2012年05月26日

三浦しをん「あやつられ文楽鑑賞」

 三浦しをんの「舟を編む」が売れているみたいで、嬉しい限り。
 あの話、大好きです。

 彼女の本の中でも地味なラインかな? と思われる「あやつられ文楽鑑賞」をご紹介。
 小説ではなく、文楽についてのエッセイ。
 文楽を全く見たことがない人でも楽しめると思います。

 でも、内容が薄い訳じゃない。
 何しろ1ページ目から、

 文楽には、時代を経ても不変な人間の心と、時代を経ると人間の心ってけっこう変わるんだなという部分とが、そのまま刻印されている。

 なんて鋭い文章が出てくるのである。
 伝統芸能の面白さの本質だよね。

 一番「すげー!」と思ったのは「仮名手本忠臣蔵」を紹介する章。
 実は私、忠臣蔵って全然好きじゃないのだ。
 忠義心ゼロだから、
「なんでそんなことのために死んじゃうのよ?」
 とバカバカしくなっちゃう。

 しかし三浦しをんは舞台を文章で再現し、ツッコミを入れつつ、
「忠臣蔵がいかに群像劇として優れているか」
 を見せつける。そして、
「忠義心に共感出来ないくらいで見ないのは損だよ」
 と教えてくれるのだ。

 文楽で義太夫を語る大夫を主人公にした小説「仏果を得ず」も合わせてどうぞ。
 可愛らしいラブストーリーになってます。
posted by 柳屋文芸堂 at 23:06| 読書 | 更新情報をチェックする