2013年10月31日

杉背よい「三浦半島怪談集 三浦怪談」感想

 何個か前の記事で書いた「三浦怪談」読み終わりました。
 短編怪談が七つ入ってます。

 彼女の作品を十年ほど読み続けているけれど、描かれる世界は一貫して不条理である。
 人間それぞれが持つ身勝手さが、風に集められる葉のように重なりあい、主人公に降りそそぐ。
 読者は主人公と一緒に当惑しながら前に進む(=物語を読む)ことになる。

 こう書くと取っつきにくい話だと思われるかもしれない。
 実際に数年前までの彼女の作品は、好きな人は猛烈に好きでも、万人向きではなかったと思う。
 しかし「怪談」という形式を得たことで、彼女の物語はエンターテイメントになった。

 魑魅魍魎が跋扈する世界では、奇妙なことが次々に起こる。
 読者にとってそれが自然な展開だと感じられる。

(彼女は日常でも白昼夢みたいな出来事にしょっちゅう出くわす。
 本来は「怪談空間」で生きるべきなのに、間違って現実世界に来てしまったうっかり者の登場人物、と打ち明けられても驚かないよ)
 
 「泥の中」「雨崎」に出てくる女性が印象的だ。
 どちらも陰気で、あまり幸福そうではない。
 若いうちなら手に入れられたかもしれないものの美しさに気付いてしまった、若くない女性。

 手遅れと知りながら、からりと開き直ったりはしない。
 こういうじっとりとした女性のたたずまいを描かせたら、右に出る者はいないと思う。

 怖い話というより、もののあわれを感じる話ばかりだったな。
 舞台になっている場所を巡りたくなりましたよ。

 電子書籍初体験だったので、そちらの感想も。
 本を持ち歩かなくて良いのは便利。
 でも、付箋が貼れないのが不便。
 全部読み終えた後で、おおっと思った文章を見直したりしたいんだよねー
 引用もしにくいしー
 単純にさらっと読んで楽しみたい人には向いているかもしれません。

 しおりははさめます(ブックマーク機能)
 これが1個だけなんだ。
 気に入った場所に線を引いて、そこに次々飛べる機能があればなー
 そういうのが出来るアプリもあるのかな?

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posted by 柳屋文芸堂 at 23:59| 読書 | 更新情報をチェックする