2011年12月11日

生ましめんかな

 今年一番印象的だったニュース。

 大震災の直後、壊滅した街や、原発事故の様子を淡々と伝えていたアナウンサーが、
「自らも被災しながら治療を続けたお医者さんに、赤ちゃんが生まれた」
 という内容のニュースを読み始めたとたん、涙声になった。
 
 あんまり酷いことが起こると、悲しいことではなく、嬉しいことに泣くんだ、と思った。
 確かにあのニュースは、暗く冷たい海の中で輝く、一点だけの光だった。
 当たり前のことが、全然当たり前じゃなくなっていた。

 津波や死や汚染の生々しいニュースが流れ続けていた3月、
「こんな良いこともあったよ!」
 というニュースもたくさん聞いた。
 ニュース番組がこんなにポジティブだったことってあったっけ? と思うくらいに。

 あの時、日本人は、
「明るい出来事を数えなければいけない世界」
 にいたのだ。

 もしかしたら、
「暗い出来事ばかりがニュースになる世界」
 の方が幸せ、なのかもしれない。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:39| 社会 | 更新情報をチェックする