2011年01月06日

俵万智「愛する源氏物語」

 恋人同士がやり取りする和歌に注目して、源氏物語を読みといてゆく、古典エッセイ。
 源氏物語の解説本が多くある中、これはけっこう珍しい視点なんじゃなかろうか。

 中学生の頃、平安貴族が何かというと和歌を贈るのを知って、
「面倒臭いことをしてたんだな〜」
 と思った。
 でも、携帯電話でメールを送るのが当たり前になった現在、彼らの感覚は逆に身近になった気がする。
 後朝の文なんて、まさにそうだよね。デートの後のメールにそっくり。
 ようやく我々も平安貴族なみのゆとりを手に入れたということか……?(あんまりそうは思えませんが)

 言葉の壁(古語)は、万智先生がひょいっとうまく乗り越えさせてくれるので、いっそう共感しやすい。
 和歌の肝が純粋に伝わってきます。

 光源氏や薫(源氏物語後半の主人公)を批判的に描いている点も良かった。
 今時の女の人には許せないと思うんだよね。
 プンプン腹を立てながら読んだっていいんだ! と気が楽になりました。

 いつもとはちょっと違う読み方がしてみたい、という源氏物語マニアの方も楽しめる本なんじゃないかしら。
 源氏物語全体の流れをつかみたい、という初心者の方にもおすすめです。
 ぜひどうぞ。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:06| 読書 | 更新情報をチェックする