2013年04月16日

心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)

 大阪で見た文楽の感想を。
 いやー ダメ男って本当に最高ですね!

 妻と二人の幼い子どもがいるにもかかわらず、遊女小春と深い仲になってしまった紙屋治兵衛。
 治兵衛は小春と心中するつもりなのだけど、小春は治兵衛を家庭に戻し、一人で死のうと決めている。
 それを知った治兵衛の奥さんであるおさんの対応がすごい。
 自宅の着物を集めて質入れし、小春を身請けしようとするのです。

「小春が俺のものになるのはいいけどさ、お前どうすんの」
「あっ…… (自分の子どもの)乳母か飯炊きか隠居にでもなります……」
(ざっくり現代語訳)

 えー えー それで良いのー?!
 このおさんは貞女ということになってるらしいけど、単純に治兵衛に惚れてるんじゃないかなぁ。
 冷静に考えれば、仕事でも役に立たない(昼間から寝てばかりいる)治兵衛なんて、遊女と心中させちゃった方が楽なはずなのだ。
 でも、治兵衛と別れてくださいと小春に手紙を書いたり、小春に未練があるのかと治兵衛をなじったり、右往左往する。
 ダンナなんてどうでも良い、と思ってたらこんなに積極的に動かないと思う。

 もちろん当時の社会のルールは今と違うので、おさんが気にしていたことを正確に理解することは出来ない。
 ダンナより、遊女とのいざこざで商売が成り立たなくなることを心配していたのかもしれない。
 あと子どものこととか(夫が遊女と心中した場合、親権は誰のものになるのだろう?)

 しかし現代人としてこのドラマを見ると、
「ダメ男を愛してしまった二人の女の悲劇」
 として心を打つ。
 私はそういう風に解釈して感動した。

 ダメ男、大好きだもん!!
 私がいないとこの人はダメなのよ……

 一夫多妻が認められている国の人なら、
「え? 治兵衛とおさんと小春と子どもたちで仲良く暮らせば良いんじゃないの?」
 と首を傾げるのだろうか。

 文楽は深刻な場面が多いのかと思ったら、笑えるところもいっぱいあって楽しかった。
 治兵衛のライバル太兵衛のエア三味線とか、会場沸いてたな。

 心中ものなら大阪でしょ、とわざわざ国立文楽劇場へ行ったのに、東京の国立劇場でも5月に「心中天網島」やるそうです……
 興味のある方はチケット調べてみてください(こちら
posted by 柳屋文芸堂 at 23:27| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする