2017年08月31日

映画「築地ワンダーランド」感想



 仲卸(卸会社から仕入れた品物を、市場内の店舗で販売する人たち)を中心に、彼らから海産物を買う料理人、マグロやウニの競りの様子などを追ったドキュメンタリー。

 築地の研究をしているアメリカの文化人類学者、テオドル・ベスターの視点で進んでゆく。
 外国人が語ることで、知らない国の不思議な光景を紹介しているように感じられるのが面白い。
 身近な東京にあるせいで分かっているような気になるが、築地は特殊で特別な場所なのだ。

 消費者が魚を、生で(←ここがポイント!)美味しく食べるために存在する、世界最大のシステム。
 魚市場は世界中にある。しかし生で食べることを基準にして動いているのは日本の市場だけだろう。

 築地市場で最も重視されているのは金儲けではない。
「商品である魚を、最高の状態でお客さんの口元まで届け、美味しく味わってもらうこと」
 寿司職人などの料理人がより良い食材を探す場所であるだけでなく、仲卸は自分の店の品物を最大限活かしてくれる人を捜し求めているように見える。

 フランス出身のシェフ、リオネル・ベカは言う。
「仲卸の人たちはほぼ全員お店に食べに来てくれた。
 僕たちがどんな仕事をしているか理解するためにわざわざ来たのだ」

 豊洲移転問題で腹を立てている人も多いと思う。
 映画ではそのことには触れず、湿っぽくならず、築地で働く人々の日々を坦々と見せているのが良かった。

 あと、拾得物掲示板の「しいたけ」「なす」に笑った。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 18:21| 映画・映像 | 更新情報をチェックする