2015年05月03日

文化の国の国粋主義者

 右傾化とか愛国という単語をよく聞くようになったのに、笙を吹いたり烏帽子をかぶったりする人が一向に増えないので、不思議に思っていた。
 右とはどこのことなのだろう。
 国を愛するという時に、国の何を愛するのだろう。

 私は子どもの頃から和太鼓をやっていて、今は三味線を習っている。
 狂言で卒論を書いたし、文楽や歌舞伎も見に行く。
 昆布とかつお節(もしくは煮干し)でダシを取って味噌汁を作るのが好きだ。
 見方によっては「かなりの愛国者」かもしれない。

 けれども私は学生時代、トロンボーンとコントラバスも演奏した。
 毎日のようにクラシックやジャズを聴くし、蒸し暑い日にはガムランのCDをかける。
 ドイツ産のキャベツの漬物を煮てシュークルット(フランス料理)を作るのが好きだ。

 スペインの建築に憧れており、ベルギーの絵画も愛している。
 モロッコのスパイスを使い、ウズベキスタン風のサラダを作る。
 インドとスリランカの紅茶を飲み、タイの調味料(ナムプラー)を常備している。
 中国人の書いた小説を読み、韓国料理(ビビンバやサムゲタン)を食べる。

 節操ないな…… と思っていたのだけど、すぐに気付いた。
 私は「文化」が好きなのだ。
 芸術はもちろん、食べ物だって「食文化」

 それがどこの国のものかなんて関係ない。
 文化に興味を持っていない日本人より、芸術のために生きている外国人の方に仲間意識を持つ。

 文化の良い所は「違い」が「面白さ」に感じられるところだと思う。
 世界中の絵画がまるっきり同じ画風で描かれていたら、つまらないよねぇ。
 旅をした時の、その土地の料理を味わう喜び。

 「愛国」を「他の国を嫌うこと」だと考えている人たちが増えている。
 そういう人たちと戦おうとは思わない。疲れるから。

 私は文化の国の住人として右傾化しよう。
 ひっそりと。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:53| 自分 | 更新情報をチェックする