最終日の前日でしたがそれほど混んではいませんでした。
コミティア実行委員会が贈ったお花が入り口に。
こうの史代が「この世界の片隅に」を描く時に実際に使用した画材の展示に大興奮。
Gペン、丸ペン、筆のような漫画家さんなら誰でも使うようなものから、
鳥の羽根、口紅、紅筆、リップライナーまで。
私はこの漫画を何度も読み返したのだけど、気付いてないことがけっこうあった。
第41回りんどうの秘密(20年10月)のリンさんの場面が、口紅とリップライナーで描かれていたとは!
本では黒インクで印刷されているから黒い線。
原画では真っ赤で、特にりんどうの妖艶さがリンさんの姿そのもので。
漫画の中ですずさんが鳥の羽根で描いた絵は、本当に鳥の羽根を使って描いたそう。
作中で使われた画材のタッチをなるべく忠実に再現しようとしたのだと分かった。
真っ正直にこの作品ならではのリアルさを追求することが、同時に漫画表現の実験にもなっている。
単なる思いつきではなく、伝えたいことを伝えるための実験。
呉沖海空戦の時にすずが追いかける鷺は、現実なのか、すずが頭の中で作り上げた非現実なのか分からないので、鉛筆で描かれている。
今いる呉の風景がペンで、帰りたい故郷の風景が鉛筆で描かれ、同じページに収まっている。
この場面、漫画と映画では全く意味が違っていた。
漫画ではリンさんの存在が大きいから、すずさんが愛と嫉妬で苦しむ修羅場。
映画では鷺=昔好きだった男(水原さん)の方に行こうとするすずさんを、周作さんが取り戻そうとする、という気持ちの方が強く出ていた。
私はどちらも大好きだ。
第35回(20年7月)以降、背景が全て左手で描かれているというのも、そうだろうなとは思っていたけど、公式の場で書かれるとまた深く感じるものがある。
会場ではコトリンゴの映画の音楽がずっとかかっていて、全部見終わったところで極めつけの「たんぽぽ」
ひーっ 泣いちゃうだろ!!
壁に貼られた大きな寄せ書きにはやたら上手いKUSUNOKI公が。
展示は5月30日(火)つまり今日の18:00まで(最終入場17:30)
間に合う方はぜひ。
また別の会場でも開催してもらえたら良いね。

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