2012年10月28日

「そうじゃない」おじさん

 写真の世界には「そうじゃないおじさん」がいるらしい。

 たとえば古いタイプの特殊なフィルムカメラを使っている女性を見かけると、
「そのカメラの使い方はそうじゃない」
 と指導し始める。

 たとえば蓮の花を撮影している女性を見かけると、
「蓮の花の撮り方はそうじゃない」
 と指導し始める。

「いえ、私はこう使いたい(撮りたい)んです」
 と言っても、
「いやいや、そうじゃない」
 自分は正しいことを知っていて、相手は知らないと決めてかかる。

 「そうじゃないおじさん」たちは、良い写真を撮るための技法や手法があると信じているのだろう。
 解説書のやり方で、パチリ。
 お手本そっくりの構図で、パチリ。
「グッと来る写真と来ない写真はどう違うのか」
 なんて疑問を持って、答えが見つからず苦しむこともない。
 確かに楽だ。

 しかしそんな行為だけでは満足出来ない人もいる。
 被写体が放っている「何か」を、いかに損なわずに写真に焼き付けるか。
 「何か」はとても曖昧なものだし、
「この通りやれば大丈夫」
 と言い切れる方法は存在しない。

 「何か」に心を動かされ、撮影する。
 見る人の心を動かす写真が生まれる時もあるし、失敗する時もある。
 それでもなお「何か」を求めて挑戦する。何度でも。

 「そうじゃない」おじさんたちは、その自然な流れを阻害してしまう。
 自覚のない怠慢によって。
 
 全くけしからんな!
 とプンプン怒っていたのだけど、もしかしたらおじさんたちは、単にカメラをきっかけにして女性とおしゃべりしたかっただけなのかもしれない……
posted by 柳屋文芸堂 at 23:12| 写真遊び | 更新情報をチェックする