2015年11月16日

映画「ハーモニー」感想

 10代の自分が今の(30代の)私を見たら、きっとガッカリするだろうなと思う。
 若い頃の自分をガッカリさせない大人になれる人って、どれくらいいるのだろう。

 「ハーモニー」のトァンとミァハは、少女の頃の思いをそのままの形で持ち続けている大人として描かれている。
 そんな女の人、現実にはいない。
 それこそ彼女たちが企んだように、大人になる前に時を止めて(つまり死んで)しまわない限り、残酷な時の流れによって、人は必ず別の何かに変化してしまう。
 けれども現実にいないからこそ、スクリーンにだけ現れる幻影として美しかった。

 「百合っぽい」じゃなく「完全に百合」です。
 トァンの寂しさがミァハを引き寄せるようで、そうなるのは自然に感じた。

 「ハーモニー」の原作はかなり観念的な小説で、これどうやって映像化するんだろう、と思っていたら、かなり観念的な映画になっていた。
 私はすごく満足したけど、他の人はどう思うかな、あれ。
 好みが分かれるかもしれない。

 色彩が原作から受けるイメージ通りだったのが嬉しかった。
 都市全体が病院になってしまったような世界。

 主題歌の「Ghost of a smile」も好き。
 女の人の声で歌われる「僕」という歌詞が、少女の時間を思わせる。

 ミァハと同じように紙の本を愛する私は、
「映画で興味を持って原作を読む人が増えますように」
 と祈っています。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:39| 映画・映像 | 更新情報をチェックする