結婚前は近所でばったり会って話し込んだりしていたのだけど、この10年ほどは年賀状のやり取りだけだった。
間隔が空いても昔みたいに笑い合えるのが、幼なじみの素晴らしさ。
「小学校の文集が配られた時、一番にのり子ちゃんの作文を読んだの、よく覚えてる。すごく面白くて。
だから大学卒業してすぐ小説で賞を取った時に『ほら、やっぱり!』って思ったよ」
と言ってくれたのが嬉しかった。
その後鳴かず飛ばずですが……
先日会った友人(3つ前の記事の妊婦さん)は、私の小説(オカマ板前と春樹カフェ)の内容をしっかり覚えていてくれて、
「周平さんとナナさんの間には本当に何もなかったんだろうか?」
という感想をくれた。
過去を疑う、ということは、2人が「過去と未来を持つ存在」だと感じてもらえたのだ。
文字になる前は、私の脳内にだけ住んでいた、架空の人物なのに。
「作文が上手」なのと「小説でプロになる」の間には、大河か急流か、とにかくとても渡り切れない隔たりがある。
それを身に染みて理解し、なお書いてしまう。
私の夢は「小説家になること」ではなく、
「文章を書くこと」
だからだ。
夢は叶っている。今まさに。