2014年09月09日

自分の内側への旅

 下の記事で「小説より旅行記を書く方が難しい」と書きましたが、もちろん小説書きにも大変さはあります。
 それは「あちこちで叫ぶことになる」

 福岡ポエイチの新刊だった「邯鄲」は書きたい衝動がものすごく強く、ちょっとでも細切れ時間があるとiPhoneのワープロアプリを開いて続きを書いた。
 そうすると即座に小説の世界に行ってしまって、声をかけられるたび、
「ギャーッ!」
 と叫んだ。

 あれは何なんだろう。
 こちらの世界に引き戻されるとびっくりするんだよね。
 周囲の人たちの方がよほどびっくりしただろうけど。

 小説世界と現実世界を行き来するのは疲れるので、
「あっちに行ったきりになりたい……」
 と毎回思う。
 でも実際は、現実世界で材料をきっちりそろえておかないと、小説世界は薄っぺらになっちゃうのだ。

 小説書きは旅に似ている。
 いかに生きてきたかが、そのまま旅先の風景になる。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:51| 執筆 | 更新情報をチェックする