2015年05月26日

Cocco「クムイウタ」

 久々にCoccoの「クムイウタ」というアルバムを聴いた。
 1998年の作品。

 20代の頃、私はCoccoが好き過ぎて、自分とCoccoの区別がつかないくらいだった。
 ビデオクリップを見るたび、
「私が私の気持ちを歌っている」
 という錯覚を起こした。

 「クムイウタ」に収録されている「裸体」という曲には、Coccoの叫び声が入っている。
 音楽技法としての「シャウト」ではない。
 発狂した人間が叫び出し、周囲も止められなかった、というような生々しい声。

 これを聴くたび、
「Coccoは私の代わりに叫んでくれている」
 と思った。

 20代の頃は恋愛も仕事も全然うまくいかなかった。
 その苦しさを文章にしようとしても、それさえうまくいかなかった。
 解決することも、表現することも出来ない心の暗雲に、Coccoは形を与えてくれた。
 感情にぴったり寄り添う言葉と音楽。

 今はそれほど熱心にCoccoを追いかけている訳ではない。
 嫌いになったのではなく、
「Cocco無しには生きられない、という状況から脱することが出来た」
 という言い方が一番適切な気がする。

 もしCoccoがいなかったら、私の20代の辛さは5割増しくらいになっていたと思う。
 彼女が叫んでくれなかったら、私が叫んでしまったはず。

 誰かの代わりに叫んだり、言葉や物語を見つけたりすること。
 私にもやれるだろうか。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:52| 音楽 | 更新情報をチェックする