2016年07月30日

生命らしさを持つ機械人間「オルタ(Alter)」パネルトーク感想

 日本科学未来館で開催された、生命らしさを持つ機械人間「オルタ(Alter)」についてのパネルトークを聞きに行ってきました。

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機械人間「オルタ(Alter)」

 登壇者は、人間そっくりのアンドロイド(マツコロイド等)の製作者として有名な石黒浩。
 複雑系と人工生命を研究する池上高志。
 アンドロイドを制御するシステムを開発している小川浩平。
 生物の個体と集団の関係について研究する土井樹。

 何しろ報道関係者が多い!!
 会場に入ると、後ろの方に大量のカメラマンやインタビュアーに囲まれる石黒浩が。
「石黒教授だよ! 本物の石黒教授だよ!! キャー! キャー!」
 と通路で飛び跳ねながら叫んで、他の人の通行の邪魔になる私。

 研究者としてというより、人形師としての石黒教授のファンなのです。
 著作も読んだことがあるし、ずっと憧れていたから、ナマの石黒が見られて本当に嬉しかった。
 いやまあ、石黒浩のアンドロイドでも構わないのだけど(今回は来てませんでした)

 オルタのこれまでのアンドロイドとの違いは、複雑さを表現しているところ。
 外部の状況に反応し、次の瞬間に何をするか誰も予測することは出来ない(そのように作られている)

 小川さんによると、人間の動きの通りにしっかり制御したロボットよりも、ランダムに動かしたロボットの方が生命らしく見えるという。
 それはおそらくランダムな動きが、人の想像を引き起こすからではないか、と。
 石黒教授は、人間は何事も自分の都合良く想像するので、ランダムな動きと想像が偶然ピタッと合った時、そこに意味を見出すと言う。
 
 オルタは石黒研究室と池上研究室との共同研究で生まれた。
 この池上高志という人が、科学者というより前衛芸術家や哲学者のような問題意識を持っていて、なかなかエキセントリックだった。
 一番印象的だったのは、科学というのは基本的にそぎ落としてゆくもので、全部入りのものは誰もやっていない、という発言。

 私も単純化だけでは見つけられない真実が多くあるように感じ、「全部入りシミュレーション」として小説を書いているところがある。
 しかし理系の研究として、それをやるのは難しいことだろうと思う。

 池上教授は生命に見えない生命らしいものを追求しており、石黒教授の研究に対して、
「あまりにも生命に似てるやんけ!」
 と感じていたとのこと。

 それに対して石黒教授は、
「(池上さんのような研究をしていると)研究費が出ないから」

 分かりやすい成果を出さないと予算はつかない。
 それゆえ人間そっくりのアンドロイドの方に進んだのであって、もともとは池上教授のような抽象的な研究もしたかったとのこと。
 象牙の塔は想像以上に世知辛い場所ですよね……

 オルタの外見はニュートラルで、見た人が想像で補い、一人一人の中に勝手なオルタ像が出来る。
 トークへ行く前に、
「曖昧な部分があるために、無限通りに読める綾野剛の表情が素晴らしい」
 とTwitterで騒いでいたのだけど、何だよ同じ話じゃん!

 結局、研究の世界も芸能界も、記号化しやすい明白なものだけでは足りなくなってきている、ということなのかもしれない。

 実際に見たオルタは、暗闇の中に浮き上がる滑らかで素早い手や顔の動きが、非常に幻想的だった。
 私は「女性が舞台の上で今日あったことを説明している一人芝居」のように感じた。
 Dちゃんは「認知症の老人が過去の話をしている」ように見えるという。
 コミュニケーションしているという感じは受けず、一方的である点は一緒だ。

 研究内容は違えど、登壇者の四人はみな「生命らしさ」にこだわっていた。
 私は「生きているかどうか」より「美しいかどうか」の方が大事なので、
「生命じゃなくちゃいけないんですか?」
 と不思議に思った。

 オルタは美しかった。
 これまでに見たことのない種類の美しさだった。
 私にとってはそれだけで十分だ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 17:22| 同人以外のイベント | 更新情報をチェックする

2016年07月28日

映画「日本で一番悪い奴ら」感想

 一ヶ月くらい前だったろうか。
 唐突に、俳優の綾野剛を大好きになってしまった。
 きっかけはTwitterで話題になった映画「怒り」の予告。



 典型的美男子というのとは違うけど、何だか目を離せない表情をする人だなー と感じ、名前を検索して写真や動画を色々見ていったら、気付いた時には恋をしていた。
 綾野剛の顔がいかに魅力的かをTwitterで滔々と語ったりして、でも実は綾野剛が出演しているドラマや映画を一つも見ていない。
 相手のことをそんなに知らなくても、好きになる時にはなっちゃうのよ?

