簡単に言ってしまえば、
「おじいちゃんが荷物でいっぱいの部屋でゴソゴソしてる」
だけの話なんですけど、もう最初から最後まで泣きっぱなしだった。
だってそこにあるのはまさしく「人生」だから。
積み上がった箱の中には、プリントやフィルムが詰まっている。
片付けるつもりなのか、映画監督に見せるつもりなのか、ソールじいちゃんは箱を引っ張り出して中身を確認する。
街角のささやかな風景。
道ゆく人々のやわらかな影。
愛し合う家族。
曖昧で美しい記憶はあちこちに散らばりまとまることはなく、どう考えても死ぬまでにこの部屋が綺麗に整頓されることはなさそうだ。
まるで可視化された魂のような部屋。
おじいちゃんの部屋にあった写真は現在、渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで展示されている。
「写真は、しばしば重要な出来事を取り上げるものだと思われているが、実際には、終わることのない世界の中にある小さな断片と思い出を創り出すものだ」
(ソール・ライター展の公式サイトより引用)
評価なんて気にせずに、自分が「良いな」と思ったものを心に溜めてゆこう。
自然とそんな気持ちになれる映画だった。

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