2011年04月23日

風が吹くとき

 レイモンド・ブリッグズの『風が吹くとき』という絵本(漫画)をご存知ですか?

 主人公の老夫婦の住む国は、核兵器による攻撃を受ける。
 爆死はのがれたものの、放射線がじわじわと体を蝕む。
 刻々と悪化する体調。
 しかし二人はその原因を理解出来ないまま、懸命に励ましあい、ゆっくりと死んでゆく。

 私とDちゃんは物理学科出身で、原子力の基礎の基礎みたいなことは一応学校で勉強した。
 でもこういう状況になってみると、結局はあの無知な老夫婦と同じように、身を寄せ合って震えているしかない。

 あの物語は悲惨な話だとばかり思っていた。
 老夫婦がずっと一緒にいられるのは「救い」だったのかもしれない。
 不安な時に、話しかける相手がいること。
 答えがちゃんと返ってくること。

 危機のせいで、物の見え方が変わってくる。
 そんなに悪い変化ではない気がする。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:40| 読書 | 更新情報をチェックする