2014年09月21日

京都和久傳

 せっかく関西に行くのだから、関西らしい料理が食べたい、と思った。
 前回の大阪旅行では串カツとねぎ焼きを食べた。
 さて、今回はどうしよう。

 国立民族学博物館の場所を調べると、京都駅から行くルートが出て来る。
 そうか、京都もそんなに遠くないのか。
 京料理……

「京料理は味が薄くて私には合わないかなぁ」
「そうでもないと思うよ。一度ちゃんとしたのを食べてきたら?」
 とDちゃん。

 京料理といえば、坂東玉三郎が通っているという「和久傳(わくでん)」という店に憧れていた。
 和樂ムック「坂東玉三郎 すべては舞台の美のために」という本の中で玉三郎は、
「あれほど素直に身体に入ってくるお料理はなかなか無い」
 と和久傳を絶賛している。

 ページの端にある店の情報を見ると「夜は25000円〜」
 まあ玉三郎ならポンと払える金額なのだろうけど、ただのおばちゃんである私が一人でこんな贅沢をするのはちと辛い。
 うーむ。

 それでも一応、と和久傳のホームページ(ここ)を見てみたら、なんと!
 京都駅直結の伊勢丹に、支店を出している……!
(京都和久傳。本に出てくるのは高台寺和久傳)

 食べログで調べてみると、伊勢丹の支店は値段設定が少し低くなっており、それでいて点数はかなり高い。
 これは期待出来るかも。
 同人誌を印刷しながらお店に電話。
 予約取れた。ラッキー!!

 という訳で、国立民族学博物館から京都に移動し、和久傳で夕ごはん。
 ドキドキする。

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 席に通されると、まずウェルカムドリンクっぽく小さな器でお茶が出てくる。
 香ばしい玄米茶みたいなの。
 もうすでにこれが美味い。

 川端康成「眠れる美女」の中に、供されるお茶の質で店のレベルを判断する場面があったなー と思い出す。
「川端はそういうところがイヤミよねっ」
 と友人が言っていたことも。

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 なすとかつお(写真だとなすが見えませんが)
 ごめんなさい。料理の名前を逐一メモした訳ではないので、雑な説明になります。
 かつおは刺身で、なすはダシで煮て冷やしてある。

 このなすがたまらない。
 全体に味がしみていて、でもさっぱりしている。
 うま〜

 あまりにも美味しくてDちゃんが恋しくなる。
 一人じゃなく、二人で食べたかったよ……
(これだと死んじゃったみたいだな。生きてます)

 飲み物を頼まなかったので、ほうじ茶を出してくれた。
 これも美味い。
 加賀棒茶に似た優しい味。
 こういうお茶を出してくれる店ってなかなかない。

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 豆腐と湯葉、松茸のお吸い物。ゆず風味。
 ちょっととろみがついている感じで、お吸い物という呼び方ではなかったはず(何だろう?)
 ダシが薄いのに美味い。いったいどうやってるんだ。

 高級で上品なんだが具沢山で家庭的。
 ホッとする味。というか汁の熱が体に移って暑くなってきた。

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 焼いた鱧(はも)と万願寺(まんがんじ)とうがらしと銀杏。
 万願寺とうがらしは大きなししとうのような野菜で、辛くはありません。

 鱧ととうがらしを同時に口に含むと、うま〜
 手前がゆず、奥が甘いしょうゆ味。

 万願寺とうがらしは関東でも手に入るけど、鱧はほとんど馴染みがない。
 外食で何度か食べたきり。
 家では絶対やらない組み合わせなので、嬉しい。

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 天ぷら。
 どうしたらこんな風に出来るの? と聞きたくなるほどサックサク。
 天つゆではなく塩でいただくのも好感が持てる。
(つゆをかけると衣がぐちゃっとしちゃうので好きじゃない)

 エビのすり身を詰めた椎茸、の椎茸が肉厚でめちゃうま。
 調味料の味ではなく、椎茸の味が濃いんだ。
 こんなにも椎茸は椎茸だったのか……
 全身を椎茸の香りでいっぱいにして食べた。

 美味し過ぎてだんだん申し訳なくなってきた。

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 ほうれん草のおひたし、菊花あえ。
 どれもこれも、とにかくダシが良いんだよ!
 そして料理ごとに異なるダシを使っている気がする。

 京料理は口に合わないかも、という心配はすでに遠い彼方へ吹っ飛んだ。
 ダシで食べられる。
 これはすごい。研究しなければ。
(埼玉に帰ってきてから和食の本を2冊買いました)

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 金目鯛と玉ねぎと三度豆(サヤインゲン)の煮物。

 お酒は頼まなかったのに、食前酒(日本酒)がついた。
 小さな竹の容れ物に一杯。
 私はお酒に弱く、空腹のままお酒を飲むと貧血を起こしてしまう。

 なのでだいぶお腹がふくれてきたこのあたりで、ちょっと一口。
 淡い鯛の味がお酒の力でくっきりして、うま〜
 三度豆もかすかに苦味があるのが良い。

 店の窓は大きく、顔を上げると夜景が見える。
 が、正直京都の夜景はそれほど面白くない(暗い。寺が多いからな)
 ただ車のライトの列が真っ直ぐに伸びているのが、碁盤の目の京都らしくて良かった。
(東京の道はこんなまっつぐじゃねんだ!)

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 鯛茶漬け。
「京都のお茶漬け!!」
 と叫んだら店の人が困惑していました。

 だって「京都のお茶漬けは『帰れ』の合図」って有名ではないか。
 あれも一種の都市伝説?

 甘い赤みそで炊いた(=煮た)鯛をご飯に載せ、お茶漬けにしている。
 なんて鮮やかな実山椒の香り。
 みそ味の汁なのに全然みそ汁っぽくないのがすごい。
 ちゃんとお茶の味がする。

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 柿と黒糖シャーベット。
 トマトかと思った。
 あたたかい食べ物が続いたので、冷たくて気持ち良い。

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 くりこもちと抹茶。
 まわりの粉が栗の粉なのかな?
 抹茶は目の前で点ててくれた。
 これでコースは終了〜

 この店は料理はもちろんお茶がとにかく美味しくて(最後の抹茶も苦味やクセがなく最高だった)出てくるほうじ茶をどんどん飲み干しちゃって、結局3杯ももらってしまった。
 全部違う湯のみで出てくるのもさすが。

 お客さんは旅行者が多いのか、店内は全く気取った雰囲気ではない。
 それでも店の人はきちっとしている。
 料理人のお兄さんが料理を運び、内容を丁寧に説明してくれる。
 みな不安なところがなく落ち着いていて、格好良い。

 本当に良い思い出になったし、勉強になった。
 次は絶対、Dちゃんと一緒に行くぞー!!

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posted by 柳屋文芸堂 at 01:34| 料理・食べ物 | 更新情報をチェックする