2012年04月06日

荒川洋治「忘れられる過去」

 荒川洋治さんは、TBSラジオの朝の番組「森本毅郎・スタンバイ!」に毎週出演している。
「詩人の荒川洋治さんです」
 と紹介されるのが面白いなぁ、と前から思っていた。

 「詩人」というのは職業というより、その人の性質を表す印象が強い言葉だ。
 たとえばロマンチックな人のことを、
「彼はなかなかの詩人だ」
 と言ったりする。別に詩集を出している必要はない。

(逆に「小説家」は完全に職業を表す。
 いくら小説を書いても、それで食ってなければ小説家とは名乗れない。
 村上春樹ばりに凝った比喩を使っても、
「君はなかなかの小説家だ」
 とは言われない。不思議ですね)

 「詩人の荒川洋治さん」と聞くたび、
「ロマンチストの荒川洋治さんです」
 と紹介されているような気がして、その後の真面目な話(毎回、文学の話をする)もなんとなくニヤニヤしながら聴いちゃうのだ。

 そんな「詩人の荒川洋治さん」の本を、初めて読みました。
 詩集ではなくエッセイ集。

 納得しかねる部分もあったけど、全体的に面白かった。
 人々の心が文学から離れていってしまっている、ということをしょっちゅう嘆くのだけど、昔の人はそんなに文学に夢中だったのだろうか。
 今も昔も、読みたい人は読むし、読みたくない人は読まないのは変わらないんじゃないかな……

 まあそれも、荒川さんの文学への愛があふれている証拠なのかもしれない。
「もっともっと読まれていいのに!」
 と悔しく思っているのだ。

 本棚の守護神みたい。
 私も本好きなので、こういう人が日本の本棚を守っているんだ、と思うとちょっとホッとします。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:53| 読書 | 更新情報をチェックする