2012年04月04日

俵万智「短歌をよむ」

 短歌を「読む」ことと「詠む(=作る)」ことを考える本です。
 私は単純に短歌を読むのが好きなので、理解が深まるといいな〜 くらいの軽い気持ちで読み始めたのですが、学ぶところが沢山ありました。
 一番身につまされたのが、青春をいかに乗り越えるか、という話。

 私も、若い頃とは書きたいものが変わってきている。
 十代〜二十代前半まで、人生のトラブルは自分自身、もしくは自分の周囲で発生して、その精神の嵐を鎮めるために文章を書いていた。
 しかし三十代の現在、トラブルは自分の力の及ばない遠い場所からやって来る。
 これを鎮めるために、どんな文章を書くべきなのか?
 答えは全然見つからない。

 俵万智は「言葉の技術が向上することの危険性」を指摘する。
 若い頃は、自分が言いたいことを表現するための言葉がなかなか見つからない。
 どうにか見つけてやろうと、もがく。
 その葛藤が、重みのある作品を生み出す。

 経験を積むと、言葉が簡単に出てくるようになって、それほど葛藤せずに作品をまとめられるようになってしまう。
 それは確かに作品の形をしている。
 しかし、かつてのように人の心を動かすことが出来ない。

 答えを見つけられずに悩んでいるのは、私にとって良いことなのかもしれない。
 自分の心と作品の中心がズレていないか。
 何度も確認しながら、書いては消し、書いては消しを繰り返そう。
posted by 柳屋文芸堂 at 22:13| 読書 | 更新情報をチェックする