2015年12月01日

水木しげる

 水木しげるが亡くなった、というニュースを聞いても、思ったほどショックを受けなかった。
 高齢だったせいもあるが(93歳)同じように「大好きなおじいちゃん」であったまど・みちおが104歳で亡くなった時には、巨木が倒れたような衝撃を感じたのだが。

 「失った」というより「いるべき場所に帰っていった」ような気がしたからかもしれない。
 水木しげるというのは、全く人間社会に向いてない人だったように思う。

 戦地に行け、死ね、殺せと理不尽な命令をしてくるし、平和な時代であっても「他の人に合わせろ」と叱られる。
 水木しげるは最初から最後まで、人間に合わせて自分を変えたりしなかった。
 画力で、漫画の力で、社会の方を変えてしまった。
 妖怪世界を築くことで、自分の生きられる場所を作った。

 水木しげるの描く妖怪たちがみな愛おしいのは、人間社会の中で窮屈な思いをしながら、自分のささやかな能力を使って、必死に生きていこうとする姿に共感するからではないか。
 水木しげるも妖怪だったし、私たちも妖怪なのだ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 12:34| 読書 | 更新情報をチェックする