 しかしまあそれも申し訳ないなと思い、まだギリギリ公開中だった「日本で一番悪い奴ら」を見てきました。
 予告編はこれ。



 北海道警察で実際に起きた不祥事を元にしたヤクザ映画、と言えば良いだろうか。
 ヤクザより警察の方が断然ヤクザっぽい。

 綾野剛が見たくて行ったのに、一番格好良かったのは中村獅童だった。
 立ち居振る舞いが優雅で落ち着いていて、暴力団の幹部という役柄に説得力があった。

 この作品の登場人物はほぼ全員どこか悪いのだけど、中村獅童が演じた黒岩がたぶん一番悪い。
 でも全然、憎い汚いとは思わなかった。

 どんなに孤独になっても悪の道を進む覚悟が感じられて、
「この人はこういう風に生きるよう定められた人なのだな」
 というのが「車に乗る」というような割と単純な体の動き一つで伝わってくる。
 さすが歌舞伎役者、と思わせる存在感だった。

 綾野剛が演じる北海道警察の刑事・諸星は、真面目で熱心であんまり頭が良くなくて、警察という組織の中で認められたいと願うあまり、道を踏み外し荒んでゆく。
 痛々しくて可哀想で、格好良いとか可愛いとか思っている余裕がなかった。

 中村獅童はどこまでも中村獅童で、諸星は諸星だった。
 綾野剛であることを意識させない演技。
 すごい役者さんなんだな、と。

「拳銃を摘発する」
 という目的に夢中になるあまり、警察はだんだん倫理観がおかしくなってきて、拳銃の対価として麻薬の密輸に協力したりするようになる。

「何かを達成しようとするあまり、最初に目指していたものを見失ってしまう」
 というのはよくあることで、特に組織は動き出したら誰も止められなくなるから始末が悪い。
 ここまで悪くなくても、似たような話は多くの人の身の周りにあるはずで、その分悲しく切ない。

 パンフレットを買ってきたので、その写真を見て綾野剛を愛でています。
 写真になれば諸星であると同時にそれは綾野剛で、どんな場面の顔も可愛いんだよね〜
 机の上でうたた寝してるのがお気に入りです♪
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:33| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2016年07月26日

障害者施設で起きた事件について

 私は全盲の伯母に育てられました。
 障害者施設で起きた事件にショックを受けている障害者や障害者の家族が多くいるのではないかと心配しています。

 障害者、もっと広くとらえて、
「多数派とは違う心身を持つ者」
 は、周囲の人々に多くのことを教えてくれます。

 私は伯母の見えない目を通して、世界の見方を覚えました。
 伯母のいない家で育った自分を想像出来ません。

 多数派と違う心身を持つ者は、否定されるような存在ではありません。
 もしそこから何かを学べなかったとしたら、それは多数派に属する人間の側に学ぶ力が無かったというだけのことです。

 事件の全容が明らかにならないうちに発言するのは危ういことだと分かっていますが、このニュースが流れるたびに傷付く人がきっといるだろうと思い、我慢出来ませんでした。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 11:18| 社会 | 更新情報をチェックする

2016年07月23日

「尼崎文学だらけ(あまぶん)」ありがとうございました!

 すっかり遅くなってしまいましたが、7月18日に開催された「尼崎文学だらけ(あまぶん)」で「贋オカマと他人の恋愛」を手に取ってくださったみなさま、ありがとうございました!

 全部綺麗になくなってしまったようなので、もしかしたら、
「興味あったけどもらえなかった」
 という人もいるかもしれません。

 長いのでちょっと大変ですが、ネット上でも読めますのでどうぞ(こちら

 本で読みたい、という方には郵送もします。
 メールで連絡ください。
 アドレスはメール.JPG
 本代・送料ともに無料です。

 秋になれば、

 9/18(日)本の杜
 10/8(土)テキレボ
 10/23(日)COMITIA
 11/23(水祝)文学フリマ東京

 に直接参加しますので、こちらで見てもらっても。

 あまぶんは推薦文をいただいたり自分でも書いたり、楽しいイベントでしたね!
 委託参加でありながら、充実感がありました。
 いつか尼崎へも行ってみたいです♪
 
posted by 柳屋文芸堂 at 11:00| 同人活動 | 更新情報をチェックする

2016年07月17日

明日は「尼崎文学だらけ(あまぶん)」!

