2012年06月10日

父の日とは

「次の日曜日は父の日です。みんなでお父さんの絵を描きましょう」

 と先生が言った時、お父さんのいない子は何を描くかご存知ですか?
 お母さんの絵を描くのです。
 5月の母の日に続き、2枚目の母の絵である。

 私が通っていた幼稚園では、父の日に日曜参観をすることになっていた。
 母は父親の代役として、伯父を呼ぶつもりだったらしい。

「ごめんね、おじさんは用事があって来られないって」
 母は必要以上にしょんぼりしていた。
 私が引け目を感じてしまうのでは、と心配していたのだろう。

 ところがどっこい、である。

 30年前の話だから、シングルマザーはまだ珍しかった。
 私のクラスに父親のいない子は私だけ。
 壁にずらずら貼られた父親の絵の中で、たった1枚輝く「お母さん」

「私は特別な子どもなんだわ」

 私は誇らしい気持ちでいっぱいだった。
「他人と違う」
 ということが嬉しくて仕方なかったのだ。

 父の日とは、父親のいない子が、新しい視点を見つける日のことです。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:02| 自分 | 更新情報をチェックする