2015年06月27日

大英博物館展―100のモノが語る世界の歴史

 大英博物館の収蔵品から選んだ100種類の「物」によって人類の歴史を見ていこう、という趣旨の展示。
 200万年前の石器から現代のソーラーランプまで。
 3時間半かけてじっくり楽しみました。面白かったです。

 大理石で出来たミトラス神像が素晴らしかったなぁ。
 ミロのヴィーナスみたいに写実的な彫刻で、どの方向から見てもリアルで優美。
 そして残酷。

 ミトラス神は女性か少年のような姿なのに、牛を捕らえて短剣を突き立てているのだ。
 牛の足をぐっと踏みつけて押さえているのが臨場感を出している。

 ミトラス神を信仰するミトラス教というものがかつて存在し、キリスト教に敗れて消滅してしまったらしい。
 こんなに美しい像が残っているのに、どんな宗教だったのかあまり分かっていない様子。
 それって「想像の余地がある」ってことだよね。

 お地蔵さんサイズのモアイが見られたのも嬉しかった。
 小さくてもモアイ!
 石のザラッとした質感と、茫漠とした表情がたまらない。

 夜のうちに50メートルくらいさり気なく移動してそうな雰囲気。
 でも怖くない。
 
 今回一番の目的は「イフェの頭像」
 エルンスト・ゴンブリッチの「美術の物語」という本の中で紹介されていて、まさか実物に会える日が来るなんて思わなかった。

 イフェの頭像はアフリカで発見されたのに、当初、
「アフリカの人間にこんな高度な技術がある訳がない」
 と別の場所から運ばれたものだと勝手に思われていたという。
 それがアフリカのものと判明し、ヨーロッパ人がアフリカのイメージを変えるきっかけになった。

 奴隷制度に関する展示(奴隷を買うのに使う貨幣)や説明もあり、
「南米で銀を増産させたら先住民の死亡率が上がったので、アフリカから奴隷を連れてきた」
 という流れが、今の日本に似ているように感じた。
 労働環境を改善するのではなく、外国から人を連れてきてどうにかしようとするところが。

 現代に近くなると、裸の男性二人がベッドで寝ている絵(ホックニー「退屈な村で」)などもある。
 イギリスでは1960年代に自分を偽らずに生きようという運動が起き、同性愛の権利を求める活動も盛んになった。

 これを展示?! と驚いたのが、クレジットカード。
 アラブ首長国連邦のもので、イスラムの教えに基づき利息は課さない、ということが幾何学模様によって示されている。
 利息を課さないクレジットカードってどんな仕組みなんだろう。

 他にも興味深いものがいっぱいあって、とても紹介しきれない。
 東京会場は6月28日までですが、福岡・神戸にも巡回するのでお近くの方はぜひどうぞ。
 (公式サイトはこちら

 あと、この展示の元になったラジオ番組の日本語版があり、ネットで聞くことが出来ます。
 (こちらから)

 ついでにレキシの「狩りから稲作へ」も聞くと良いよ!
 (展示品に縄文土器もあるのです)


 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:44| 美術 | 更新情報をチェックする