2017年06月28日

映画「69 sixty nine」感想

 私は「69 sixty nine」の原作が大好きなので、
「映画なんて無理無理、絶対ムリ!」
 と思っていたのだけど、「怒り」で妻夫木聡と李相日監督に興味を持ったので見てみました。

 原作を読んでから25年ほど経ち、内容を程良く忘れていたので、そんなに違和感なく楽しめました。
 男子高校生の日常や妄想の、馬鹿馬鹿しく笑える部分を大切にして映像化されていて、ホッとした。
 この物語の一番好きなところだから。

 何しろ全編で使われている長崎の方言が可愛い!
 星野源がとんでもない役で出ていてびっくりした。
 原作でも非常に印象的な場面で、さすがにここは忘れてなかったよ。

 新井浩文がだらしない番長役をやっている。
 「フランケンシュタインの恋」でさんざん見た後だったからウケた。

 「怒り」と同じように妻夫木聡の母親役が原日出子で、
「(怒りの)優馬は若い頃、こんなにお母さんに苦労かけたのね……」
 と、全然違う話なのに勝手につなげてじーんとしてしまった。
 お父さん役の柴田恭兵も格好良くてステキです。

 多くの物語が「酷いことを言ったりやったりしても許されてしまう登場人物」を求めていて、そういう役を演じられる俳優は限られており、妻夫木聡は良くも悪くもそこにピタッとハマってしまう存在なんだなぁと。
 ゲイでもノンケでも、モテる・愛されるという特徴から「逃れられない」
 本人としてはもうちょっと幅広くやってみたいんじゃないかと思うのだけど。

 妻夫木聡の容貌と演技は、観客の感情を加速させる。
 この長所は、悲しみより喜びに対して使って欲しい。
 「69 sixty nine」のケン役はからりと明るく、見ていて愉快な気持ちになる。
 あのtoo sweetな笑顔を見たら、どんな悪さも全部チャラになっちゃうよねぇ。

 そうそう、下ネタだらけなので苦手な方はご注意を!

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posted by 柳屋文芸堂 at 13:51| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年06月27日

映画「悪魔の手毬唄(1977年版)」感想

 「犬神家の一族」の方がテンポが良くて好みだったな。
 同じ原作者・監督でもずいぶん違うものですね。
 田舎の閉鎖的な雰囲気は良かった。

 「犬神家の一族」にも出て来た三木のり平と沼田カズ子夫妻、最高ですね!
 奥さんが無愛想に写真を投げる場面、この映画の中で一番好き。

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posted by 柳屋文芸堂 at 18:50| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年06月26日

テレビドラマ「フランケンシュタインの恋」感想

 フランケンシュタインの恋、昨日が最終回でした。
 ドラマをリアルタイムで最初から最後まで見たのは2002年の「HR」以来で15年ぶり。
 長編小説を読み終えたような充実感がありました。

 主演の綾野剛が目的だった訳ですが、見ていて一番興奮したのは十勝さん(山内圭哉)
 一応カタキ役で善人ではないのだけど、完全な悪人でもない。
 その場の状況によって感情が大きく振れ、瞬間瞬間で良い人に見えたり悪い人に見えたりする。

 下手な人がやったら「演技の定まらない人」になりそうなところを、十勝さんは常に100%十勝さんで、内面だけが見事にリアルにぶれてゆく。
「現実の人間って、こうだよねえ!!」
 と唸ってしまうキャラだった。

 玉名さん(大西礼芳)も色っぽくてステキでしたね〜
 怪物もヤンキーも全部まとめて面倒見ちゃう包容力。
 彼女が出てくるたび、私はニコニコしていたと思う。
 毎回、画面を通して会えることが嬉しかった。
 
 美琴(川栄李奈)も可愛かったなぁ!
 つっぱってしゃべる様子も良かったし、激しい感情を抱えたままじっと黙っている時の瞳が綺麗で。
 美琴と研さん(綾野剛)のやり取りは、可笑しかったり優しかったりでどれも大好きだった。

 深志博士(斎藤工)はそんなに出番は多くなかったのに、少ないセリフから人間を嫌いつつ人間を求めている気持ちが伝わってきて、凄いな〜 と。
 西洋ファンタジーのような風貌が120年前の背景と上手く重なって「フランケンシュタイン」という言葉に合った雰囲気を作り出していましたね。

 研さんには当然めろめろで、あまりの愛らしさにテレちゃって直視出来ないくらいでした。
 そして研さんからの影響でどんどんピュアになっていく綾野剛が…… もう……
 
 サキタハヂメさんの音楽も幻想的かつ前向きで、サウンドトラックを買おうか考えている。
 演奏にのこぎりが使われていると知り、びっくり。
 あの、みょーん、って音がそうなのかな?

