2015年02月16日

小川洋子・河合隼雄「生きるとは、自分の物語をつくること」感想

 「家を買わないの?」と色んな人に尋ねられるのが不思議だった。
 自分が何故小説を書こうとするのかも不思議だった。
 この二つの疑問に関係があるなんて思いもしなかった。

 この本を読んで、ようやく意味が分かった。
「結婚したらローンを組んで家を買う」
 という「物語」を信じている人が大勢いるのだ。

 これまでこういう現実的な人生設計を「物語」とは認識出来なかったのだけど、
「RPGの世界に行ったらレベルを上げて魔王を倒す」
 というのと同じ構造だよね。

 私は世の中にあらかじめ用意されている物語(生き方)がいまいち心身に馴染まなくて、その違和感を物語(小説)の形に変換し、解消することでどうにか生きているのだと思う。
 既製服が体に合わないから自分で服を作るような感じだろうか。

 既製服に着心地の悪さを感じる人は少なくないと思う。
 でも全部自分で作るのは大変だから、 たいていは今あるものを仕立て直すのだろう。
 物語を読むのはそのためなのかもしれない。
 架空の物語を参考にして、多くの人が信じている物語に、自分用の修正を加えること。

 紹介が後回しになってしまった。
 小説家の小川洋子と、臨床心理学者の河合隼雄の対談集です。
 小説を書くことと、カウンセリングを行うことの共通点などがテーマになっています。

 「物語」というものを幅広くとらえているので、小説を書こうなんて全く思ったこともない、という人でも興味深く読めると思います。
 小説を書かなくても、みんな物語を生きているのだから。
 
 特に「困っていることがある訳じゃないのに、何となく生きにくい」と感じている人におすすめです。
 日々、どれだけ無神経に物語(生き方)を押し付けられているか、はっきりすると思います。
 それらをどうにか聞き流して、自分の物語を見つけていけると良いですね。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 15:07| 読書 | 更新情報をチェックする