2015年09月20日

タブー うなぎと梅干し

 その村で、うなぎと梅干しを一緒に食べた者は、死罪となる。
 何故そんな重い罰を、と訝しみつつも、蒲焼にわざわざ梅を合わせる必要もない。
 誰も文句は言わなかった。

 ある夏、一人の若者がこの罪を犯した。

 明日が刑の執行という夜、若者は見張り番につぶやいた。

「うなぎと梅干しを一緒に食べると死罪になるのは何故だと思う?」

 見張り番は顔を上げた。

「うなぎと梅干しの組み合わせがあまりにも美味しくて、うなぎが絶滅しかかったからだ」

 夜の虫が狂ったように鳴いている。

「白焼きにしたうなぎに、たたき梅を添えるんだ。
 さっぱりした梅の風味が加わることで、うなぎの濃厚なうまみが引き立つ」

 若者の歯が、白くギラギラと暗闇に浮かんでいた。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 17:23| ショートストーリー | 更新情報をチェックする