 主題歌の「棒人間」は人間の世界で生きていく大変さが凝縮されていますよね。
 お話の最後にこれが流れると、
「ああ!」
 と毎回叫びたくなった。

 オーディオコメンタリーやフラ恋絵大賞など、ファンを大切にした企画も多くて幸せだった。
 私はやきのりさんげげたさんという方が描かれる「フランケンシュタインの恋」のイラストが大好きで、毎週楽しみにしていました。
 ありがとうございました!

 放送が終わってしまって寂しいけれど、ドラマで出会った登場人物たちは私の心にちゃんといる。
 これからも時々思い出して、人間の欲望や思いやりについて考えてみたい。

 第一話を見た後でうっかり書いてしまった二次創作はこちら
 これも良い思い出です。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 18:01| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年06月25日

楽譜と演奏≒文章と読み

 楽譜を見ながら演奏することで音楽が生まれるのと同じように、小説は文章を読むことで物語の世界が心に浮かぶ。
 楽器の演奏は先生に習って練習したりするが、「読み」はどうなのだろう。
 学校の国語の授業は「読みのレッスン」になっていたのか。

 もし国語の授業が有効に機能していなかった場合、読書しない人に向かって「本を読め」と言うのは、楽器の演奏をしたことのない人に「ピアノを弾け」と言っているのとほとんど同じなのではないか。

 楽器に素晴らしい演奏とダメな演奏があるように、読みにも上手・下手があるはず。
 しかし「読み」は脳内で行われることだから、外からは確認出来ない。
 楽器の腕前を上げるように、読み方を上達させるには何をすれば良いのか。

 活字離れというのは、
「文章を読み取って自分で物語を奏でるのが面倒」
 と感じる人が増えている、ということなのだろう。

「たまには本を読んでみませんか?」≒「久々にリコーダーを吹いてみませんか?」

 吹くかなぁ。読むかなぁ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:33| 考え | 更新情報をチェックする

2017年06月24日

母がデイサービスに通い始めた

 母親が介護認定を受け、週一回デイサービスに通い始めた。
 行った次の日に電話をし、何をやったか聞くようにしている。

 活動内容は用意されているものから自分で選べて、母は手芸や工作をやることが多いようだ。
 実家に帰ると玄関に完成品が飾ってある。

 母は認知症ではないので、レクリエーションで出題されるクイズはちょっと簡単過ぎるらしい。
「坊っちゃん・千円札・猫、さて何でしょうって、夏目漱石に決まってるじゃない!!」
 と怒っていた。

 アイスを食べに、近所のホームセンターまでみんなで「遠足」した話は可愛かった。
 危なくないようにヘルパーさんが手をつないでくれたと言う。

 他には、卓球が楽しかったと言っていた。
 普通の卓球では難しいはずだから、高齢者でもやりやすいように工夫されているのだと思う。
 カラオケは希望者が多くて、まだ歌ったことはないそうだ。

 数年前に腰を悪くしてから母はすっかり消極的になり、後ろ向きな発言も増えて心配していた。
「デイサービスに通い始めてから元気になった気がする」
 と言うと、
「話題が増えたから」
 との答え。

 他の利用者さんたちとおしゃべりしたり、近所の人とデイサービス施設の情報を交換したり出来るのが良いみたいだ。

 また一緒にどこかへ遊びに行けるようになると良いな。
 いつも行くスーパーより先は、
「無理よ」
 って断られちゃうんだけど……
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:38| 家族 | 更新情報をチェックする

