2012年08月05日

オーウェル「パリ・ロンドン放浪記」

 「一九八四年(←村上春樹「1Q84」の元ネタ)」や「動物農場」で有名なオーウェルの、若い頃の作品です。
 放浪記というより、貧乏日記。
 皿洗いをしたり、浮浪者になったり。
 どんな地位にいてもオーウェルの視線は鋭く冷静で、ゾクゾクします。

 興味深いエピソードがたっぷり詰まっているのですが、一番励まされたのはロンドンの大道絵師ボゾの話。

「その気になれば、金があろうがなかろうが、同じ生き方ができる。本を読んで頭を使っていさえすれば、同じことさ。ただ、『こういう生活をしてるおれは自由なんだ』と自分に言い聞かせる必要はあるがね」

 こんな悲惨な人生でも、彼は恐れても後悔してもいず、恥ずかしいとも思わなければ、自分をあわれと思ってもいなかった。自分の境遇を直視して、自分なりの哲学をつくりあげていたのである。


 私は専業主婦でいることに不満を感じることが多いのだけど、人間は、
「『どんな境遇にいるか』ではなく『何を考えているか』が重要なんだ」
 と思うことが出来ました。

 オーウェルがすごいのは、こういう人間をしっかり観察して記録し、さらにあらゆる出来事に対して生真面目に考察を加えるのである。
 その積み重ねの結果が、あの濃密な小説世界なんだな……
「どうしてあんな作品を書けたのだろう?」
 とずっと不思議だったのだ。
 私も見習って、少しでも近付きたいです。

 みなさんもぜひ読んでみてください!
 と言いたい所ですが、残念ながら絶版本。
 Amazonでは12600円なんて値段が付いてるよ! ひゃぁ〜
 私は神田の澤口書店という古本屋さんで650円で買いました。
 良い買い物だったのね。

 どこかの出版社で、全集を出してくれないかなー
 貧乏でも買えるように文庫で(金持ちやインテリだけが読んだって意味ない)
 オーウェルは重要な作家だし、何よりとにかく面白いんだから!!
posted by 柳屋文芸堂 at 00:54| 読書 | 更新情報をチェックする