2016年05月28日

「贋オカマと他人の恋愛」感想募集のお知らせ

 2016年7月18日に開催される、
「尼崎文学だらけ(あまぶん)」
 というイベントに委託参加することになりました〜!

 誰かに推薦してもらわないと本を預かってもらえない、という恐ろしいシステムで、初開催ということもありあれこれ戸惑うこともあったのですが、森村直也さんに素晴らしい推薦文を書いていただき、無事申し込むことが出来ました。
 あまぶんサイトの私の本の紹介ページはこちら
 森村さんの熱い推薦文、ぜひ読んでみて!

 ここでちょっとお願いがあります。

 これまでに「贋オカマと他人の恋愛」の感想を書いてくださった方で、面倒じゃないよという人がもしいたら、その文章を上の紹介ページに「推薦文」として投稿していただきたいのです。
 新たに何か書く必要はなく、ブログやメールの文章をそのまま転載で構いません。
 (ただし、1000文字以内という制限があります。推しコピーは空欄でも投稿可能です)

 6月頭までに投稿すると、あまぶん主催者さんが発行する紙のカタログに推薦文が掲載されるようです。
 「贋オカマと他人の恋愛」の感想ってどれもほんと面白いので、ずらーっと並んだところを見てみたいのですよ。
 よろしくお願いします!!

 不明点は私のTwitter(@yanagiyamanpuku)か、
 メールmail.gif にどうぞ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 10:03| 同人活動 | 更新情報をチェックする

2016年05月26日

「谷崎潤一郎文学の着物を見る」感想

 小説書き仲間のみなさんと、弥生美術館で開催中の、
「耽美 華麗 悪魔主義 谷崎潤一郎文学の着物を見る〜アンティーク着物と挿絵の饗宴〜」
 という展示を見てきました(公式サイトはこちら

 Twitterでは頻繁に交流しているものの、同人誌即売会以外の場所で小説を書く方たちと会うことはほとんどないのです。
 しかも一緒に谷崎、ですよ!
 こんなチャンスめったにないよな〜 とワクワクドキドキでした。

 谷崎潤一郎は文章のリズムが好きで「細雪」「春琴抄」「卍」あたりは読んでいるのですが、全作制覇している訳ではない。
 特に今回の展示で中心になりそうな「痴人の愛」が未読で、大丈夫かな〜 と心配していたら、全く問題なかった。
 読んでいなくても「痴人の愛」の凄まじい内容がよ〜く分かるようになっていた!

 自分で育て上げた少女「ナオミ」がすっかり小悪魔になってしまい、最初は腹を立てていたものの、最終的には喜んで奴隷になった譲治のお話。
 まず、ナオミが着ていた大胆な着物の再現が楽しい。
 ただ派手なのではなく、狂乱を感じさせる艶やかさ。
 衣装と肉体と精神はほぼイコールでつながっているんじゃないかと思った。

 そして一番素晴らしかったのは、譲治に馬乗りになるナオミを描いた挿絵。
 「痴人の愛」には実際にそういう場面があるのです。
 絵柄がリアルな上に、カラー。

 ちゃんと原作を読んでいるSさんは、
「譲治が格好良すぎる気がするけど、これはこれであり!」
 もっと情けない男が美少女にハマるイメージらしい。

 Sさんの谷崎イチオシは「鍵」で、私は一緒に紹介されていた「瘋癲(ふうてん)老人日記」を読んでみたいと思った。
 どちらも老人の性を扱った作品。
 息子のお嫁さんにかまってもらいたくて泣き出す爺さんとか、痛々しいのか可笑しいのか。

 特別な事件ではなく卑近な日常を描くことで、人間というのがどんなものなのか浮かび上がらせる谷崎の手法。
 知らず知らず影響を受けていたのかも、なんてことも思った。

 着物の布や柄についての文章もかなり細かく、だからこそ今回の展示のような着物の再現が出来た。
 私も登場人物の衣装をきちんと描けるようになりたいなー
 何度も書き直されて真っ黒になっている生原稿にも心を打たれました。

 気に入った文章を一つ引用。
「恋というものは一つの芝居なんだから、筋を考えなければ駄目よ」
 (「黒白」より)