2017年06月14日

映画「犬神家の一族(1976年版)」感想

 複雑な血縁関係を持つ富豪一家。
 矢継ぎ早に起こる殺人事件。次々と入れ替わる容疑者。
 欲望渦巻く人々を絡み合わせる因縁と怨念。

 いや〜 最初から最後まで飽きさせないですね。

 犬神家の一族と言えばスケキヨさんがあまりにも有名で、
「あーこの人、逆さになって死んじゃうんだなぁ」
 と思いながら見た訳ですが、あれは沢山起こる事件のうちの一つでしかないので、問題なく楽しめました。

 岸田今日子の使い方が妙に贅沢だった。
 横溝正史が旅館の主人役で出ており、石坂浩二に向かって、
「金田一さんですか?」
 と言うの、萌え上がりますね!!

 音楽が「ルパン三世 カリオストロの城」などと同じ大野雄二なのも良かった。
 今聞くと逆に新鮮で、全然古臭く感じない。

 他の市川崑監督作品も見てみたいな。

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posted by 柳屋文芸堂 at 18:51| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年06月08日

映画「武曲」感想



「言葉なあ、小僧。大事でもあるし、よけいなもんでもあるわな。禅の世界では、不立文字といって、言葉ではなく心、心という言葉になる以前の心で通じ合うのを理想とするんだ」

 というセリフがある映画の感想を、言葉で書くという矛盾。
 不立文字だということも不立文字という文字を使って伝えなければいけない歯がゆさ。
 私は禅のことをよく知らないけれど、そういう相反する欲求の中で真理を見出そうとする教えなのかもしれない。

 融(村上虹郎)は、ラップの歌詞を作るのが好きな高校生。
 冒涜、原罪など強めの言葉を連ねて叫んで「ある程度の」満足は得ているが、同時にどうしようもなく「何か」を渇望している。

 融は予告映像での印象よりずっと普通の男の子だった。
 言葉に惹かれ、言葉が完全なエクスタシーを与えてくれないことにいら立ち、もっと、もっととノートに言葉を書き殴ってゆく。
 融の飢えは私の心にも常にあるものだから、登場人物の中で誰よりも共感した。

 40歳になって高校生に共感するってどうなの…… 私、思春期終わってないのか…… と自分のことが心配になったが、それだけ虹郎くんの演技が自然で、観客が入り込みやすかったのだろう。

 剣道の師範で寺の和尚の光邑(柄本明)は融の満たされぬ思いと剣の素質を見抜き、酒に溺れ堕落した生活を送る研吾(綾野剛)に引き合わせる。

 この部分、物語としては展開に少々無理があるのだけど、
「光邑は研吾を救わなければと思い続けていて、それが出来る人間を探しており、融を見て即座に『こいつだ!』と気付いたんだ」
 と納得させてしまう柄本明はすごかった。

 研吾というか綾野剛はもう、飲み屋で同期生のおじさんに寄りかかっているだけでメチャクチャ色っぽい。
 寂しさで作られたような白い皮膚が、人間が発する熱を狂おしく求めている。

 言葉でも酒でも解決出来ない、欠けた魂を補完するため、融と研吾は嵐の夜に決闘をする。
 ここはほんと、

 君や来し我や行きけむおもほへず 夢か現(うつつ)か寝てかさめてか
(貴方が来て下さったのか、私のほうから逢いに行ったのかもよくわかりません。
 昨日の出来事は夢だったのか現実だったか、眠っていたのか目覚めていたのか……)


 という感じで、ラブシーンよりラブシーンだった。
(上記の和歌は映画に出てくる訳ではありません。伊勢物語からの引用)

 研吾がアルコール依存症なのもあって、画面に映っているものが現実なのか幻なのか分からないところがすごく良い。
 一番好きなのはお墓で老婆に話しかけられるところ。

「五悪というもんを知ってるか(中略)殺生、偸盗、邪淫、妄語、飲酒……(中略)矢田部の人間は、五悪にまみれてるんじゃないか」

 こんなこと唐突に言ってくるおばあさんイヤだ!
 特殊効果を使っている訳でもないので、それはごく普通の老婆にも見えるし、研吾の自責の念が見せた幻覚とも受け取れる。

 鎌倉という街が、半分黄泉に沈んでしまった異境のように感じられ、ここでかけられた呪いはここで解かなければならないと、みな当然のこととして信じている。
 映画というより神話の登場人物の動きに近い。

