2013年02月17日

冨田勲「イーハトーヴ交響曲」

 ラジオで聴いていたら我慢出来なくなってCDを買ってしまった。
 5楽章「銀河鉄道の夜」で、手回しオルガンのメロディーにミクの歌、
「シャラシャラシャラシャラシャラ シャラララララキンコンカン♪」
 が重なる部分が本当に美しい。涙が出てくる。

 この交響曲の最も優れた点は、賢治の作品を読んだ時に感じるのと同じ種類の切なさを、音楽の力で生み出しているところだと思う。
 つい「銀河鉄道の夜」を読み直しちゃったんだけど、この作品ってもう何だかよく分からないけど泣けるのね。
 悲しい出来事が起きるから、という理由じゃなく、文章全体に悲しみが織り込まれているみたいなのだ。
「何でそんな風に感じるのかなー」
 と今回改めて考えてみて、
「この小説の中で起きる悪いことは全部真実で、良いことは全部幻想だからなんじゃないか」
 と思った。悪いことはやたらにリアルで、良いことは美し過ぎて、賢治は決して生きてこの世でそれを見ることは叶わなかった気がする。

 でももしかしたら、牛乳だけは実際にあたたかく美味しかったのかもしれない。

 白い一本の乳の流れのような、そこにすがりつけば苦しみのない安らかな場所へ辿り着ける、細く光る希望のようなもの。
「シャラシャラシャラシャラシャラ シャラララララキンコンカン♪」
 ミクの声は現実には存在せず、でもちゃんと私たちに聴こえている。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:00| 音楽 | 更新情報をチェックする