2014年09月30日

カミングアウト

 別の先生のところで三味線を習っている知人が、
「会社の人たちに三味線のことをカミングアウトしてさー」
 と言うのでびっくりしてしまった。

 私は子どもの頃から人の目に触れる場所で楽器をやる機会が多かった。
 夏祭りで和太鼓を打ったり、吹奏楽部員として運動会で演奏したり。
 だから周囲の人がそれを知っているのは当然で、隠そうなんて意識はまるでなかった。
 「勇気を出して表明」したりしない。

 確かに自分の趣味について知られると面倒な場面ってあるかもしれない。
 私がそれを感じるのは、楽器ではなく小説書きの方。

「こういう設定で書いたら?」
 と提案されたり(自分で書いてくれ!)
「何故無頼派のような生き方をしないのか」
 と責められたり(無頼派のような生き方をして、無頼派のような小説を書いても、もう無頼派の小説は十分存在している。自分のやり方を見つけるのが大変なんじゃないの……)

 家族にも創作のことは内緒にしている、という人もいます。
 私はBLまで全部Dちゃんに読ませちゃうので驚かれる。

 母親にはずっと言わないつもりでいたけど、文学賞を取った時に隠しきれなくなった。
 全然有名じゃない賞だったので、
「だまされてるんじゃないの?!」
 と心配された(そりゃあね)

 小説を読ませると、
「いくつか良い点もあったけど、あらかた書き直してやりたいわね」
 とか言ってくるので最近は見せてない。

 趣味も性的指向も、人からゴチャゴチャ言われる原因になりやすいんですな。
 自分にとってそれが大切なことだからこそ、内緒にしておきたい。
 「カミングアウト」という深刻な単語を持ち出すのも、それほどおかしくないのかもしれない。

 もし小説書きに興味があるなら、
「まず自分の生活について事細かに教えてくれ〜 登場人物にリアリティ出すのに使うから〜」
 と思う。
 みんなそう都合よく動いてくれないですね。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:28| 言葉 | 更新情報をチェックする