2017年08月15日

アルクトゥールスとスピカ(「怒り」二次創作)

「アルクトゥールスという星は、一等星のスピカに向かって秒速125キロで動いているんだって」
 直人が昼間見たという科学番組の話を始めた。いつになく熱心な口ぶりだった。
「1秒で125キロ進むってすごい速さだな」
「そう。だから5万年後にはアルクトゥールスとスピカはすぐそばに並ぶんだ」
 まるで5時間後に5万年後がやってくるかのように、嬉しそうに言う。
「それでね」
 直人は下を向き、小さな声で付け足した。
「アルクトゥールスは陽に焼けたような色で、スピカは白いんだ」
「東京でも見えるのかな、その星」
 一等星なら街の明るさにも負けないかもしれない。直人は顔を上げて微笑んだ。
「今度探してみようよ」

* * * * * * * * *

 永田美絵「楽しい星空入門」を読んでいたら、
「うしかい座のアルクトゥールスとおとめ座のスピカを合わせて日本では「夫婦星」と呼びます。陽に焼けたように見えるアルクトゥールスと色白のスピカはとてもお似合いのカップルです」
 という文章があり「優直!」と思って書きました。

 アルクトゥールスの速度やスピカへの最接近の時期はネットで調べると何種類か出て来てどれが正しいのか分かりません。すでに古代ギリシャの頃とは違う位置になっているそうです。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 10:32| ショートストーリー | 更新情報をチェックする