2013年09月02日

クーラーの思い出(神輿と夜の祭りの間)

 こんなことを言うとおばあさんになってしまったような気分になるけれど、昔、クーラーは一日中つけっぱなしにするようなものではなかった。
 ……その前に「クーラー」という単語が古い? 今は「エアコン」ですね。
 かつては暖房機能がなくて冷やすだけだったから、クーラー。

 小学生の頃、我が家には茶色い家具調のクーラーがあった。
 この話を三味線の先生(少し歳上)にすると、
「子どもの頃、まず家にクーラーがなかったと思う」
 ああ、確かに。普通の家庭には普及していなかったかもしれない。
 うちは商売(マッサージ屋)をやっていたので、客間だけにクーラーを設置していた。
 お客さんのいない、暑い、特別な時間にだけ、私たちは冷えた空気を味わった。

 その気持ち良さを最も強く思い出すのは、お祭りの日。
 重たいお神輿をかついで町内を一周し、お菓子をもらって家に帰る。
 お神輿の一団にホースで水をかける人があちこちにいるので、体はビシャビシャ。
 もちろん汗もかいている。
 一度お風呂に入り、クーラーの部屋で新しいはっぴに着替え、お化粧をし直してもらう。
 鼻筋を白くし、目じりと唇に紅をさす。

 すっかり生まれ変わったようなさっぱりした体で、日が暮れるのを待つ。
 夜は盆踊り。
 和太鼓を打つ大仕事があるのだ。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:04| 思い出 | 更新情報をチェックする