 私は不立文字を体現したものとして美術や音楽を愛し、憎いのか好きなのか分からないと思いつつ言葉を綴り、そして映画は、
「言葉ではなく映像で見せてくれ!」
 と願いながら見ている気がする。

 武曲という映画は私の気持ちに応えてくれたとも言えるし、不満を残したとも言える。
 不立文字を希求しつつ、徹底してはいないので。

 この記事で黄色い字にしたセリフはパンフレットからの引用。
 パンフに完成台本を載せてくれたことが嬉しかった。
 感想を書きやすい!

 こうやって私は不確かな言葉で世界を切り刻み、悟りは遠い。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 16:39| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年06月05日

日本近代文学館に行ってきた!

 東京大学駒場キャンパスのすぐそばにある日本近代文学館に行ってきました〜
 駒場という地名はよく聞いていたけれど、邸宅が立ち並ぶ落ち着いた住宅街で、渋谷から二駅のところにこんな場所があるのかと、雰囲気の違いに驚いた。

 日本近代文学館では現在「新資料から見る谷崎潤一郎―創作ノート、日記を中心にして」という特別展が開催されている。
 直感と欲望にとりつかれるように文学に挑んだ、と紹介され、
「たとえ神に見放されても私は私自身を信じる」
 という谷崎本人の言葉(現代小説全集巻頭)が引用されている。

 商業作家でありながら読者のためではなく自分のために執筆しているように思え、趣味で本を作る同人作家に近いものを感じた。
 小説そのものはもちろん、挿画や装画を小倉遊亀や東郷青児が手がけた、本の姿にも谷崎の美意識が表れている。

 雑誌「中央公論」での「細雪」掲載中止のお断りを見て泣き崩れそうになった。
 「細雪」は反戦を訴える小説では全くない。
 描かれているものの美しさが、戦争にケンカを売っている。
 その事実と、発表し続けられなかった無念、発表出来なくても書き続け、完成させた執念に打たれたのだと思う。

 江戸川乱歩や横溝正史の作品が掲載されていたことで有名な雑誌「新青年」の実物が展示されていて「オオー!!」
 谷崎だけでなく川端康成の作品なども英訳した、サイデンステッカーを知ることが出来たのも良かった。

 一緒に行った創作仲間たちと、館内にあるカフェ「BUNDAN」でおしゃべり。
 ここが楽しかった〜!!
 天井まである大きな本棚に本がぎっしり詰まっていて、右を向くと石垣りんの詩集、左を向くと伊藤計劃「ハーモニー」が。
 心置きなく青くさい文学談義を。

 やっぱり直接会って話す時間は最高ですね。
 Twitterでは思った以上に自分の発言に制限をかけているのだと実感した。
 発した先から消えてゆく声による会話と、記録に残って前後関係なく切り取られて炎上ネタになりかねない140字では、言えることがおのずと変わるよね……

 私は人から褒められると戸惑ってしまう。
 慢心して成長出来なくなるのが怖いのだ。
 でも、自分の美点を見失うのも停滞の原因になるから、冷静に受け止めて大切にしていかないと、と思った。

 私はしっかりした骨格を持った文章を書く作家(プロアマ問わず)が好きで、そういう人の読書傾向を見ると、古典〜近代文学に親しんでいる場合が多い。
 私も意識して過去の名作に触れるようにし、足場を補強しなければ。

 文学というジャンルで探求されてきたもの、その中で積み上げられてきた技法、そこから学んで新たな作品を作り出している人々が大好きなんだと、雑念が消えて核心が浮かび上がるような心地だった。

 お誘いありがとうございました。
 また行きたいな♪
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:14| 旅行・お出かけ | 更新情報をチェックする

2017年06月04日

春巻きっ!

R0026565.JPG

 今晩のおかずは春巻きでした。
 私が中身を作って巻いて、Dちゃんが揚げてくれた。

 調理を始める前にDちゃんから、
「まんぷくになっているのりが見えるよ……!」
 と言われて、現在予言通りまんぷくで動けません。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 22:05| 料理・食べ物 | 更新情報をチェックする