尽くされている。

 舞台となっているのは中世の遊女宿、青墓。
 タイトルは地名なんですな。
 その言葉の印象通り、死の色が濃い。

 あの世とこの世を隔てる壁が壊れてしまったような土地。
 誰が生者で誰が亡霊なのか、誰が味方で誰が敵なのか、判然としない。
 それでもみなその中で、生きていかなければいけない。

 暗い時代の暗い場所ではあるけれど、その分美しいものが光る。
 私が一番胸キュンしたのは、第二話「鏡磨(かがみとぎ)」の「犬君(いぬき)」
 ダメ男の藤六に健気に寄り添い続ける、心を持った犬。

「戸口のところから顔を出した。
 空気が冷え切っていて、鼻の先が凍えそうだった」

「ゆっくりと尻尾を左右に振っていた」


 なんてさりげない描写に、
「犬って必ず鼻から行くんだよね〜」
「こういう時は尻尾をゆっくり振るよな〜 様子が見えるな〜」
 とほんわかしまくり。

 ほんと、犬君可愛い。
 複雑で奥ゆかしい猫の愛情も悪くないが、私はやはり、痛々しいほどひたむきな犬の愛が好きだ。

 猫漫画全盛の昨今、犬小説も頑張らねば!
 私も書きたい!! と妙に鼻息荒くなりました。

 最終話「獅子吼御前(ししくごぜん)」の構成も好き。
 青墓という場所、中世という時代に永遠に閉じ込められてしまうのではないか、と酔うような感覚を覚えながら、本を閉じた。

 検索してみたら、Amazonでも買えるようです。
 中世が好きな人、犬好きな人はぜひどうぞ。

青墓 -
青墓 -
 
posted by 柳屋文芸堂 at 15:38| 読書 | 更新情報をチェックする

食べ頃の洋なしの選び方

 食べ頃の洋なしの選び方が分かった。
 軸の周辺の皮がシワシワし始めているのを買うと、果肉トロトロのをすぐ食べられる。
 シワシワ=熟れ過ぎかな〜 と思って賭けをするように買ったのだけど、切ってみたら問題なし。

 50%引きとかになっているとなお良いんだが。
 一度あったんだよね。
 最っ高の食べ頃な上に割引、っていうの。

 果物はたまにそういう幸運に出会う。
 売り場を注意して見るようにしよう。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 03:17| 料理・食べ物 | 更新情報をチェックする

2015年11月04日

年齢と能力

 同人活動をしていると、自分より年下のすごい人に沢山出会って、
「老いては子に従え」
 みたいな気持ちになっている。
 まだ38歳なのに。子供もいないのに……

 実際には、年齢に関係なくすごい人はすごいし、すごくない人はすごくないんだろうな。
 当たり前だけれども。

 年齢を重ねることで、知識や経験を増やせるのは確か。
 一方で、あらゆることをどんどん忘れていくし、感性は鈍くなっていく。
 成長しつつ退化する日々。

 若い人は知識や経験が少ないが、成長しやすく退化しにくい。
 年を取った人は知識や経験は一応あるが、成長しにくく退化しやすい。

 どちらかが圧倒的に有利という訳ではない。
 ただ年齢に負けないためには、退化を超える成長をし続ける必要がある。
 そう考えると、年を取るのは大変だな。

 年上だ、というだけで偉そうな態度を取る人にもし出会ったら(割とよく出会うよね)
 その人は退化を勘定に入れていない愚か者か、退化を直視出来ない臆病者だ。
 無視して良いよ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:10| 考え | 更新情報をチェックする