2019年10月05日

「天気の子」展 感想

 松屋銀座で開催中の「天気の子」展に行ってきました!
 公式ビジュアルガイドに載っていた企画書や絵コンテの実物がいっぱい!!

 スタッフの紹介動画も、本では分かりにくい作業の様子や本人の雰囲気を見ることが出来て良かった。助監督・色彩設計の三木陽子さんを初めて見た。若い人なんだなぁ。

 新海誠の絵(作画監督に「こういう画面にして下さい」と伝えるためのもの)が見られるのも嬉しい。アニメーターさんほど上手くはないのだけど、
「こう動いて欲しい!」
 という気持ちがあふれて、すごく生き生きしている。

 夏美の胸元をどうするか、絵とメモで相談したものも展示されていた。

新海メモ「女性のご意見もきいてみて下さい」
田村(作画監督)メモ「これ位ですかね」

 傷付く人がいないよう、思春期男子の視線として嘘のないよう、かなり慎重に影の付け方を考えたと聞いていたので「これか!!」と。

 「天空の城ラピュタ」などで美術監督を務めた山本二三さんの作品、4点全部本物が飾ってある! すごい!! 天井画は天井の木目や板と板の境目も絵で描かれていて「美術」と「アニメの美術」の違いを実感した。

 絵コンテや歌詞を展示で確認した後に、その部分の映像を見られるようになっている。明るい曲にもその後の展開を暗示する言葉が含まれていたり、「天気の子」という物語のために、絵も音楽も繊細に組み立てられているのがよく分かる。

「天気なんて狂ったままでいいんだ」
 というセリフは、
「君が犠牲にならなくたっていいんだ」
 ということなのだと思う。グランドエスケープが流れるこのシーンを見ると、
「新海誠よくやった!」
 と握りこぶしを作っちゃう。

 陽菜は首、帆高は手首に枷(かせ)をはめられ、真っ逆さまに落ちてゆく。その寓意。
 物語の中の少年少女は、すべての世代の感情を増幅させた存在なのかもしれない。

 私は「天気の子」のエピソードではなく、そこで描かれる「感情」に共感する。陽菜のおびえ、帆高の怒り、新海誠の苛立ち。
 現代日本で多くの人が抱えている、なかなか言いにくいモヤモヤした息苦しさ。

 帆高が農学部に進んだのは、環境問題を考えるためだったと、今回の展示で初めて知った。
「アントロポセン(人類の活動が環境に影響を与えた地質年代、という考え方)」
 と書かれた入学案内パンフレットが画面に出てきていたらしい。細かいなー!

 気象についてのコーナーもあり、雨粒の形を見てみよう、という実験が綺麗だった。下から風を受けておまんじゅう形になった水滴。
 ただの水なのにキラキラ光って宝石みたい……いや「新海誠の映画みたい!」だった。
 水滴は時々はね跳んで消えてしまうので、注射器で作り直す人がそばに付いていた。彼女も、
「癒やされます」
 と言っていた。

 情報量の多い「天気の子」という映画の細部をじっくり味わえる展示でした。
 松屋銀座では10月7日までですが、その後巡回展があるようです。
 ファンの方はぜひどうぞ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 22:01| 美術 | 更新情報をチェックする