「まずあらすじを述べて、ネタバレを避ける、という物語紹介の暗黙のルールって意味あるのかな」
と疑問に感じた。
ストーリーとオチって、そんなに大事なものだろうか。
少なくとも私が映画や小説に求めているのは、そんなものじゃない。
「第2図書係補佐」を読んで、
「そうそう、これだよ、これ!」
と嬉しくなった。
「僕は自分の生活の傍らに本という存在があることを書こうと思いました」
一応本の紹介本の形式で書かれているのだけど(本のタイトル、例えば「尾崎放哉全句集」が章のタイトルになっていて、その後に文章が続く)一般的な書評本とは違う。
本の感想でも評論でもなく、その本を読んだ時の自分の状況、その本を読んで思い出した子供の頃のことなどが、いかにも文学と笑いを愛する人らしい(つまり私にとって非常に馴染みやすい)言葉で綴られている。
ジャンルとしては日常エッセイに近いと思う。
よくこんなに細かいことまで覚えているな〜 と驚く。
又吉さんの「覚えている力」はもちろんすごいけれど、もしかしたら本というものが持つ「思い出させる力」もすごいのかもしれない。
本好きならきっとニコニコしちゃう本だと思います。

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫) -