2011年09月26日

伯母(小)の思い出

 死んでしまった人の体は、もうこの世界に無い。
 でも、思い出はいつまでも残しておくことが出来る。
 油断していると忘れてしまいそうな、たわいない話を記録しておく。

 伯母(小)はスーパーで買い物するのが大好きだった。
 しかし最後の1年半は体力が無くなって自分では行けなくなり、仕方なく人に頼むことに。
「何でもいいよ」
 と言いながら、注文がとんでもなく多い。

「のり子、良い豚肉の見分け方は分かるか」
「さあ……」
「赤い部分の多い肉が良い肉なんだよ」
「あー 脂が少ないのね」
「そんな肉はどこにも売ってないんだよ……」
「じゃあどうすればいいの!」

 きっと私や母が買ってきた肉を見て、自分で選べないのを歯がゆく感じていたんだろうな。
 伯母(小)は売り場の全てのパックをチェックしますからね。
 さらに買い物が済んだ後もう一度売り場に戻って、自分の買ったものが最上だったか再確認しますからね。

 あまりにも買い物に時間がかかるので、付き添う母は、
「もうやめてー!!」
 と音を上げることがたびたびでした。

 こういう小さな思い出を忘れてしまうのは、宝石を捨てるようなものだ。
 誰も欲しがらないかもしれない、私だけの宝石。
posted by 柳屋文芸堂 at 23:25| 思い出 | 更新情報をチェックする