2011年05月28日

村上春樹 柴田元幸「翻訳夜話」

 柴田元幸が東大の先生だというので、
「村上春樹にとって、翻訳の『師匠』みたいな存在なのかな?」
 と勝手に思っていた。

 読んでみると、どうも逆みたいですね。
 柴田元幸は村上春樹を、
「神様のような存在」
 と言っている。
 尊敬する人の仕事に関わることが出来て幸せで仕方ない、とひれ伏す感じ。

 村上春樹も柴田元幸の有能さを強く信頼している。
 二人の関係が、本の雰囲気をとても気持ち良いものにしています。

 対談と競訳(同じ短編小説に対して、村上・柴田がそれぞれ別の訳を付けている)を読んで思ったのは、
「翻訳家って、噺家に似てるな〜」
 ということ。
 同じ落語でも、噺家によって登場人物の性格が全く違っていたりする。
 どれが正解というのじゃなくて、翻訳家の数だけ(噺家の数だけ)物語が生まれる。
 読者一人ひとりが「自分だけの読み方」を持っているのと同じように。

 私は外国語が得意というわけでもないのに、翻訳や通訳の話が大好き。
 必要な言葉を並べるためにバカバカしいほど努力する点では、普通の文章書きと共通するから。
 文章力を伸ばすのに役立つかは不明ですが。
 とにかく読んでいて楽しかったから、それでいい!
posted by 柳屋文芸堂 at 03:29| 読書 | 更新情報をチェックする