2017年04月25日

並木陽「ノーサンブリア物語」感想

 七世紀のブリタニア、簡単に言ってしまえばイギリスの戦国時代を描いた物語。
 沢山の王国と王族が登場するが、本の最初のページに登場人物の表とブリタニアの地図があるので、そこを時々確認しながら読めば全く混乱しない。

 歴史と地理が苦手な私のような人間にとってはありがたい気遣い。
「この人誰? ここどこ?」
 なんて疑問に煩わされることなく、最後まで純粋に物語を楽しむことが出来た。

 いやはや、戦国時代というのは大変なものですね。
 夫の敵が実の弟だったり甥だったり、気の休まる時がない。
 野心に燃える者たちは策を巡らせ勇ましく戦い、血を流して死んでゆく。

 そんな中、詩と音楽を愛し、平和を望むデイアラ王国の王子エドウィンと楽人レゲンヘレの会話にはホッとさせられる。

「貴方のような方がこれ以上、人と人、国と国とのくだらぬ争いに傷ついて生きる必要などないんだ」

 勝つことこそが善の世界に、全く別の価値観が示されることで、戦による死や痛みが相対化される。
 ただただ勝ち進んで気持ち良い・負けて悔しいというだけの話になっていない。
 そこが物語に深みを与えているし、歴史好きという訳ではない私にとっても馴染みやすいものになっている。

 心優しいエドウィンとレゲンヘレに共感していたからこそ、彼らが辿る運命には「あああ!」と叫ばずにはいられなかった。

 この「ノーサンブリア物語」は並木さんが高校時代から温めていたお話だそうで、彼女もまた本懐を遂げたのだと、あとがきを読んで胸が熱くなった。

 王女アクハの賢い侍女たち(シネヴィスとヒュイド)も好き。
 主役脇役に関係なく、全ての登場人物が細やかに愛されて描かれているのを感じる。

 5月7日に東京流通センターで開催される文学フリマ東京で販売され(並木さんのサークル名は「銅のケトル社」配置は2階ウ-10)5月8日からはAmazonでも買えるようになるようです。

ノーサンブリア物語 上 -
ノーサンブリア物語 上 -

ノーサンブリア物語 下 -
ノーサンブリア物語 下 -

 ぜひどうぞ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 10:48| 読書 | 更新情報をチェックする

2017年04月23日

「バベルの塔」展 感想

 上野の東京都美術館で開催中の「バベルの塔」展に行ってきました〜
 土曜日にしてはそんなに混雑してなかったです。
 メインの展示品であるピーテル・ブリューゲル1世の「バベルの塔」だけは見るために列を作り、正面で立ち止まることが禁止されていますが。
 2回並んで2度見た(そんなに時間はかからない)

 このバベルの塔、恐ろしく細密。
 塔がいかに巨大であるかを表現するために、人間や建築用のクレーンなど、塔以外のものを可能な限り小さく描いている。
 三倍に拡大した複製画も用意されていて、それを見ても細かい。
 双眼鏡を持ってきている人がけっこういた。準備良いな。

 バベルの塔をCGで立体的に再現し、すぐそばまで迫る動画が上映されているので双眼鏡がなくても大丈夫!
 資材を持ち上げる様子や、石灰をかぶって真っ白になった人々を大きな画面で見られる。
 自分自身がバベルの塔に登ったような気持ちになって楽しかった。

 一緒に行った友人は、
「建設中なんだね! 壊されているところだとばかり思っていた」
 と驚いていた。
 バベルの塔の建設は順調で、このまま完成しちゃうんじゃないかという気がした。

 ヒエロニムス・ボスの作品も来ており、パネル展示ながら「快楽の園」の解説があったのが嬉しかった(残念ながら実物は来ていない)
 村上春樹「1Q84」の文庫版の表紙に、この絵が使われているのです。
 意味ありげでどうとでも解釈出来そうな、不可思議な象徴が多く描かれていて、
「春樹の世界にぴったりだ〜!」
 と感激。
「樹木人間の胴体の中は居酒屋になっている」
 というのが意味不明で素晴らしい。

 枝葉の刺繍の画家の「聖カタリナ」の布地の描き方も美しかった。
 枝葉の刺繍の画家、というのは通称。素敵だ。
 本当の名前は残っていないが、作者もそう悪い気はしないのではないか。

