2013年09月29日

駅前のクルクル兄さん

 私がいつも使う駅には飲み屋の客引きが多くいる。
 みな若くて熱心で、足早に過ぎ去ろうとする通行人をつかまえるのに必死だ。

 その中で一際目立つお兄さんがいる。
 階段の下の空間で、バレエダンサーのようにクルクルクル〜ッと回転しながらチラシを配るのだ。
 まるでそこは彼のためのステージ。

 同業者が大勢いるから、差別化のために進化したのだろう。
 単に好きでやっているだけかもしれない。
 おそらくこの駅を利用する人は全員知っていると思う。
 隠れた有名人。というか隠れてない。

 先日、その彼が人命救助をしていた。
 倒れたおじいさんを助け起こし、
「自転車が倒れただけなの? 具合が悪いの?」
 と懸命に質問していた。
 常に駅前にいたらそういう場面に出会う回数も多くなって大変だろうなと思った。

 別の日には、流しの津軽三味線弾きが駅前に来ていて、お兄さんはその曲に合わせるように激しく舞っていた。
 あまりにもぴったりで笑ってしまった。

 通行人の冷たさと、客引きの熱さ。
 その差が切ない。
 私もとびきり冷たい通行人の一人だけど(チラシは絶対もらわない)

 駅前はドラマだ。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:24| 地元(千葉・埼玉)ネタ | 更新情報をチェックする