2010年10月12日

高野文子「黄色い本」

 高校時代、学校の図書館にあった「るきさん」を読んだのだけど、どこが面白いのかよく分からなかった。
 日常を淡々と描いているだけで、事件も波乱もない。
 自分には向いてないのかな? と、それから数十年、高野文子の漫画を手に取ることはなかった。

 この間読んだ川上弘美の書評集に、高野文子を絶賛する文章が載っていたので、久々に挑戦してみることに。
 読解力が上がったのか、高校の頃よりは楽しめました。

 特に表題作(黄色い本ージャック・チボーという名の友人)は素晴らしい。
 高校卒業を控えた女の子が「チボー家の人々」という長編小説を読んでゆく。
 勉強、就職活動、家事の手伝い。教室に満ちる将来への焦り。
 そういった切実な日常に、小説の世界が重なってゆく。
 「読書」という地味な行為が持つ魔力や魅力が本当にうまく表現されていて、本好きにはたまらないと思う。

 でもね。
 一緒に入っていた「マヨネーズ」「二の二の六」という作品は全く理解出来なかった……
 出てくるおじさんがものすご〜く気持ち悪いのだ。
 靴下の湿り気や臭いまで伝わってくるようなイヤさ(ひぃぃ)
 そういう質感を出せるのは上手い証拠なのだが、何でそのおじさんたちを「主人公の恋愛対象」にしてしまうのだろう……?
 あれはホラーなの??

 ああいうおじさんが出て来ない高野作品があれば、また読みたいです。
 「黄色い本」の主人公のお父さんは、とってもとってもステキなのになぁ……
posted by 柳屋文芸堂 at 22:43| 読書 | 更新情報をチェックする