 グッズ売り場の「タオルの塔」に脱力した。
 タオルがバベルの塔っぽく積み上げてあるの。
 私はバベルの塔の形のシフォンケーキを購入。
 バベルの塔の窓(よく見ると一つ一つ形が異なる)がデザインされている紙袋が可愛い。

 上野駅では野菜山盛りのラーメンやパクチー山盛りのサラダが「バベル盛り」と宣伝されており、何だか今日は色んなものがバベルだった。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:52| 美術 | 更新情報をチェックする

2017年04月20日

文学フリマ東京参加のお知らせ・新刊情報

 2017年5月7日(日)に東京流通センター第二展示場(東京モノレール「流通センター駅」徒歩1分)で開催される文学フリマ東京に参加します。
 開催時間は11:00〜17:00 入場無料。
 私のブース番号は「C-02」で入り口のすぐそばです(ここ

 新刊は本の感想本。A5サイズ 96ページ 400円。
 この本をきっかけにして、うちのブースで本の話が出来たら嬉しいです♪

☆表紙


☆まえがき


☆目次








☆本文サンプル


 その他の頒布物はこちら
 当日お会い出来るのを楽しみにしています♪
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:23| 同人活動 | 更新情報をチェックする

2017年04月06日

母とお花見

 今日は母と一緒にデイケア施設の見学。
 ケアマネージャーさんが車で連れて行ってくれて、帰りには桜の並ぶ川べりを通った。
 最近母は遠出が難しくなり、花見も全然していなかった。
 ちょうど満開の時で良かった。
 母も嬉しそうに眺めていた。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 20:00| 季節 | 更新情報をチェックする

2017年04月02日

第5回Text-Revolutions(テキレボ)レポート

 開催前の数日間、Twitterで「テキレボ」を検索してイベント前のそわそわ・バタバタ感を楽しんだ。
 前日夜〜当日朝は無理しているツイート(寝ないで製本している人とか)が多くて心配だったよ。
 みなさん体調を崩さないように気を付けて。
 命あっての同人活動です。

 今回私はサークル参加ではなく、テキレボメンバーズ(当日限定スタッフ)の作業をするためだけに行った感じ。
 人手が足りなくて大変そうだったので。

 委託販売とお買い物代行の手伝いをするはずだったのに、何故か10:00からのサークル参加者入場の時にパンフレットを配っていた。
 一つ前の記事に書いたように、私を知っている人たちは「あっ」と思ったに違いない。
 予定していなかったけど予定通り?

 11:00から13:00過ぎまでひたすら委託のお手伝い。
 忙しかった……

 その後、大慌てで買い物。
 まずは委託コーナー。
 大好きならしさん(サークル名:おとといあさって)の新刊が売り切れていてうなだれる。
 自分で売ってて買えなかった……
 氷砂糖さん(サークル名:cage)とうさうららさん(サークル名:花うさぎ)さんの本は買えてホッ。

 並木さん(サークル名:銅のケトル社)、おかさん(サークル名:ザネリ)、世津路さん(サークル名:こんぽた。)のところをささっと廻る。
 今回おかさんが主催した「おじコレ」(伯父/叔父コレクション。伯父または叔父を切り口として作品を紹介する企画)は、伯父/叔父の登場する物語が思いのほか多いことや、親とは違う伯父/叔父との距離感が物語と非常に相性が良いことなどが分かって、最初に想像していたよりずっと勉強になった。

 300字SSポストカードラリーの委託作品を数枚いただき、お昼ご飯のメロンパンを食べて、お手洗いへ。
 鏡を見たら髪の毛が山姥のようにぼわっと激しく広がっていて、こんな頭で接客&買い物していたのかと驚く。
 みなさんさぞ恐ろしかったことでしょう。ごめんなさい。

 14:00から17:00過ぎまで代行の作業。
 自分の好きな本への注文があると、それを読んでいた時の気持ちを思い出してじーんとしたり。
 委託や代行の作業によって、会場に来られない人たちの「読んで欲しい」「読みたい」をつなげられたのなら嬉しい。
 どの本も、大切に読んでもらえたら良いな。

 Dちゃん(ダンナ)に早く会いたかったので打ち上げ等には参加しないで帰宅。
 あまり長く離れていると充電が切れてしまうので。
 みなさんお疲れ様でした。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:11| 同人活動 | 更新情報をチェックする