 いよいよ明日、創作文芸同人誌即売会「尼崎文学だらけ(あまぶん)」が開催されます!
 会場は、尼崎市中小企業センター会館 会議室401・402
 阪神尼崎駅より徒歩約5分
 開催時間 11:00〜17:00
 入場無料
 公式サイトはこちら

 私は残念ながら伺うことが出来ないのですが、企画本部で、
「贋オカマと他人の恋愛」
 を委託販売してもらいます。
 情熱的な推薦文を沢山いただいて感動しました(こちら

 お近くの方はぜひ、私の代わりに遊びに行って、どんな感じだったか教えてください!!
 よろしくお願いしま〜す!
 
posted by 柳屋文芸堂 at 09:48| 同人活動 | 更新情報をチェックする

2016年07月15日

吉田修一「怒り」感想

 今回私はこの本を、かなり身勝手なやり方で読みました。

【ルール】
1、ゲイカップルである優馬と直人が出てくる場面だけを拾い読みする。
2、脳内で「優馬→妻夫木聡 直人→綾野剛」で映像化しながら読む。

 そうしたらもう、最高っすよこの話!!

 何となく拾ってみたら、家に居着いて全然帰らない綾野剛!
 本質的な部分ですごく優しく、大事なことを一切教えてくれない綾野剛!
 無自覚に、気が狂いそうなくらい愛してしまった後でふっといなくなる綾野剛!!

 ほとんど猫の域ですよ(タチネコのネコではなく本物の猫な)

 優馬には余命三ヶ月で入院している母親がいて、ちょうど伯母の病院に行った帰りだったこともあり、親しみを感じながら読むことが出来ました。
 本当は推理小説らしいのですが、私の中では不器用であたたかい恋愛小説として完結。

 作者やファンの皆様、本当にすみません……
 
posted by 柳屋文芸堂 at 22:16| 読書 | 更新情報をチェックする

2016年07月13日

お刺身ソテー

【作り方】
1、玉ねぎを薄切りにしてお皿に敷く。
2、お刺身に塩こしょう、小麦粉(もしくは片栗粉)をかけてソテーし、1の上に置く。
3、刻んだ梅干し・酢・太白ごま油・醤油・砂糖で梅ドレッシングを作り、2にかけながら食べる。

 どんなお刺身でもやれると思いますが、昨日うちで作ったのはブリでした。
 美味しい。

 ソテーすると次の日も食べられるのが便利です。
 スーパーで安くなったお刺身を見つけた時などにどうぞ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 08:49| 料理・食べ物 | 更新情報をチェックする

2016年07月01日

カドフェス

 毎年夏になると本屋でもらえる、文庫本紹介冊子。
 まずは角川文庫の「カドフェス」を読みました。

 作品の特徴を、

「受賞作」「泣ける」「元気になる」「怖い」「ためになる」
「胸キュン」「映像化」「どきどき、ハラハラ」

 とマークを使って示しているのが分かりやすくて良い。
 気分が落ち込んだ時には「泣ける」本より「元気になる」本が読みたいよね。

 本の内容だけでなく、
「その本を読むことで読者がどうなるか」
 をある程度予測してくれる紹介はありがたい。

 面白かったキャッチコピーは、

 夏目漱石「三四郎」
 いまも色あせない漱石流ラブコメ!

 ラブコメなんだ……(読んでない)
 確かに漱石の小説は世間のイメージほど堅くなくて、けっこう笑えますよね。

 森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」
 京都男子をオトしたくなったなら森見登美彦を100回読めばいい

 京都女子にはブランド力があると思うのですが、京都男子はどうなんでしょうね……?
 この本、ずーっと前から読みたい読みたいと思いつつ読めてない。
 読みたい。

 賑やかなカバーが増えるのもこの時期の楽しみ。
 今回は文豪ストレイドッグスとコラボしていて、特に太宰治の「人間失格」が格好良い!
 今日マチ子が表紙を描いている藤野恵美「ぼくの嘘」も可愛かった。

 気になったのは榎田ユウリの「夏の塩」
 ストーリーの説明を読み、ん? これBLじゃね? と思って検索してみると、案の定、雑誌「小説JUNE」に掲載されていた小説だった。
 こういうのも紹介されるようになったんだな〜 と嬉しくなった。

 大崎善生「聖の青春」は映画化されるそうで、その一場面の写真が載っていた。
 主演の松山ケンイチがすごく太っていて、
「えっ? この人、『ノルウェイの森』の主役やってた人だよね?! 別人!!」
 とびっくり。

 腎臓病を患っていた実在の棋士についての話で、役作りのためにここまでするのかと。
 「ノルウェイの森」の時には村上春樹の若い頃に雰囲気が似ていて、ああ、あれも努力の賜物だったんだな、と。
 本の「聖の青春」と松山ケンイチ、両方に興味がわきました。

 タイトルで惹かれたのは「自閉症の僕が跳びはねる理由」
 あとこれはアニメで有名ですが「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」も素敵ですよね(小説版が角川文庫から出ている)

 いやぁ、文庫って本当に良いものですね!
 そんな訳で、またもや読みたい本が増えた。
 Amazonの欲しいものリストのアイテム数が1765個の柳屋文芸堂でした。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 22:39| 読書 | 更新情報をチェックする