2016年12月25日

寂しい二匹の子犬(「怒り」二次創作)

「また乱暴にやると思った?」
 満足させたつもりだったが返事はなかった。
 乱れた前髪からのぞく瞳は物言いたげで、何を言いたいのかはまるで分からない。

「犬みたいだな」
 頭を撫でると目を瞑る。
 こんな風に大きくておとなしい動物を飼いたかったのかもしれないと、ふと思う。

「少し休んだらメシ食いに行こう」
「うん」

 長く一緒にいれば欠点ばかり目について、互いにうんざりする、はずだった。

「直人?」
 ガランとした部屋には。
「直人?」
 寂しい動物の気配だけを残して。
「直人?」
 寂しかったのは。
「直人?」

 懐いていたのは。
 離れようとしなかったのは。
 信じていたのは。
 依存していたのは。

 どうして全てが分かるのは、全て終わった後なのだろう。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 01:29| ショートストーリー | 更新情報をチェックする