遠足で行った群馬のヘンダーランドで、魔女の一味との戦いに巻き込まれる、という冒険ファンタジー。
想像していた以上に真っ当な子供向け映画で、
「クレヨンしんちゃんってこんな感じなのか〜」
と感心した。
子供向け、というのは幼稚・安易という意味ではない。
子供向けの作品が最も大切にしなければいけないのは、
「安全であること」
だと思う。
物語の中では恐ろしいことが起こる。
しかしその恐怖は、
「観客(子供たち)を傷付けるようなものであってはならない」
時に物語は、本当に心を傷付けてしまうことがある。
子供向けの物語は、暴走して脱線する電車ではなく、整備されて安全の保証されたジェットコースターでないと。
精神的に弱って児童書ばかり読んでいた時期があったので、安全であることがどれほど大事かよく分かる。
戦って欲しいとお願いされたしんちゃんは葛藤する。
魔女の魔法にだまされるし、苦しみもある。
しかし可愛い妖精のようなからくり人形トッペマはしんちゃんを何度も助けてくれるし、父のひろしと母のみさえ、それにアクション仮面たちが味方になって一緒に戦ってくれる。
危険はあるが、危険よりずっと大きな安心が用意されている。
オカマ魔女の様式美が素晴らしくて。
こういうオカマの描き方って、今ではもう許されないんだろうなぁ……
オカマの文化を守るにはどうすれば良いんだ……!
しんちゃんが正義のために一直線に頑張ったりせず、すぐ横道にそれるところが、話に緩急をつけていて良い。
クレヨンしんちゃんを見慣れている人には当たり前なんでしょうけど、私はあまり知らないので新鮮だった。
ぶりぶりざえもんは寝返ってばかりいるし。
時々出てくる埼玉・群馬ネタが可笑しかった。
蓮田サービスエリアとか。
東武線にも馴染みがあるから嬉しくて。
桐生線に乗り換えて、って本当にヘンダーランドに行けちゃいそう。
弱っていた頃の私でも、この映画なら見られたかもしれない、と思った。
もちろん家事をしながら見た元気な私も、気持ち良く楽しめた。
2017年05月12日
映画クレヨンしんちゃん「ヘンダーランドの大冒険」感想
posted by 柳屋文芸堂 at 00:49| 映画・映像
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