 谷崎潤一郎や着物が好きな人はもちろん、人間の本性に興味のある方ならきっと楽しめるはず。

 弥生美術館は根津駅から徒歩7分。
 この展示は6月26日まで。
 秋には山岸凉子展をやるみたいよ……!
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:38| 美術 | 更新情報をチェックする

2016年05月14日

並木陽「青い幻燈」感想

 舞台は19世紀のパリ。
 「永遠の詩的霊感」を求める詩人と、
 「今この瞬間」を愛する画家のもとに、
 愛らしい少女が現れる。

 冒頭(前口上)の文章が音楽のようにリズムが良くて、ああ、この伴奏は何だろう。
 ピアノのように打つ音じゃない。
 アコーディオンのような空気が鳴らす音……

 そう考えながらページをめくると、手回し式オルガンが降誕祭の祝歌を奏でる場面に。
 ああ、オルガンだったのか!
 かすかに哀愁を含んだ音色に誘われて、気付けば素敵な物語世界に入り込んでいた。

 作者の並木陽さんは「物語」というものを大きくとらえている印象がある。
 現代の物語(小説・漫画・映画など)の大半は、ストーリーの起伏とリアリティを重視して作られている。
 けれども昔話や伝説には謎が投げ出されるだけのものも多くあるし、
 演劇では舞台を華やかにするためにリアリティを犠牲にすることも少なくない。

 そういう古今東西の無数の物語の中から、自分の表現したいものに最も合った形を選んでいるのではないか。

 この「青い幻燈」にはお芝居の雰囲気がある。
 登場人物たちの行動やセリフは、現実よりも少しキザだ。
 私はキザ普及推進委員会委員長(自称)なので、読みながらニコニコしてしまう。
 ゲーテの臨終の言葉をさりげなく冗談のようにつぶやいたりするのが、いかにも19世紀の学生街という感じがする。

 自分の知識や能力に限りがあることに苦しむ詩人。
 自分の人生や与えられた世界に満足している画家。
 どちらの気持ちも痛いほど分かる。

 この物語は不思議な終わり方をする。
 結末が幻なのか?
 それまでの日々の方が幻だったのか?
 失われていく我々の生は全て幻のようなものなのか?

 そんなつまらない質問をしようとすれば、少女はあなたの唇に人差し指を押し当てるだろう。
 唇にはラムの風味が残り、少女の面影とともにその香りは永遠に消えない。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 01:17| 読書 | 更新情報をチェックする

2016年05月05日

「萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく」感想

 武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中の、
「萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく」
 に行ってきました(公式サイトはこちら

 それほど大きな展示スペースではないので、だいたい1時間くらいで全部見られました。
 (マニアな方は3時間眺めても足りないかもしれないけど……)
 閉館間際だったせいか混雑しておらず、ガラガラでもなく、ちょうど良い人の入り。

 大好きな「11人いる!」「銀の三角」「マージナル」等の原画に大興奮!
 文庫本ではモノクロ印刷になってしまっているカラーページに、
「こんな色だったのか〜」
 と感動したり。「スター・レッド」の赤も鮮やかでした。

 初期から現在まで、約40年間の作品が並んでいるので、時代に合わせて画風を変化させていったのがよく分かる。
 私は初期の優美な線が好きなのだけど、それをそのまま書き続けていたら時代遅れになってしまっただろう。
 「過去の名作の作者」ではなく「今、活躍している漫画家」でい続ける努力を思うと心が震える。

 その証拠に、一番美しいと思ったのは最近の作品である、
「世界の中心であるわたし」
 の扉絵だった。色んな方向を向いて手を上にかざす少年少女?たち。
 (ストーリーを知らないのでごめんなさい。「バルバラ異界」に入っているらしい。読まねば!)

 可愛くて、神秘的で、ずっと眺めていたかった。

 展示室を出ると、萩尾望都とヤマザキマリ(テルマエ・ロマエの作者)の対談映像が流れていた。
 ヤマザキマリがやたら暑苦しく「21エモン」について語っていて、読みたくなったよ。
 何で自作でも萩尾望都の作品でもなく藤子不二雄の話なの……

 萩尾望都の話し方は恥ずかしがり屋の少女のようで、その愛らしさに「はう、はう」と変な声が出ました。
 時間のある人は対談を全部見るとお得ですね(私は終盤しか見られなかった)

 5月29日まで開催。
 5月6日から一部展示替えがあるそうです。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:59| 美術 | 更新情報をチェックする