2013年11月09日

「文学賞受賞」と「同人誌即売会参加」

 大昔、文学賞を取ったことがある。
 知名度は全く無い賞だが賞金も出たし、有名な作家が選考委員を務めていた。
 豪華さがあだになったのか、受賞作のレベルが低かったせいか、その賞は2回で終了してしまった。

 私の作品はその賞のサイトで公開され、1500人くらい(だったかな?)がダウンロードしたという。
 でも、感想は一通も来なかった。
 小説の仕事につながるということも無かった。

 選評と賞金は嬉しかったけど、大騒ぎした割には虚しい経験だった。

 同人誌即売会で私の本は、驚くほど売れない。
 でも何故か感想はよくもらう。
 印刷代やイベント参加費で、お金は出ていく一方だ。
 誰も尊敬してくれない(ちょっと馬鹿にされている感触さえある)

 「文学賞受賞」と「同人誌即売会参加」を比べると、同人誌即売会参加の方が損ばかりのような気がするのに、満足感はこちらの方が高いのだ。
「読まれている」
 という実感そのものが、執筆に対する努力への報酬になる。
 お金よりも。

 文学フリマの会場には、そんな喜びがあふれかえっていたんだなー
 と思うとなかなかすごい。
 全員が「机を並べて本を売る」という地味な行為をしているのに、見えない花びらが舞い続けているような高揚感が確かにあった。
 
 文学フリマという場が熟成しつつある。
 ここで得たものを糧にして、魅力的な作品がどんどん作られてゆく予感がある。
 言葉を愛する私は、それが楽しみで仕方ないのだ。
posted by 柳屋文芸堂 at 02:55| 執筆 | 更新情報をチェックする