「フェリックス・ゴンザレス=トレス」
という名前を見ただけで泣き出しそうになる。
ゴンザレス=トレスは床に飴を敷き詰める作品が有名。
ヨコハマトリエンナーレには、紙を床に積み上げる作品が展示されていました。
飴も紙も、自由に持ち帰ることが出来ます。
紙は二種類あって、一つは赤い紙に黒い枠が付いている。
タイトルは「無題」NRA−ライフル協会
もう一つは水色の紙に白っぽい枠が付いて、タイトルは「無題」青い鏡
大きさは……風呂敷くらい、と言えば良いか。それともカレンダー?
割と大きめ。
会場で私は女子高生の団体と一緒になった。
全員強制で現代美術を見るのはキツくないか、と思ったが、かばんを見るとどうやら美大の附属の生徒らしい。
大人に連れて来られた子どもによく見られるダラダラした雰囲気はなく、みな熱心に作品を鑑賞している。
彼女たちはゴンザレス=トレスの赤い紙と水色の紙を、くるくる筒状に巻いて持っていた。
美術の道を目指す少女たちが大きな紙をもらったら、家に帰った後、おそらくそこに絵を描くのではないか。
思い思いの線や色彩で埋め尽くされる「NRA−ライフル協会」と「青い鏡」
ゴンザレス=トレスは38歳で亡くなった。
本人がいなくなった後も、彼の作品は飴や紙を配り続ける。
最後の一個、最後の一枚が無くなったとしても、
「何かを伝えたい、渡したい」
という切実な思いはそこに残る気がする。
彼の静かな情念を感じるたび、私は泣き出しそうになる。
2014年08月03日
ヨコハマトリエンナーレ2014(フェリックス・ゴンザレス=トレス)
posted by 柳屋文芸堂 at 23:58| 美術
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